27 / 192
天文18年
第十三話 白金と戦兎 上巻
しおりを挟む
私はお市。
現在今川麿助の嫌がらせに絶賛頭を悩ま中だったが、そんな中、意外な客人が北よりやってくる。
「お初にお目にかかる、越後の長尾景虎でござる」
その美青年は颯爽とそう名乗った。
長尾景虎、私でも知ってる有名人だ。
数々の武勲で知られる通称、越後の龍。
「長尾殿、遠路はるばるご苦労であった。
して、我が織田に何用か」
と、父信秀。
「ズバリあの卑劣漢、今川麿助をブン殴りたい。微力ながらお力添えしたいでござる!」
おお長尾さん!
まるで自分の事のように怒ってくれてるぞ?
「織田の守護神、愛染明王の活躍は遠く越後まで響く程。
それを負けたからと朝廷に助けを求め罪人扱いなぞ武士の風上にも置けぬ所業!
拙者、ハラのワタがフットーする思いでござる!」
「そ、そうなのか。
長尾殿の御助力は織田家としても望む所、感謝する」
「礼には及ばぬでござる」
いやカッコいいな越後の龍。
「……時にお市どの?」
え、私?
「この後少し時間をいただけるか?
拙者の連れが『銀色のお兄様と個人的なお話が』との事でござる」
えっと、その銀ちゃんさんが今まさに、こっそりこの場を離れようとしていたのだけど、
「ちなみに銀どの、『もし逃げたらコ⬜︎シますわよ?』と言ってたでござる」
という言葉に、硬直してそのまま固まった。
「に、二年ぶりですかね白金さん?」
「そんな他人行儀にしないで下さいませ、
お兄様?」
銀ちゃんと妹?の女性が、微妙な距離感で会話する。
でも白金さんだっけ、その銀ちゃんそっくりな髪色がすごく気になるんだけど、あとその口調。
「そしてお久しぶりですわね、お市さん?」
と私の方を向き直り、おかめの仮面を取り出す。
ああ、やっぱり白金さんはあの愛染仮面様だったか!
「絡繰人形を仮面の女性から借りたと聞いてもしやとは思ってたけど、まさかその後に越後に行ってたとは」
「向こうでも色々頑張ったのですわよ?褒めて下さいまし。
これもお兄様の為、愛ゆえですわ?」
なんか白金さんの口にする愛って……兄妹愛を通り越してて、それ近親相▲なんじゃ?
「尾張ってお堅いですのね、雑賀衆じゃ全然アリですわよ?」
「こらこら、イチに嘘を教えない。
普通にうちらの里でも実の兄妹が関係持つのは禁忌だからね?」
ああこれ、ひょっとして妹の愛が重すぎて逃げて来たのか銀ちゃん?
「白金、今日は別にお主と兄のイチャツキを見せに来た訳ではないでござるよ?」
「ナイスアシスト、カゲトラッ!」
景虎さんの言葉に、銀ちゃんが嬉しそうに相槌を打つ。
というか『ないすあしすと』って何だ?
「お兄様は時々、良く分からない舶来語を使いますの」
ああ外国語なんだ。
そう言えば雑賀衆って先祖が外国人なんだっけ。
「でも景虎さん?
ワタクシ、お兄様と会うの久々なんですのよ?」
「組んず解れつ乳繰り合うのは、それが終わってからにすれば良いでござる」
「了解しましたわ、見せたいものを先に披露すると致しましょう」
景虎さんと白金さんとの話し合いに結論が出たようだ。
「いや乳繰り合うの前提なの!?」
銀ちゃんは納得してないみたいけど。
というか、見せたいもの?
「お兄様は天才なんですの、絡繰人形という雑賀衆の秘術をこの時代に蘇らせた」
ああ、そうなんだ。それは確かに凄い。
「でも優れた馬は優れた乗り手がいて輝くもの。
そしてワタクシは、最高の絡繰人形の乗り手を見つけましたの!」
おお、それは是非動かす所を見たい。
けど……その乗り手とやらは何処に?
「拙者だ」
はい?
