夫に売られていた不憫な魔導師は年下冒険者と使い魔に溺愛される

如月紫苑

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第二章 年下冒険者は俺の痛みを受け止める

12 モンスターに舐められる

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「遅い時間ですし、もう少し横になっていてください」
 無言で言われたように大人しくまた毛布の上に横になる。一人で。
 焚火の熱を顔に感じながら毛布の下で甘噛みされた場所を強く握る。
 疲れは確かに感じている。なのに寝られずに内側からじわじわと広がってくる熱が行き場もなく、腹の奥で溜まってくる。
 まだ時々視線を向ける彼を見ないように再び目を閉じて毛布を引き寄せる。
 暫くするとリースが道具を片付け始める。そっと俺の横で暫く立って見下ろし、焚火の反対側にある彼の寝床で横になるのが聞こえる。
 そしてすぐに規則正しい寝息が聞こえてくる。
 そっと目を開けて彼の顔を見る。
 伏せられた睫毛が時々震える。夢を見ているのだろうか、瞼の下で目が動いている。彼の凛々しい唇が焚火の明かりに照らされている。

――――体が……きつい

 自由になればこの感覚は自然となくなるかと思っていた。だが触れ慣れている体にこの誰にも触れられない状態は拷問に等しい。
 毛布の下で軽く股間に触れるとやはり硬く立ち上がっている。
 俺は寝ている彼の顔を見ながらそれを引っ張り出し、静かに手を上下に動かす。
 前立腺や奥を刺激されない自慰ではなかなか射精したくとも射精出来ない。もどかしい熱に唸りそうになる。
 リースが少し寝る体勢を変える。仰向けになり、唇が僅かに開く。
 俺は明らかに彼に欲情している。だけど彼が好きだから欲情しているのか、単に性欲が溜まっているのか、それとも少し結婚生活で乏しくなった感情が回復している兆しで興奮しているのかは分からない。
 リースの股間辺りに視線を向ける。毛布に包まれているそこはどうなっているか気になる。彼の力強い腕に抱きかかえられ、奥まで突かれてみたい。
 犯されたい。
「……っ」
 熱く濃い精液を掌に受け止める。

――――……やっちゃった……。これ、どうしよう……

 俺は彼を起こさないようにそっと起き上がって手の汚れを流しに行った。
 
 
 

    ◇◇ 
 朝は早かった。
 あの後も中々寝付けずに一晩中姿勢を変えながら寝ようとした。
 まだ仄かに暗い中、小さくなった焚火の向こう側を見る。リースはまだ気持ち良さそうに寝ている。
 その時、背後でもぞもぞとした動きを感じる。風が植物を揺らしているのかと思い顔を向けると、大きな鼻が俺の頬に押し付けられる。
「……あ」
 すぐにぺろぺろと舐められて目を閉じる。
「ん……レン……さぁん⁉︎」
 リースが半分悲鳴に近い叫び声を上げる。
 それもそうだろう。子牛のサイズの蟻が真っ黒な鼻先を俺の顔に押し付けている。昆虫にはない長細い舌を器用に伸ばして俺の顔を舐め回す。
「モンスターかな? ちょっと知らないタイプだ」
「なんでそんなに冷静なんでかか⁉︎」
 
――――なんか噛むリースって可愛いなぁ

 俺はゆっくりと上半身を起こしてその蟻のようなモンスターを見る。一匹だと思っていたのだが背後に三匹いる。
 リースが剣に手を伸ばすのを見て彼の方に掌を広げて伸ばす。
「待って。敵意は感じられないよ」
「何言っているんですか! 今、舐められていましたよ⁉︎ べろんべろと!」
「人間の味が美味しいのかもね」
「思いっきり食べられる前提じゃないですか! 恐ろしい事言わないでくださいっ」
 リースは青褪めている。俺が立ち上がるとすぐに腕を引っ張られて蟻達から離される。俺が蟻に近付かないように震える腕で押さえている。
「リースは虫苦手?」
「四より四肢が多いのは無理です!」
 物凄く力強く宣言される。
 俺は少し笑いながらリースの押さえるというよりもしがみ付く腕を退かし、蟻達の方へと近付き、しゃがむ。手を伸ばすと蟻はその手に頭を擦り付けて嬉しそうにする。
「懐かれたみたい。でも何故だろう。今までモンスターに懐かれるような体質ではなかったけど」
 蟻達は俺の手を舐めてから離れていく。
 リースは俺の横に来て歩く彼等を見送っている。
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