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反乱発生
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「ニシゾノ王国国王として命ずる!我が娘としてこの反乱に対する総指揮を取れ!」
「はっ!」
「私はこれより単独でアルキメデス侯爵領へと向かう!メルデミシスは至急、騎士団を編成しろ!総指揮官であるレイナの指示ですぐさまアルキメデス侯爵領へ向かってくれ!救援物資を連れてだ!」
「はっ!」
私はこの件に関するすべての指揮をレイナに任せることにした。理由は私がアルキメデス侯爵領の方へ直接出向くため、王宮には残らないからだ。
レイナは王宮に残る。こういう有事のためにしっかりと教育はしてきたつもりだ。ちゃんと指揮を取ってくれるだろう。
この件が片付くまで、レイナの権力は私の権力を超える。
「レイナ、あとは任せたよ。」
「ねね様も、お気をつけて。」
私はワープの魔法を使ってすぐにフィネメイゼのもとへ向かった。
「フィー!大丈夫!?」
「へ、陛下!?どうしてここへ!」
「フィーが心配だったからだよ!」
「しかし……」
「大丈夫、この件に関しての総指揮はすべてレイナが取っている。」
「……」
フィネメイゼは下を向いてうつむいている。
しばらく無言が続いたが、鼻をすするような音が聞こえて、私はいまフィネメイゼが涙を流しているということに気がついた。
すぐさま私は彼女を優しく抱きしめた。
「騎士団が救援物資を持ってこちらにやって来るはずです。そのへんはレイナがしっかりやってくれるでしょう。しかし、王都からここまでは相当な距離がある。2週間はかかると考えるべきだ。それまではどうにか持ちこたえるよ。まずは今の状況を教えてくれ。」
フィネメイゼはこうなった経緯を説明した。
まず、本格的な反乱が始まり、こちらへ避難民が来るようになったのは2週間ほど前だそうだ。大雪の中大量に押し寄せてくる他国の民たち。彼らは食料を求め、寝床を求め、この領内の家をひたすらに回ったらしい。中には暴動を起こすものもいたとか。
それを受けてすぐさまこの領都にある大きな公民館を開放、自身のためにためていた食料を少しずつ配っていたらしい。しかし、まさか冬に反乱が起こるなんて思っても見なかった。
そのために十分な食料を全員に行き渡らせることは不可能だ。そんな状態でも日々増えていく避難民たち。
反乱は収まる気配を見せない。
とうとう屋敷にあった食料も底をつきてしまったらしい。それが昨日の話だそうだ。
「フィーはご飯食べたの?」
「いえ、最近は彼らに配るために私は食べないようにしていました。」
「は!?それじゃあ死んじゃうよ!!」
「大丈夫です。2日に1回はパンを食べていますから。」
その言葉を受けて私は心の底からの怒りを感じた。
パチンッ!
気がついたときにはフィネメイゼの頬を叩いていた。
「なッ!?」
「バカッ!!お前はこの前何を学んだんだ!!これじゃあ死んじゃうだろ!!」
「でもッ!」
「でもじゃない!確かに避難民を救うのは大事だ。でもね、お前が死んだら意味ないだろ……」
私は思わず涙が出てきてしまった。
「すみませんでした。」
「……いいから、これを食べな。」
そうして私は王宮を出る前に急いでアイテムボックスに入れてきたできたてのパンを出した。
「ありがとうございます。」
そう言って噛みしめるように食べるフィネメイゼだった。
「避難民の総数はすでに1000を超えています。国王として、私に指示をお願いします。」
「今動ける騎士は何人だ?」
「およそ120人ほどです。一応反乱に備えて数を増やしていました。」
「そうか、じゃあ即刻国境を閉鎖するように。」
「わかりました。」
まずは新しく入ってくる避難民をなくすのが大切だ。
これ以上増えてきたところで私達は彼らを救うことは出来ない。
「食料はもう尽きているんだな?だったらこれを配るといい。」
そう言って私はアイテムボックスから大量のお米を出した。
といっても日頃少しずつためていたものなのであまり量はない。まあ無いよりマシだろう。
「で、これからなんだが、この国としてやるべきことはフィヨルナンド王国側について反乱軍へ攻撃を仕掛けるのが正しいだろう。しかし、今回の件に関しては反乱軍のほうが正しかったりする。よって私達は中立の立場を貫く。これは以前からレイナと話し合いをしてそう決めてある。レイナもそれを前提で動いている。」
この国とフィヨルナンド王国は同盟を結んでいる。反乱軍側につくというのは不可能なわけだ。
「王都の方からほか3国に向けて早馬で『ニシゾノ王国はまだ出来て間もない国のため、今回の件に関しては何もすることが出来ない。よって中立の立場を取らせていただくことにした。』という内容の文書を送っている。フィヨルナンド王国へはここのほうが近いから、ここから馬車出せる?」
「はい。すぐに用意します。」
「はっ!」
「私はこれより単独でアルキメデス侯爵領へと向かう!メルデミシスは至急、騎士団を編成しろ!総指揮官であるレイナの指示ですぐさまアルキメデス侯爵領へ向かってくれ!救援物資を連れてだ!」
「はっ!」
私はこの件に関するすべての指揮をレイナに任せることにした。理由は私がアルキメデス侯爵領の方へ直接出向くため、王宮には残らないからだ。
レイナは王宮に残る。こういう有事のためにしっかりと教育はしてきたつもりだ。ちゃんと指揮を取ってくれるだろう。
この件が片付くまで、レイナの権力は私の権力を超える。
「レイナ、あとは任せたよ。」
「ねね様も、お気をつけて。」
私はワープの魔法を使ってすぐにフィネメイゼのもとへ向かった。
「フィー!大丈夫!?」
「へ、陛下!?どうしてここへ!」
「フィーが心配だったからだよ!」
「しかし……」
「大丈夫、この件に関しての総指揮はすべてレイナが取っている。」
「……」
フィネメイゼは下を向いてうつむいている。
しばらく無言が続いたが、鼻をすするような音が聞こえて、私はいまフィネメイゼが涙を流しているということに気がついた。
すぐさま私は彼女を優しく抱きしめた。
「騎士団が救援物資を持ってこちらにやって来るはずです。そのへんはレイナがしっかりやってくれるでしょう。しかし、王都からここまでは相当な距離がある。2週間はかかると考えるべきだ。それまではどうにか持ちこたえるよ。まずは今の状況を教えてくれ。」
フィネメイゼはこうなった経緯を説明した。
まず、本格的な反乱が始まり、こちらへ避難民が来るようになったのは2週間ほど前だそうだ。大雪の中大量に押し寄せてくる他国の民たち。彼らは食料を求め、寝床を求め、この領内の家をひたすらに回ったらしい。中には暴動を起こすものもいたとか。
それを受けてすぐさまこの領都にある大きな公民館を開放、自身のためにためていた食料を少しずつ配っていたらしい。しかし、まさか冬に反乱が起こるなんて思っても見なかった。
そのために十分な食料を全員に行き渡らせることは不可能だ。そんな状態でも日々増えていく避難民たち。
反乱は収まる気配を見せない。
とうとう屋敷にあった食料も底をつきてしまったらしい。それが昨日の話だそうだ。
「フィーはご飯食べたの?」
「いえ、最近は彼らに配るために私は食べないようにしていました。」
「は!?それじゃあ死んじゃうよ!!」
「大丈夫です。2日に1回はパンを食べていますから。」
その言葉を受けて私は心の底からの怒りを感じた。
パチンッ!
気がついたときにはフィネメイゼの頬を叩いていた。
「なッ!?」
「バカッ!!お前はこの前何を学んだんだ!!これじゃあ死んじゃうだろ!!」
「でもッ!」
「でもじゃない!確かに避難民を救うのは大事だ。でもね、お前が死んだら意味ないだろ……」
私は思わず涙が出てきてしまった。
「すみませんでした。」
「……いいから、これを食べな。」
そうして私は王宮を出る前に急いでアイテムボックスに入れてきたできたてのパンを出した。
「ありがとうございます。」
そう言って噛みしめるように食べるフィネメイゼだった。
「避難民の総数はすでに1000を超えています。国王として、私に指示をお願いします。」
「今動ける騎士は何人だ?」
「およそ120人ほどです。一応反乱に備えて数を増やしていました。」
「そうか、じゃあ即刻国境を閉鎖するように。」
「わかりました。」
まずは新しく入ってくる避難民をなくすのが大切だ。
これ以上増えてきたところで私達は彼らを救うことは出来ない。
「食料はもう尽きているんだな?だったらこれを配るといい。」
そう言って私はアイテムボックスから大量のお米を出した。
といっても日頃少しずつためていたものなのであまり量はない。まあ無いよりマシだろう。
「で、これからなんだが、この国としてやるべきことはフィヨルナンド王国側について反乱軍へ攻撃を仕掛けるのが正しいだろう。しかし、今回の件に関しては反乱軍のほうが正しかったりする。よって私達は中立の立場を貫く。これは以前からレイナと話し合いをしてそう決めてある。レイナもそれを前提で動いている。」
この国とフィヨルナンド王国は同盟を結んでいる。反乱軍側につくというのは不可能なわけだ。
「王都の方からほか3国に向けて早馬で『ニシゾノ王国はまだ出来て間もない国のため、今回の件に関しては何もすることが出来ない。よって中立の立場を取らせていただくことにした。』という内容の文書を送っている。フィヨルナンド王国へはここのほうが近いから、ここから馬車出せる?」
「はい。すぐに用意します。」
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