還暦彼氏

ハル

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3.  私と親友

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 やっと約束の土曜日がやって来た。

 お爺ちゃんは予定通り、朝早くからゴルフに出掛けたようだ。

 朝食の時に母親に友達が泊まりに来る事をもう一度伝えた。

「ママ、今日、美雪が泊まりに来るって前に言ったの覚えるよね?」

「覚えてるわよぉ~、だから夕食は子供も大人も皆んなの大好きなカレー、それとサラダとスープにするわね…子供たちにはカツのトッピング」

専業主婦で買い物以外は家にばかりいる母親は、お客さんが来ると大歓迎なのだ。

「そうだ、椅子が足りないから子供達が先に食べて、お爺ちゃんとパパは後にしてもらおうか?」

焦った茜は、

「ダメよう、パパだけ後で、お爺ちゃんと一緒がいい…だって美雪が社会人になった時の参考に会社の事聞きたいんだって…」

「あらそう、可哀想なパパね…今の言葉聞かせられないわ」

 そういうと、母親は食事の後片付けに台所へ行った。

 ふう、と安堵の溜息をついて茜も自分の部屋へと戻って行った。

 椅子に座ると早速、美雪が来るまでに部屋の片づけを始める事にした。

5分も立たないうちに

「あぁあ、家に友達呼ぶんじゃ無かったなぁ」と独り言。

 掃除が大の苦手な茜は、どんどん暗い気持ちになってきていた。

 そうだ、私には姉には逆らえない弟がいたのだと、手を打って一人頷いた。

 そして弟の部屋の前に立ちドアをノックした。

「まぁ君、居てる?」

 まぁ君とは、弟のまさるの事をまぁ君と呼んでいて、ごく普通の姉弟きょうだいのようだ。

 ドアを開けると、勝はベッドに横になりながら漫画の本を読んでいた。

 茜の方をチラッと見ると。

「なんだよ、」と一言、まるで反抗期真っ只中の少年の言葉と同じ。

「あのねぇ、漫画読んでるんだったら、ちょっと頼め無いかなぁ~って思って」

「なにを?…」

「きょうね、美雪が泊まりに来るの、それで部屋の掃除してたんだけど、センスが無いのかぁ…全然進まないの」

 そこまで聞いて勝は反対側へ寝返りを打った。

「お願い、姉ちゃんを助けて」と手を合わせた。

 暫く無言が続き、茜は次の手に打ってでた。

「まさるぅ、あなたあの事、忘れたの?…
…」

ぴくっと、勝の背中が動いた。

「何回その事で、俺をこき使うんだよ。…」

 茜は人差し指を唇に充て、可愛く

「これが最後、だからお願い手伝って」

 勝は舌打ちをして、今の読み終わったら行くからと敗戦の弁を述べた。

 暫くすると勝はダンボール箱を3つ抱えて茜の部屋にやってきた。

 そして無言で作業を黙々と始め出した。

 ぬいぐるみや、雑貨、漫画本などを箱に詰めて、5分も経たずに今度は重そうに段ボールを抱えて部屋から出て行こうとした時。

 茜が勝にこう言った。

「ありがとう、助かったわ…あと、お友達がお風呂に入っている時、覗かないようにね、」と。

 それを聞いた勝は部屋のドアを足で蹴るように閉めて出て行った。

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