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第二章 年下冒険者は俺の痛みを受け止める
15 モンスターを保護する優しい精霊
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モンスター達はじっとりと恨めしそうに俺を見つめる。
「少しの間だけ信じてくれるのならば、怪我を治したい。痛いのを消そう」
どの子も動かない。だがモンスターの無数の目が俺の一挙一動を追う。
「人間に触れられるのは怖いよね。でも『信じて』としか言えないんだ」
一番重症そうな鳥のようなモンスターに近寄る。目を刺すような赤と緑、青の羽根は抜け、大きな裂傷が見える。俺が近寄ると動けずに恐怖で震える。化け猫神の時と同じように治癒を掛けていくとすぐに傷が癒え、モンスターが慌てて俺の手から離れる。禿げた部分のとても綺麗な羽根が生え変わる事を願う。
そして次のモンスターに近寄る。
そうやってすべてのモンスターを治していった。化け猫神とは違い、簡単な治癒だけですぐに癒えてくれるのが嬉しく、調子に乗って休まずに治癒していく。
精霊が戻ってくる頃には小さなモンスター達は俺に群がって嬉しそうにもふもふの毛皮を擦り付けたり柔らかな羽根を俺の体で毛繕いしたりしていた。
「もう……みんなを、治してくれたのか?」
今回は驚愕を隠していない。大きく見開かれた目は猫の目そのものだ。しゃべる猫だが。
「うん、みんな素直で可愛いね。リースはなんだって?」
「来ると言い張っていて命令するのに時間掛かった」
――――リースは精霊からの『命令』に凄く喧嘩腰になっていただろうなぁ。でも、どうしよう。思っていたのよりもずっと早く終わったけどリースの所に戻るか
精霊は小型モンスター達が全員無事なのを確かめると初めて肩の力を抜いて笑う。その瞬間、強い猫の精霊は可愛い顔になって長い髭もぴくぴくと動く。その毛皮に顔を埋めて撫で回したいのを我慢する。
「この子達はどうやって怪我したの?」
その瞬間精霊の全身から怒りが立ち上がる。
――――あ、ヤバい。しちゃいけない質問だったのか
精霊は怒りで震えながら歯ぎしりをする。
「人間! この山に入ってきた人間が仕掛けた罠」
狩人達の罠に引っ掛かって怪我をしてしまったのだろう。不慮の事故だとはいえ、モンスター達を守りたいが為に人間への怒りが爆発して今の反撃を開始したのだと理解をする。
「山を下りたらもう罠を仕掛けないように狩人達に話そう。仕掛けるとしたら決まった場所だけにするとかにして、もうモンスター達が引っ掛からないようにしよう。そうすれば君も、もう狩人達を襲わない?」
「約束を守ってくれれば、俺も約束する。獣は獲っていい。モンスターは駄目」
「分かった。そう伝えよう」
俺はその精霊に微笑む。
「凄いね。皆を守っていたんだ。君はこの山の主?」
「いや……泣いている声をたどったらこの子達を発見した」
自分の力で精一杯発見したこのモンスター達を護ってきたのだろう。ほっとけないという理由だけで。その優しい性格の為に人間に反発をしていても人間を傷つけられなかったのか。
「君のその行動、心から尊敬するよ」
精霊のピンッと立っていた耳が恥ずかしそうにパタパタと動き、真横に落ちる。
――――えらいけど……凄く可愛い
つい無意識に手を伸ばして彼の頭を撫でる。精霊は隣にしゃがんだ俺に一瞬強張るが、遠慮気味にゴロゴロと喉を鳴らし始める。
「毛並みが柔らかい。とても気持ちいいね」
精霊の尻尾が嬉しそうに左右へと振られる。
頭を俺の手に押し付けて喉を鳴らす。その可愛さに両耳の前を掻くようにして撫でると彼は何度も頭を押しつけて甘えてくる。大型の猫の精霊は大型犬と同じくらいの身長がある。前足を可愛く揃えて座り、頭だけ俺の手の動きを追いながら押し付けてくる。
「レン、いい人間だな」
精霊は長い舌で俺の手を舐める。人間のよりもザラザラした感触にゾクッとした快感が走る。
「レンはいい香りがする」
また手を舐められ、その粗い舌が化け猫の加護の痕に触れる。その瞬間に呼吸が止まるほどの快感が駆け抜ける。その爆発的な快感が引いても欲求不満の体が震え続ける。強く頭を肩に押し付けられて脚がもつれる。草原に尻餅をつく。
精霊は相変わらず俺の胸に頭を押しつけて喉を鳴らし、長い舌で加護の痕を舐められる。そのびりびりと電気が走るような快感に、無意識に顎が持ち上がり、喘ぐ。
「気持ちがいいの? レンは……今、発情期?」
俺は少し笑ってその可愛らしい耳をまた掻く。
「少しの間だけ信じてくれるのならば、怪我を治したい。痛いのを消そう」
どの子も動かない。だがモンスターの無数の目が俺の一挙一動を追う。
「人間に触れられるのは怖いよね。でも『信じて』としか言えないんだ」
一番重症そうな鳥のようなモンスターに近寄る。目を刺すような赤と緑、青の羽根は抜け、大きな裂傷が見える。俺が近寄ると動けずに恐怖で震える。化け猫神の時と同じように治癒を掛けていくとすぐに傷が癒え、モンスターが慌てて俺の手から離れる。禿げた部分のとても綺麗な羽根が生え変わる事を願う。
そして次のモンスターに近寄る。
そうやってすべてのモンスターを治していった。化け猫神とは違い、簡単な治癒だけですぐに癒えてくれるのが嬉しく、調子に乗って休まずに治癒していく。
精霊が戻ってくる頃には小さなモンスター達は俺に群がって嬉しそうにもふもふの毛皮を擦り付けたり柔らかな羽根を俺の体で毛繕いしたりしていた。
「もう……みんなを、治してくれたのか?」
今回は驚愕を隠していない。大きく見開かれた目は猫の目そのものだ。しゃべる猫だが。
「うん、みんな素直で可愛いね。リースはなんだって?」
「来ると言い張っていて命令するのに時間掛かった」
――――リースは精霊からの『命令』に凄く喧嘩腰になっていただろうなぁ。でも、どうしよう。思っていたのよりもずっと早く終わったけどリースの所に戻るか
精霊は小型モンスター達が全員無事なのを確かめると初めて肩の力を抜いて笑う。その瞬間、強い猫の精霊は可愛い顔になって長い髭もぴくぴくと動く。その毛皮に顔を埋めて撫で回したいのを我慢する。
「この子達はどうやって怪我したの?」
その瞬間精霊の全身から怒りが立ち上がる。
――――あ、ヤバい。しちゃいけない質問だったのか
精霊は怒りで震えながら歯ぎしりをする。
「人間! この山に入ってきた人間が仕掛けた罠」
狩人達の罠に引っ掛かって怪我をしてしまったのだろう。不慮の事故だとはいえ、モンスター達を守りたいが為に人間への怒りが爆発して今の反撃を開始したのだと理解をする。
「山を下りたらもう罠を仕掛けないように狩人達に話そう。仕掛けるとしたら決まった場所だけにするとかにして、もうモンスター達が引っ掛からないようにしよう。そうすれば君も、もう狩人達を襲わない?」
「約束を守ってくれれば、俺も約束する。獣は獲っていい。モンスターは駄目」
「分かった。そう伝えよう」
俺はその精霊に微笑む。
「凄いね。皆を守っていたんだ。君はこの山の主?」
「いや……泣いている声をたどったらこの子達を発見した」
自分の力で精一杯発見したこのモンスター達を護ってきたのだろう。ほっとけないという理由だけで。その優しい性格の為に人間に反発をしていても人間を傷つけられなかったのか。
「君のその行動、心から尊敬するよ」
精霊のピンッと立っていた耳が恥ずかしそうにパタパタと動き、真横に落ちる。
――――えらいけど……凄く可愛い
つい無意識に手を伸ばして彼の頭を撫でる。精霊は隣にしゃがんだ俺に一瞬強張るが、遠慮気味にゴロゴロと喉を鳴らし始める。
「毛並みが柔らかい。とても気持ちいいね」
精霊の尻尾が嬉しそうに左右へと振られる。
頭を俺の手に押し付けて喉を鳴らす。その可愛さに両耳の前を掻くようにして撫でると彼は何度も頭を押しつけて甘えてくる。大型の猫の精霊は大型犬と同じくらいの身長がある。前足を可愛く揃えて座り、頭だけ俺の手の動きを追いながら押し付けてくる。
「レン、いい人間だな」
精霊は長い舌で俺の手を舐める。人間のよりもザラザラした感触にゾクッとした快感が走る。
「レンはいい香りがする」
また手を舐められ、その粗い舌が化け猫の加護の痕に触れる。その瞬間に呼吸が止まるほどの快感が駆け抜ける。その爆発的な快感が引いても欲求不満の体が震え続ける。強く頭を肩に押し付けられて脚がもつれる。草原に尻餅をつく。
精霊は相変わらず俺の胸に頭を押しつけて喉を鳴らし、長い舌で加護の痕を舐められる。そのびりびりと電気が走るような快感に、無意識に顎が持ち上がり、喘ぐ。
「気持ちがいいの? レンは……今、発情期?」
俺は少し笑ってその可愛らしい耳をまた掻く。
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