秋月の鬼

凪子

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四、

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室内にいるのは真覚という侍女、容花姫、相変わらず仏頂面の夕霧、それに常盤と清子の五人だけだ。

それなのに――不気味な感覚はおさまらない。

まるで、誰かに見られているかのような。

「でも、あの方はかんざしかんざしを探しておられたのです。実際に私が持っていたのだし」

「おかしいとは思いませんか」

「……何がです?」

きょとんと問い返した常盤に、

「どうして落とした簪を常盤さんが持っておられたことに、春日さんは何の疑問も抱かないのです?隙を突いて盗まれたのかもしれないと」

ようやく気づいて、常盤は思わずあっと声を上げた。

容花に睨まれてはしたないと気づき、慌てて口元を手で覆う。

「あの方にとって、そんなことはさしたる問題ではなかった。常盤様を盗人に仕立て上げることも簡単にできたのに、そうはしなかった。なぜか。
それは簪を探す名目で、部屋を探ることのほうが重要だったからではないでしょうか。もしくは、貴方が簪を拾い上げるところを見ておられたのかもしれません」

「どうして、そんな」

清子は人さし指を立てて口元に当て、声を低く押し殺した。

「それはわたくしにも分かりません。ただ一つ言えるのは、」

常盤の顔がかすかに青ざめ、口元が引き締まる。

「もうこの試練は始まっているということです」
















































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