秋月の鬼

凪子

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三、

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鳥の雛のようになよやかな彼女らを眺めながら、家老実時は、

「これはそなたらも承知の上だろうが、秋月の御正室ともなれば、得られるものは限りない。富や身分はもちろん、この世に並びなきお方の妻となる誉れは言うまでもない。
正室本人の御身は勿論、一族にわたってその身の上を保証すると、ありがたくも上様は仰せになっておられる」

怯えだけが支配していた蒼ざめた顔に、抑えようのない喜色が浮かぶ。

それこそ、ここに集う女たちの最大の願いであった。

女の幸せは、より強くより貴い身分の男性と結婚すること。

家の繁栄、それはすなわち女の使命でもある。

ごくりと唾を飲む彼女らに、実時は言い刺した。

「ただし、この試練では全ての女子を公平、平等に扱う。姫君も侍女も年増も小娘もすべからく同じだ。そして、」

ここからが大切だというように、実時は声を低く改めた。

「この嫁選びの最中いかなることが起きようとも――よいか、いかなることでもだ。我々は、一切の責任を負わない。これは上様のお言葉であると心得よ」

御意、と女たちは頭を下げる。

夕霧は伏せた顔をしかめ、かすかな声で、

「……気に入らないね」

実時は説明を終えると、踵を返した。

「それでは今より五日の間、そなたらの過ごす部屋へ案内する」












































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