「絡繰人形には拙者が乗るでござる。
そして『最高の乗り手』は、流石に持ち上げ過ぎだ白金」
少し顔を赤らめて景虎さんが言う。
あれでも、絡繰人形って女性しか動かせない筈。
えっ、という事は……
「そういう事でござる」
と言うなり、景虎さんは来ていた服を脱いだ。きゃー痴漢……にはならないな、確かにその裸体は年頃の女性であった、胸は薄いけど。
ちなみに裸を見せたかった訳ではなく、動きやすい忍者装束のような衣装に着替えただけだった。
現在今川麿助の嫌がらせに絶賛頭を悩ま中だったが、そんな中、意外な客人が北よりやってくる。
「お初にお目にかかる、越後の長尾景虎でござる」
その美青年は颯爽とそう名乗った。
長尾景虎、私でも知ってる有名人だ。
数々の武勲で知られる通称、越後の龍。
「長尾殿、遠路はるばるご苦労であった。
して、我が織田に何用か」
と、父信秀。
「ズバリあの卑劣漢、今川麿助をブン殴りたい。微力ながらお力添えしたいでござる!」
おお長尾さん!
まるで自分の事のように怒ってくれてるぞ?
「織田の守護神、愛染明王の活躍は遠く越後まで響く程。
それを負けたからと朝廷に助けを求め罪人扱いなぞ武士の風上にも置けぬ所業!
拙者、ハラのワタがフットーする思いでござる!」
「そ、そうなのか。
長尾殿の御助力は織田家としても望む所、感謝する」
「礼には及ばぬでござる」
いやカッコいいな越後の龍。
「……時にお市どの?」
え、私?
「この後少し時間をいただけるか?
拙者の連れが『銀色のお兄様と個人的なお話が』との事でござる」
えっと、その銀ちゃんさんが今まさに、こっそりこの場を離れようとしていたのだけど、
「ちなみに銀どの、『もし逃げたらコ⬜︎シますわよ?』と言ってたでござる」
という言葉に、硬直してそのまま固まった。
「に、二年ぶりですかね白金さん?」
「そんな他人行儀にしないで下さいませ、
お兄様?」
銀ちゃんと妹?の女性が、微妙な距離感で会話する。
でも白金さんだっけ、その銀ちゃんそっくりな髪色がすごく気になるんだけど、あとその口調。
「そしてお久しぶりですわね、お市さん?」
と私の方を向き直り、おかめの仮面を取り出す。
ああ、やっぱり白金さんはあの愛染仮面様だったか!
「絡繰人形を仮面の女性から借りたと聞いてもしやとは思ってたけど、まさかその後に越後に行ってたとは」
「向こうでも色々頑張ったのですわよ?褒めて下さいまし。
これもお兄様の為、愛ゆえですわ?」
なんか白金さんの口にする愛って……兄妹愛を通り越してて、それ近親相▲なんじゃ?
「尾張ってお堅いですのね、雑賀衆じゃ全然アリですわよ?」
「こらこら、イチに嘘を教えない。
普通にうちらの里でも実の兄妹が関係持つのは禁忌だからね?」
ああこれ、ひょっとして妹の愛が重すぎて逃げて来たのか銀ちゃん?
「白金、今日は別にお主と兄のイチャツキを見せに来た訳ではないでござるよ?」
「ナイスアシスト、カゲトラッ!」
景虎さんの言葉に、銀ちゃんが嬉しそうに相槌を打つ。
というか『ないすあしすと』って何だ?
「お兄様は時々、良く分からない舶来語を使いますの」
ああ外国語なんだ。
そう言えば雑賀衆って先祖が外国人なんだっけ。
「でも景虎さん?
ワタクシ、お兄様と会うの久々なんですのよ?」
「組んず解れつ乳繰り合うのは、それが終わってからにすれば良いでござる」
「了解しましたわ、見せたいものを先に披露すると致しましょう」
景虎さんと白金さんとの話し合いに結論が出たようだ。
「いや乳繰り合うの前提なの!?」
銀ちゃんは納得してないみたいけど。
というか、見せたいもの?
「お兄様は天才なんですの、絡繰人形という雑賀衆の秘術をこの時代に蘇らせた」
ああ、そうなんだ。それは確かに凄い。
「でも優れた馬は優れた乗り手がいて輝くもの。
そしてワタクシは、最高の絡繰人形の乗り手を見つけましたの!」
おお、それは是非動かす所を見たい。
けど……その乗り手とやらは何処に?
「拙者だ」
はい?
「絡繰人形には拙者が乗るでござる。
そして『最高の乗り手』は、流石に持ち上げ過ぎだ白金」
少し顔を赤らめて景虎さんが言う。
あれでも、絡繰人形って女性しか動かせない筈。
えっ、という事は……
「そういう事でござる」
と言うなり、景虎さんは来ていた服を脱いだ。きゃー痴漢……にはならないな、確かにその裸体は年頃の女性であった、胸は薄いけど。
ちなみに裸を見せたかった訳ではなく、動きやすい忍者装束のような衣装に着替えただけだった。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
38
1 / 4
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる