72 / 121
【5日目】
70
しおりを挟む
「のんはどう思うんや?」
話を振られた桜庭のんは、唇に指を当ててじっと考え込んでいる。
「……私が気になってるのは、斎内さんの最後の言葉。つまり、何で占い師が二人とも生きてるのかってこと」
そのとき日高巳継と、戸上明典の表情に緊張が走るのを俺は見た。
「こんな終盤になって、人狼が襲撃してないっていうのが怪しい。日高さんが狂人で、戸上さんが人狼もあり得ると思う」
「確かに日高狂人説は濃厚やな」
片岡啓作は頷いた。
それに対して麻生雪妃が、
「ですが、戸上さんは私目線で完全に真かと。襲撃されていないのは、騎士に守られているからではないかと思います」
「まだ騎士生きてるんか?さすがにもう死んでるやろ」
片岡啓作が小鼻に皺を寄せる。
その様子を見ている麻生雪妃の横顔を見て、俺はもしやと思った。
序盤は寡黙で、中盤以降、状況を見て発言している彼女の様子と、村側の視点に立った発言内容を考えると、麻生雪妃が騎士なのではないだろうか?
いや、たとえそうだとしても、騎士が身分を明らかにするメリットはほぼ皆無だ。
今は生存しているかどうか分からない騎士を探すことよりも、人狼を見つけ出すことに注力しなければ。
「麻生さんは誰が黒だと思うの?」
桜庭のんに尋ねられて、麻生雪妃はそちらを向いた。つややかな黒髪がさらりと揺れる。
「日高さんを狂人と見るなら、片岡さんと小鳥遊さんが黒く見えます。日高さんが人狼だとすると、片岡さんと小鳥遊さんのどちらか一人だと思います。桜庭さんにも可能性はありますが、日高さんが黒を出したのでお二人よりはやや低いかと」
人数が減ってきたということもあり、全員が発言に慎重になっている。
あからさまに誰かをかばったり、逆に誰かを陥れようとする発言をすると、誰と誰とが協力し合っている――通称これを《ライン》と呼ぶ――が見えてしまったり、自分の役職がばれる――これを《透ける》と呼ぶ――ことを恐れているのだ。
話を振られた桜庭のんは、唇に指を当ててじっと考え込んでいる。
「……私が気になってるのは、斎内さんの最後の言葉。つまり、何で占い師が二人とも生きてるのかってこと」
そのとき日高巳継と、戸上明典の表情に緊張が走るのを俺は見た。
「こんな終盤になって、人狼が襲撃してないっていうのが怪しい。日高さんが狂人で、戸上さんが人狼もあり得ると思う」
「確かに日高狂人説は濃厚やな」
片岡啓作は頷いた。
それに対して麻生雪妃が、
「ですが、戸上さんは私目線で完全に真かと。襲撃されていないのは、騎士に守られているからではないかと思います」
「まだ騎士生きてるんか?さすがにもう死んでるやろ」
片岡啓作が小鼻に皺を寄せる。
その様子を見ている麻生雪妃の横顔を見て、俺はもしやと思った。
序盤は寡黙で、中盤以降、状況を見て発言している彼女の様子と、村側の視点に立った発言内容を考えると、麻生雪妃が騎士なのではないだろうか?
いや、たとえそうだとしても、騎士が身分を明らかにするメリットはほぼ皆無だ。
今は生存しているかどうか分からない騎士を探すことよりも、人狼を見つけ出すことに注力しなければ。
「麻生さんは誰が黒だと思うの?」
桜庭のんに尋ねられて、麻生雪妃はそちらを向いた。つややかな黒髪がさらりと揺れる。
「日高さんを狂人と見るなら、片岡さんと小鳥遊さんが黒く見えます。日高さんが人狼だとすると、片岡さんと小鳥遊さんのどちらか一人だと思います。桜庭さんにも可能性はありますが、日高さんが黒を出したのでお二人よりはやや低いかと」
人数が減ってきたということもあり、全員が発言に慎重になっている。
あからさまに誰かをかばったり、逆に誰かを陥れようとする発言をすると、誰と誰とが協力し合っている――通称これを《ライン》と呼ぶ――が見えてしまったり、自分の役職がばれる――これを《透ける》と呼ぶ――ことを恐れているのだ。
0
あなたにおすすめの小説
子持ち愛妻家の極悪上司にアタックしてもいいですか?天国の奥様には申し訳ないですが
霧内杳/眼鏡のさきっぽ
恋愛
胸がきゅんと、甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちだというのに。
入社して配属一日目。
直属の上司で教育係だって紹介された人は、酷く人相の悪い人でした。
中高大と女子校育ちで男性慣れしてない私にとって、それだけでも恐怖なのに。
彼はちかよんなオーラバリバリで、仕事の質問すらする隙がない。
それでもどうにか仕事をこなしていたがとうとう、大きなミスを犯してしまう。
「俺が、悪いのか」
人のせいにするのかと叱責されるのかと思った。
けれど。
「俺の顔と、理由があって避け気味なせいだよな、すまん」
あやまってくれた彼に、胸がきゅんと甘い音を立てる。
相手は、妻子持ちなのに。
星谷桐子
22歳
システム開発会社営業事務
中高大女子校育ちで、ちょっぴり男性が苦手
自分の非はちゃんと認める子
頑張り屋さん
×
京塚大介
32歳
システム開発会社営業事務 主任
ツンツンあたまで目つき悪い
態度もでかくて人に恐怖を与えがち
5歳の娘にデレデレな愛妻家
いまでも亡くなった妻を愛している
私は京塚主任を、好きになってもいいのかな……?
