護国の鳥

凪子

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秋の章

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イオニア暦1399年、第十の月。サイクロイドは穏やかな秋を迎えていた。

入校してから半年、籍を置く候補生の数は二十四名と、全体の約四分の一まで減少し、四人編成の班が六つとなった。

残っている生徒は皆、強靭な肉体と優秀な頭脳を兼ね備えた英才ばかりで、サイクロイドでの生活や訓練にも慣れてきている。

ここから卒業試験の行われる来年の第二の月までは、ほぼ退学者が出ることがなく横ばいに推移するのが通例だった。

候補生たちは互いに顔見知りであり、特に同じ班の仲間は密な関係を保っている。

例外はルートの所属する四班で、必要最低限以外は協力せず接触を絶つやり方は、他の候補生や教官たちから苦笑されていた。

「悪いが、ついてこないでくれないか」

自習室に向かう廊下で振り向いたユリシスは、つかず離れずの距離を保って追従するレッドに言い放った。

「これから『翼の会』の会合があるんだ。部外者は遠慮してほしい」

品のいい拒絶に、レッドは頭をかいた。

「別に話に加わるつもりはないし、他言もしねえよ。黙ってそこにいるだけ。無視してくれて構わないぜ」

「ついてくるなと言ってるんだ」

掛け値なしの命令に、レッドは目を丸くして唇をすぼめる。

――あの日以来、ユリシスはあからさまに俺を避けている。

分かっていたことだ。父親のことは禁句だった。踏み込めば、こうなることは予測できた。

けれども、だからと言って任務を放棄するわけにはいかない。

レッドは仕方なく譲歩を提案した。

「分かったよ。なら、扉から離れた場所にいるから、話し合いがすんだら声をかけてくれ」

「あのう。もしよかったら、フラクタル君も参加しない?」

近くで成り行きを見守っていたギルベルトが、遠慮がちに口を開いた。

「興味がないのは重々承知だし、集まってもどうせ大したことはやってないんだけど」

「気を遣わなくていいんだ、ギルベルト。レッドを誘う必要はない」

レッドが口を開く前に、ユリシスがぴしゃりと遮った。

「どうせ参加するつもりはないんだろう?」

問われたレッドは答えず、隣にいるギルベルトを見下ろした。

善意を絵に描いたような少年だ。少しも毒がなく、真っすぐで、一生懸命で。

だが、なぜだろう。見上げてくる、この顔が気に入らない。

レッドはゆっくりと口を開いた。
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