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chapter3:Travel Emotions Bergamo

実家に帰って来たわ! その1

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駅からは馬車でパパと一緒に久々にお屋敷に帰って来たの!

イオーゼ海を見渡せる位置にある広い敷地の二階建ての大きな屋敷で、元々ボロだったけどお兄様のお陰で綺麗に修繕されたのよね。

屋敷には使用人達が待っていてくれてたわ。

「わぁ姫様!半年の内にお綺麗になられて!」

御年68歳のメイド長のアンナが抱きつく勢いでやって来たわ...何故か私の事を小さい頃から姫様って呼ぶのよね。

アンナは髪も真っ白だし腰も曲がってる結構なおばあちゃんなんだけど身体も大きくてパワフルでいつも元気いっぱいね!

どんなに貧しくなってもアンナだけは私たち兄妹を憐んで一緒にいてくれたのよ。

「アンナ!」

「もう姫様に婚約破棄の件から本当に心配してたんです...本気で金持ちの後妻になられてしまうのかって...でもこんなにお綺麗なら直ぐに次のお相手が見つかりますわ!」

アンナはそう言うけど...きっとお相手も何ももうディビッドとしか一緒になれないのよね...

「うーん、アンナ私はしばらく婚約とかはいいわ」

そう言って誤魔化したわ...だってディビッドとの爛れた関係の事話したらパパ以上に卒倒しちゃうかもだし...ねぇ...

「そうだよーアンナ、シルヴィオも居るし、もういっそ結婚しないでベルガモで余生を送る生活だって良いんだよ~」

「旦那様は黙らっしゃい!」

呑気なパパの言葉にアンナは怒鳴るわ...まぁ仕方ないけど...

「ねぇアンナやみんな!王都のお土産があるからみんなで食べて!人気パティシエのマカロンよ!」

「姫様なんてお優しい!」

「お嬢様!ありがとうございます!」

とアンナや他の使用人達が喜んでくれたわ!

ちなみにお土産はフィオーレ・ビアンコのマカロンセットを用意したの、なんだかんだ言ってもディビッドの作るお菓子が一番美味しいんだもん!

「さぁさぁ姫様!お疲れ様でしょうからお部屋に行きましょうね、荷物はばぁばがお持ちしますよ」

とアンナは鞄を持って部屋へ...鞄くらい私が運ぶのに。

二階の私の自室へ向かう途中にあるこのお屋敷を建てた曽祖母様の大きな自画像が飾られてるの、私と同じピンクダイヤモンドの瞳とミントグリーンの髪を一まとめにした鎧を身に纏った勇ましい姿の女性、イオーゼ海の海賊を1人で倒した翡翠色の女傑ベロニカ、優しかったお婆様のお母様。

ベロニカは片手に生乾きのロバの顎骨一本を武器に千人を殴り倒したらしいけど...本当なのかしらね。

───
※ベロニカはシルヴィオと同じ打撃武器特攻の狂戦士で性格はシルヴィオの女性版、でも信心深くトラウゴット教信者であり、その為に加護が生じて悪魔崇拝の生贄にならずに済んでいる。ちなみに余談ですが旦那さんがパパみたいな青年だったらしい。
そして何気にアルカンタル家は男の子が産まれてこなかったためパパことジャンマリオが産まれるまで女系が続いていた。
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