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤクザに医官はおりません
ユーリ(佐伯瑠璃)
ライト文芸
彼は私の知らない組織の人間でした
会社の飲み会の隣の席のグループが怪しい。
シャバだの、残弾なしだの、会話が物騒すぎる。刈り上げ、角刈り、丸刈り、眉毛シャキーン。
無駄にムキムキした体に、堅い言葉遣い。
反社会組織の集まりか!
ヤ◯ザに見初められたら逃げられない?
勘違いから始まる異文化交流のお話です。
※もちろんフィクションです。
小説家になろう、カクヨムに投稿しています。
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
結婚相手は、初恋相手~一途な恋の手ほどき~
馬村 はくあ
ライト文芸
「久しぶりだね、ちとせちゃん」
入社した会社の社長に
息子と結婚するように言われて
「ま、なぶくん……」
指示された家で出迎えてくれたのは
ずっとずっと好きだった初恋相手だった。
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
ちょっぴり照れ屋な新人保険師
鈴野 ちとせ -Chitose Suzuno-
×
俺様なイケメン副社長
遊佐 学 -Manabu Yusa-
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
「これからよろくね、ちとせ」
ずっと人生を諦めてたちとせにとって
これは好きな人と幸せになれる
大大大チャンス到来!
「結婚したい人ができたら、いつでも離婚してあげるから」
この先には幸せな未来しかないと思っていたのに。
「感謝してるよ、ちとせのおかげで俺の将来も安泰だ」
自分の立場しか考えてなくて
いつだってそこに愛はないんだと
覚悟して臨んだ結婚生活
「お前の頭にあいつがいるのが、ムカつく」
「あいつと仲良くするのはやめろ」
「違わねぇんだよ。俺のことだけ見てろよ」
好きじゃないって言うくせに
いつだって、強引で、惑わせてくる。
「かわいい、ちとせ」
溺れる日はすぐそこかもしれない
◌⑅◌┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈◌⑅◌
俺様なイケメン副社長と
そんな彼がずっとすきなウブな女の子
愛が本物になる日は……
僕《わたし》は誰でしょう
紫音みけ🐾新刊2月中旬発売!
青春
※第7回ライト文芸大賞にて奨励賞を受賞しました。応援してくださった皆様、ありがとうございました。
【あらすじ】
交通事故の後遺症で記憶喪失になってしまった女子高生・比良坂すずは、自分が女であることに違和感を抱く。
「自分はもともと男ではなかったか?」
事故後から男性寄りの思考になり、周囲とのギャップに悩む彼女は、次第に身に覚えのないはずの記憶を思い出し始める。まるで別人のものとしか思えないその記憶は、一体どこから来たのだろうか。
見知らぬ思い出をめぐる青春SF。
※表紙イラスト=ミカスケ様
石榴(ざくろ)の月~愛され求められ奪われて~
めぐみ
歴史・時代
お民は江戸は町外れ徳平店(とくべいだな)に夫源治と二人暮らし。
源治はお民より年下で、お民は再婚である。前の亭主との間には一人息子がいたが、川に落ちて夭折してしまった。その後、どれだけ望んでも、子どもは授からなかった。
長屋暮らしは慎ましいものだが、お民は夫に愛されて、女としても満ち足りた日々を過ごしている。
そんなある日、徳平店が近々、取り壊されるという話が持ちあがる。徳平店の土地をもっているのは大身旗本の石澤嘉門(いしざわかもん)だ。その嘉門、実はお民をふとしたことから見初め、お民を期間限定の側室として差し出すなら、長屋取り壊しの話も考え直しても良いという。
明らかにお民を手に入れんがための策略、しかし、お民は長屋に住む皆のことを考えて、殿様の取引に応じるのだった。
〝行くな!〟と懸命に止める夫に哀しく微笑み、〝約束の1年が過ぎたから、きっとお前さんの元に帰ってくるよ〟と残して―。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる