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39話目 バトルロワイアル①

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「では!いまからプレイヤーの転送を開始します!!」

「ユウヒ、やるからには優勝だよ。」

「もちろん!わかってるよ!第1回に続いて第2回のイベントも優勝しちゃうぜ!二冠だ二冠!」

みんなからも注目されてるし!相方はメアリーだし!

頑張って優勝取らないと!!



ついに転送が始まり、私たちもすぐに転送された。

「ここは森だね?」

私たちのスタート位置は森。

後ろには崖があって結構高い。

スタート地点としてはまずまずだね。

遮蔽物が多いからいきなり襲われるということもなさそうだ。

でも時間がたってくると待ち伏せとかそういうのが出てくるかもしれない。

しかも後ろは崖っていうことも時間がたつにつれて不利になってくる。

崖の上に居座られたりしたらずっと高いところを取られていることになる。

高いところをとられるのは不利だ。

一方的に視認されることがあるし、何より下から攻撃が届かない。

「メアリー、この崖登ろうか。」

「そうだね。それがよさそうだ。」

上をとられる前に逆に私たちが上をとる判断をする。

どうやって上るか?

それは簡単だ。

この間手に入れた造形っていうスキル。

これ結構すごいんだ。

初心者だったらスキルポイントとか気にしないといけないだろうけど、すでに私たちはそんなの気にするようなレベルから脱している。

スキルポイントが切れるまでいくらでも造形を続けることができる。

つまり自身の足元を盛り上がらせて崖の上まで行くことが可能なのだ。

でもそれをやっている間は周りの監視がおろそかになるし、急に攻撃されたときに対応がしずらい。

でもそれは1人の時に問題なだけで、今は1人ではない。

「メアリー、私がスキル使うから周りの監視お願いできる?」

「いいよ。でも逆のほうがいいんじゃない?私は攻撃系のスキルを持ってないけど多分ユウヒは遠距離でも攻撃できるスキル持ってるよね?」

確かにそうだ。

私は投げナイフのスキルを持ってるけどメアリーは攻撃系のスキルを手に入れることができない。

「了解。じゃあ私が監視してるからスキルよろしく。」

「おけ。じゃあちょっとこっち近づいて。」

スキルポイントがたくさんといっても崖は結構高い。

どのくらいの消費になるかわからないので一応近くによってできるだけ造形のスキルの使用を減らす。

「じゃあ、やるね。」

そういうと地面が盛り上がって来た。

私は監視に集中する。

足場の高さはすぐに森の木々より上になってあたり一面が見渡せるようになった。

しかし、それはあたりからも私たちの姿が視認されるようになったということ。

警戒をより一層強めないと!

まあでも見渡す限り森だね。

参加者の量が量なので結構フィールドは広い。

視界の端のほうにうっすら草原も見えるけど基本的には森ばっか。

大丈夫そうだな。

と思ったその時、どこからともなく槍が飛んできた。

「っ!」

私はとっさの判断で双剣を引き抜いて槍をはじく。

(やばい、どこから飛んできた?)

先ほど警戒を強めないとと思ったばっかなのに……。

ちょっと気を抜いてしまっていたのでどこから槍が飛んできたのかわからない。

集中する。

じっとあたりを見渡す。

一面森だ。

だから姿を直接見ることは厳しいだろう。

すると、本当に一瞬だったが何かがきらりと光ったのが確認できた。

「そこか!!!!!」

私は急いでその光に向かって短剣を飛ばす。

第1回の時のレベル上げや、この前のメアリーとの冒険で鍛えた投げナイフスキルはその威力が衰えることなく光の方向へ飛んで行く。

あの光は何だったのだろう。

まあたぶん槍の穂の部分だろう。

「ユウヒ、どうした?」

「いや、いまなんか光ったからさっき攻撃してきたやつのかなって。」

「なるほど。まあ無理に反撃しなくていいよ。今はとりあえず警戒だけしてくれれば。」

確かにそうだ。

今無理に反撃しようとしてそっちのほうばっかに集中していたら別のプレイヤーから攻撃が来た時に反応が遅れてしまう。

あとちょっとで崖の上には到達できるし今無理に反撃する必要はないだろう。

ちょっと焦ってしまった。

メアリーが声をかけてくれなかったらあのまま攻撃し続けていただろう。

小さいといっても音は出る。

短剣が木に刺さったときとか相当早く短剣を飛ばすので飛んでるときにヒュンッといった音もなる。

相当の手練れのプレイヤーだったらその音もかぎつけるかもしれない。

今は警戒するだけにする。

そう脳内反省会をしている間に崖の上に到達した。

崖の上に到達しても気を抜いてはいけない。

私たちの姿を先に見られて崖の上で待機しているプレイヤーがあるかもしれない。

……、大丈夫そうだ。

「ユウヒ、マップ確認するから引き続き警戒よろしく。」

「わかった。」

通常のフィールドと同じようにこのイベントのフィールドにもマップが存在する。

自分たちの居場所は常に赤いピンで表示されている。

「今いる位置はマップの中心寄りの南東部。明日のフィールドにはとりあえず入ってるみたい。私はある程度わかったから今度はユウヒがマップ見ていいよ。」

マップも交代で見る。

このイベント中、フィールドは一日ごとにどんどん縮小していく。

これによりずっと隠れるという行為がしにくくなるのだ。

マップの縮小度は運営がその時の様子を見ながら決めるらしい。

ゲーム内時間で何日続くのか運営にも予想がついていないようだ。

……、こういうマップ見るという作業も4人のパーティーだったらもっと楽なのだろうが2人のパーティーだと大変だ。

警戒しないといけない。

2人ともマップ見てたら不意打ちを防ぐことができないから。

ほかにもこのイベントは2人だと結構大変で、睡眠だってゲームの中でも取らないといけない。

2人で睡眠を分けるというのは大変だ。

まあとりあえず今は気にせずマップを開く。

こういうのを気にするのは今じゃなくてもいい。

ふん……。

このイベントでのフィールドは様々なエリアが組み合わさってできてる感じだ。

今いる森、砂漠、山岳など。

山岳エリアには雪も積もっているようだ。

砂漠のエリアは崖の下を表として裏側。

なだらかな下りになっている丘を越えたところにある。

今いるところはその丘の最も高いところ。

多分私たちと同じように高いところを取ろうとするチームがわんさかやってくるだろう。

山岳エリアは森を抜けて草原をはさんだ北側。

結構ここから距離があるのでとりあえず今は無視。

「さて、ここからどうする?」

「そうだなぁ……、4人のパーティーとかだったら森の中でも交代で見張りとかできたかもしれないけど私たち2人だからひとまず今日の夜を明かせそうな洞窟を探したほうがいいと思うんだよね。」

「そうだね。見るところは1つのほうがいいからね。森だったらいろんなところ見ないといけない。」

「まあ初日から無理に動く必要はないんじゃないかな。」

私たちの方針としてはとりあえず今日明日とかはあまり積極的には動かずにプレイヤーの数が減っていくのを待つ。

私たちはゲーム内で1週間くらいは余裕で越えるほどの長期戦になると予想している。

2週間くらいかな?

ゲームだけど今回はちゃんと疲れるし眠くなる。

それはこのイベント用にいろいろと設定がいじられているからだ。

さすがに食事とかは大丈夫だけど。

「私たち言ってしまえば上位プレイヤーでしょ?でも長期間ずっと警戒しっぱなしで戦い続けるのは無理だ。4人のパーティーだったらまた違うんだろうけど私たちは2人。」

正直ここ取った意味なかったな。

丘の上だったらあまり洞窟もないだろうし見えるのは一面森。

木の陰に隠れてプレイヤーは見えない。

先ほどは木の隙間から光が武器に反射しているのが見えた。

だから攻撃を返すことができたけど、武器をしまってたりしたら見つけるのはほぼ不可能。

無理に狙われそうなところをずっととっとく必要もない。

私たちは洞窟を探しながら丘を下ることにした。
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