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本編

ホットミルク

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「ホットミルク?」
うん、とフィースは頷いた。ちょっと目は泳いでいる。フィース、抜け目なさそうなのに嘘はつけないタイプだな。私は笑いそうになるのを堪えた。
「よく眠れるからどうかなと思って」
「ふーん?ありがとう」
お盆の上にはビスケットと温めたばかりのホットミルクだ。
寝る前にノックの音がしたと思ったらフィースが持ってきてくれた。
十中八九、何か入ってると思う。挙動不審だったし、いつもの皮肉屋のフィースっぽくなかったし。
私はフィースを見送ると窓からこっそりホットミルクを捨てた。


明かりを消してから1時間くらいするとドアがキィと音がして開いた。どうでも良いけど鍵は何処から手に入れたんだろう。
「…寝てる」
ボソっとフィースの声がした。蝋燭の灯りを持ち込んだのかまぶたの裏がすこし明るくなった。
「おい、気を付けろよ」
誰かに何か言ってるってことはやっぱりイアンと一緒か。2人はセットだもんね。

私は笑いそうになる口元を必死で引き締めた。起きているのがバレてしまう。
「今日は時間があるからゆっくりしよう」
左手にフィースの手が触れる。
「ずっと触りたかったんだ…お前はそっちからしろよ」
何するんだろう?と思う間もなく指先がチャプっと音をさせながら舐められた。
遅れて右手も上げられて舐められる。
チャプチャプ音をさせながら両手からどんどん体の中心部に向かって舐められる。くすぐったいけどゾクゾクする快感だった。

「深く眠っているはずだからな」
腕の付け根まで舐めあげると言い訳するように私の着ている寝巻をたくしあげる。
「これが忘れられなかったんだ。今日はゆっくり出来るし心置きなく舐められるな」
「フィース」
「なんだよ、お前だって結局ついて来てるだろ。同罪だよ」
フィースは左胸に吸い付いた。
「そんなこと言ってないだろ」
右胸にも吸い付かれる。イアンだ。
無心に吸いつかれて声を抑えるので必死になる。

「そろそろ帰ろう」
右胸のイアンが言う。
「ああ、ガードルートがここに居る限りチャンスはあるからな」
サッと寝巻を戻されて布団をかけられる。

その時唇に何か触れた気がした。どちらかはわからなかったけど。すごく柔らかい感触がした。
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