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第一部
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その後もエイサは会える機会を伺い、メリシャの向かう先々で待ち伏せするも会うことは叶わなかった。
勘の鋭いルーとネリに察知され、それとなく道を変えて進んでいたからだが、そんな事を知らないエイサは予鈴を聞くまで陣取っていた。
来る日も来る日も待ち構えるエイサのもとに朗報が届けられたのは数日が経った頃だった。
メリシャが向かう先で茶会や食事会などセッティングを手伝っていた侍女が数日の暇を要求し、その間は他の侍女が担当していた。
その侍女シムリーはメリシャの生活を陰から観察し、さりげなく出会う形でメリシャに話しかける。
始めは挨拶から始まり、学園生活での会話をし、もともと伯爵令嬢エイサの侍女枠として学園に足を踏み入れているシムリーは臨時の侍女に扮して共に授業を受けたりしながら、互いに素を出せるよう工夫を凝らした。
その最中、シムリーは何度も冷や汗が止まらず、逃げ出したくなる足を必死に押さえ込んでいた。
時々シムリーの心を読むかのようにメリシャの死角からルーとネリに睨まれる事態が起きたからだった。
そして伯爵令嬢エイサからもらっていた休憩最終日、シムリーは意を決してメリシャに招待したい旨を告げ、二つ返事で快諾された事でそれまで感じていた心身的な疲れが報われる想いだった。
その浮き足だった足取りを脳内でイメージしつつ、重い足取りでエイサのもとへ帰っていく。
そうして告げられた朗報に伯爵令嬢エイサは喜び、反対に侍女シムリーは気絶するように眠りについた。
唯一の窓口となったシムリーが復帰できるまで回復を待ち、数日後に屋敷で行う茶会に招待することが決まった。
既にメリシャとの信頼関係を築いたと思っているエイサとは裏腹に、招待する際もルーとネリに睨まれている感覚にシムリーは常に緊張状態にあった。
相手は小さな動物に扮した従魔といえど、実際は聖獣という事実を知っているため、何が原因で怒りを買うか把握できないだけに次々と不安が募るばかりであった。
そして伯爵令嬢エイサによる茶会は粛々と準備が整い、当日の点呼などが行われたのだった。
勘の鋭いルーとネリに察知され、それとなく道を変えて進んでいたからだが、そんな事を知らないエイサは予鈴を聞くまで陣取っていた。
来る日も来る日も待ち構えるエイサのもとに朗報が届けられたのは数日が経った頃だった。
メリシャが向かう先で茶会や食事会などセッティングを手伝っていた侍女が数日の暇を要求し、その間は他の侍女が担当していた。
その侍女シムリーはメリシャの生活を陰から観察し、さりげなく出会う形でメリシャに話しかける。
始めは挨拶から始まり、学園生活での会話をし、もともと伯爵令嬢エイサの侍女枠として学園に足を踏み入れているシムリーは臨時の侍女に扮して共に授業を受けたりしながら、互いに素を出せるよう工夫を凝らした。
その最中、シムリーは何度も冷や汗が止まらず、逃げ出したくなる足を必死に押さえ込んでいた。
時々シムリーの心を読むかのようにメリシャの死角からルーとネリに睨まれる事態が起きたからだった。
そして伯爵令嬢エイサからもらっていた休憩最終日、シムリーは意を決してメリシャに招待したい旨を告げ、二つ返事で快諾された事でそれまで感じていた心身的な疲れが報われる想いだった。
その浮き足だった足取りを脳内でイメージしつつ、重い足取りでエイサのもとへ帰っていく。
そうして告げられた朗報に伯爵令嬢エイサは喜び、反対に侍女シムリーは気絶するように眠りについた。
唯一の窓口となったシムリーが復帰できるまで回復を待ち、数日後に屋敷で行う茶会に招待することが決まった。
既にメリシャとの信頼関係を築いたと思っているエイサとは裏腹に、招待する際もルーとネリに睨まれている感覚にシムリーは常に緊張状態にあった。
相手は小さな動物に扮した従魔といえど、実際は聖獣という事実を知っているため、何が原因で怒りを買うか把握できないだけに次々と不安が募るばかりであった。
そして伯爵令嬢エイサによる茶会は粛々と準備が整い、当日の点呼などが行われたのだった。
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