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45 kiss★(2)
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(どうしよう……こういう時って、何をしてれば、良いんだろう)
ミルドレッドの介助を必要とせずに、ロミオは現在自分で服を脱ぐことが出来る。あの頃とは違う。
彼より先に脱衣所に入り服を脱いで身体を洗い、湯船に浸かっていたミルドレッドは、ぼうっと白い湯煙に揺れるロミオの自室に備え付けである大きな浴室を見ていた。
理性を失ってしまった勇者の彼に用意されていた豪華な部屋は、どうやら代々そういう目的に使われているらしい。広さもあり豪華で王族が使っていたとしても、不思議ではない。
世界を救った代償に理性を失った勇者には、それは何の救いにもならないだろうが。
「ごめん……遅くなった」
逞しい肉体の腰に布を巻き付けただけのロミオは、ひどく撫然とした表情をしていたので、ミルドレッドは首を傾げた。彼女が自分の態度に対して疑問に思っていると察したのか、ロミオは大きく息をついて言った。
「アランだ。一緒に酒飲もうって、さっきこの部屋に来たから、やっと追い返した。ミルドレッドに想いを告げる事が出来た嬉しさで、あいつの存在を完全に忘れていたよ。もう、今夜は来ないと思うから。安心して」
今のこの状況を言えばより面白がりそうな剣聖が思い浮かび、彼を撃退するために時間がかかったのかとミルドレッドは納得した。
「……お酒を」
「あー。あいつは、酒には目がないんだ。美味しくて珍しい酒で釣れば、大体のお願いは聞いてくれるよ」
ロミオは苦笑して、湯椅子に座り石鹸と海綿を持った。湯桶に溜めていたお湯を使ってきめ細やかな白い泡を作り、とろりとした蜂蜜を思わせる艶のある灼けた肌へと塗りつける。
彼の鍛え上げられた美しい肉体を滑っていく泡を食い入るように見つめるミルドレッドを見て、ロミオは優しく笑った。
「ミルドレッドが、いつも身体を洗ってくれてたよね……俺の身体は思い通りには動かせなかったけど、君は仕事だと言うのに、色々されて大変だったと思う。本当に、ありがとう」
勇者ロミオは、礼儀正しく心優しい。彼本人が何と言おうが、世間の人が理想とする勇者像、そのものだった。
「あの……私……」
「うん?」
ミルドレッドが言い掛けてやめた言葉のその先を促すようにして、彼は首を傾げた。
「私……こんな事を言って……はしたないと、思われてしまっても仕方ないんですけど。ロミオ様にされるの……全然嫌じゃなかったです。すごく気持ち良かったです」
ミルドレッドが顔を赤くしてそう言ったので、ロミオは真顔になり自分の身体全体に湯を掛けて立ちあがった。
はらりと布が落ちて、そこにはこの前までに何回も何回も慰めた事のある、見慣れていた大きな肉棒があった。血管が浮き上がる程に硬く大きく張り詰め、先端の割れ目からは涙をこぼすようにとろりと流れる液体。
「……俺もね。別にミルドレッドが異性で裸だからって、あんなに反応していた訳じゃない。君の前だけ、こうなるんだよ。君の中に挿りたくて……堪らなくて」
濡れてしまった黒髪を掻き上げて切なげな表情を浮かべた彼は、ゆっくりと湯船に近づき、まるで魅入られてしまったように動けないミルドレッドを後ろから包み込むように抱きしめた。
前は、ただただ止められない本能のままに、求めるだけだった。今そこにあるのはミルドレッドが思わず身体を震えてしまうくらいに、彼の身体全体から放たれる熱を感じていた。
それは、見返りなど求めない。今まで誰からも向けられることのなかった、確かな愛情だった。
ミルドレッドの介助を必要とせずに、ロミオは現在自分で服を脱ぐことが出来る。あの頃とは違う。
彼より先に脱衣所に入り服を脱いで身体を洗い、湯船に浸かっていたミルドレッドは、ぼうっと白い湯煙に揺れるロミオの自室に備え付けである大きな浴室を見ていた。
理性を失ってしまった勇者の彼に用意されていた豪華な部屋は、どうやら代々そういう目的に使われているらしい。広さもあり豪華で王族が使っていたとしても、不思議ではない。
世界を救った代償に理性を失った勇者には、それは何の救いにもならないだろうが。
「ごめん……遅くなった」
逞しい肉体の腰に布を巻き付けただけのロミオは、ひどく撫然とした表情をしていたので、ミルドレッドは首を傾げた。彼女が自分の態度に対して疑問に思っていると察したのか、ロミオは大きく息をついて言った。
「アランだ。一緒に酒飲もうって、さっきこの部屋に来たから、やっと追い返した。ミルドレッドに想いを告げる事が出来た嬉しさで、あいつの存在を完全に忘れていたよ。もう、今夜は来ないと思うから。安心して」
今のこの状況を言えばより面白がりそうな剣聖が思い浮かび、彼を撃退するために時間がかかったのかとミルドレッドは納得した。
「……お酒を」
「あー。あいつは、酒には目がないんだ。美味しくて珍しい酒で釣れば、大体のお願いは聞いてくれるよ」
ロミオは苦笑して、湯椅子に座り石鹸と海綿を持った。湯桶に溜めていたお湯を使ってきめ細やかな白い泡を作り、とろりとした蜂蜜を思わせる艶のある灼けた肌へと塗りつける。
彼の鍛え上げられた美しい肉体を滑っていく泡を食い入るように見つめるミルドレッドを見て、ロミオは優しく笑った。
「ミルドレッドが、いつも身体を洗ってくれてたよね……俺の身体は思い通りには動かせなかったけど、君は仕事だと言うのに、色々されて大変だったと思う。本当に、ありがとう」
勇者ロミオは、礼儀正しく心優しい。彼本人が何と言おうが、世間の人が理想とする勇者像、そのものだった。
「あの……私……」
「うん?」
ミルドレッドが言い掛けてやめた言葉のその先を促すようにして、彼は首を傾げた。
「私……こんな事を言って……はしたないと、思われてしまっても仕方ないんですけど。ロミオ様にされるの……全然嫌じゃなかったです。すごく気持ち良かったです」
ミルドレッドが顔を赤くしてそう言ったので、ロミオは真顔になり自分の身体全体に湯を掛けて立ちあがった。
はらりと布が落ちて、そこにはこの前までに何回も何回も慰めた事のある、見慣れていた大きな肉棒があった。血管が浮き上がる程に硬く大きく張り詰め、先端の割れ目からは涙をこぼすようにとろりと流れる液体。
「……俺もね。別にミルドレッドが異性で裸だからって、あんなに反応していた訳じゃない。君の前だけ、こうなるんだよ。君の中に挿りたくて……堪らなくて」
濡れてしまった黒髪を掻き上げて切なげな表情を浮かべた彼は、ゆっくりと湯船に近づき、まるで魅入られてしまったように動けないミルドレッドを後ろから包み込むように抱きしめた。
前は、ただただ止められない本能のままに、求めるだけだった。今そこにあるのはミルドレッドが思わず身体を震えてしまうくらいに、彼の身体全体から放たれる熱を感じていた。
それは、見返りなど求めない。今まで誰からも向けられることのなかった、確かな愛情だった。
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