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絶対に、行かなくてはいけない式が、そこにはある。
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「セイ様、お願いがあるのですが…」
ミリアと戯れていた俺は顔を上げる。
喉が腫れて体調を崩した俺だったが、熱は3日程で下がり、大事をとって週末まで休んだ。
あれから2か月ほどが経過していた。
あの体調不良の時を境に変わったことが2つある。
ひとつは、リリアナが呼び名を変えてくれたこと。
もうひとつは、食事を共にするようになったことだ。
昼餉は執務の関係もあるのでタイミングが合えば、になるが、夕餉はほぼほぼ共にする。
夕餉の後はそのままリリアナの私室でティータイムするのが習慣になっていた。
そうなると、リリアナの部屋着姿は拝めないが、その分、長く一緒に過ごせる。
「どんなお願いだ?」
「今週の土曜にミリアをお願いできないでしょうか」
遂にきた。
ミリアのお世話だ。
こちらのお世話の準備は万端だったが、リリアナが遠慮して、今まで預けられたことはなかった。
ミリアは俺とリリアナの子どものようなものだ。
なんせ、俺とリリアナ2人の色を持っている。
もちろん預かることに否やはない。
が、今週土曜といえば…
「それは問題ないが、リリアナは休みではなかったか?」
「従兄弟の結婚式があるので、ヒルラと共に出席する予定で」「俺も行く」
リリアナが2度瞬いた。
「セイ様は執務だと聞いておりますが」「大丈夫だ。休みになった。」
正しくは、”今”休みになった、だがな。
リリアナが困惑した様子だ。
「身内の伯爵家の式ですし、内々のものですので、セイ様にお気遣いいただかなくても・・」
「リリアナ、俺たちは夫婦だ。夫婦で出席するのは当然のことだろう?リリアナ1人で行かせるわけにはいかない。危険だしな」
結婚式は出会いの場だ。
「護衛はもちろん連れて行きます」とか可愛らしいことを言うリリアナに付け入ろうとする、不埒な輩がいないとも限らない。
「本当に内々の小さな式ですし、王太子殿下に来ていただくような大層なものではありませんわ。仲の良い従兄弟が再婚するというので、私も王子妃としてではなく、私的にお祝いに行くだけですし、本当に大丈夫ですから」
リリアナが食い下がる。
なるほどなるほど、俺が行くことで相手方が負担に思うことを危惧しているのだな。
「それでは護衛に化けて行く」
「な・・ばれるに決まっているではありませんか。殿下、本当に今回は私1人で・・」
何度めかのやり取りの後、リリアナはようやく諦めて、相手方に俺の出席も連絡することを約束してくれた。
翌日早速、ジェスへ報告した。
「土曜だが、休むことにした」
「休むって・・理由を伺っても?」
「リリアナの従兄弟の結婚式に出席するためだ」
ジェスは、セイラムが体調を崩した際、大いに反省した。
国王の補佐をしている父親からも「殿下が体調を崩すなど、そばにいたお前は何をしていたのだ」と厳しく叱責され、その通りで返す言葉もなかった。
その後は執務も定時上がりを心がけ、週に1日、1日が無理なら半日は休めるように、どうにかやりくりしながら予定を調整している。
この国は王妃が不在のため、その分、執務は王子妃と折半しても通常の倍。
業務量の削減のため、王族が入らねばならない会議や案件を来年度見直す予定ではあるものの、今目の前にある、幾つもの締め切りが思い浮かび、ジェスは頭を抱えた、がー
「その代わり、今日からは残業して土曜の分の執務まで片付ける。終わらなければ、日曜の休みは無しでいい」
「よろしいのですか?」
パッと顔を上げると、殿下が微笑んでいる。
「お前には苦労をかけて悪いが、今日から残業に付き合ってもらえるか」
「殿下・・」
ジェスの心に温かいものが広がる
「あ、それと、土曜は結婚式の後に出かける予定を入れたので、ミリアを頼む」
「は・・え?」
「実家で猫を飼っているのだろう?餌などは侍女に任せているが、ミリアが飽きないように、午前と午後1時間ずつ、この執務室の猫部屋に連れてくるように言ってある。遊んでやってくれ」
呆然とするジェスをよそに、セイラムは傍らの袋をごそごそと探り、猫じゃらしを何本も取り出した。
「これがミリアの一番好む猫じゃらしだ。ただ振るだけではなく時々隠して急に出すと、飛び上がって喜ぶのだ。少し飽きてきたらこの羽根のついた猫じゃらしと2本使いで・・」
熱心にミリアの好む遊び方を説明するセイラム。
ジェス様、おいたわしや・・周囲の文官は、心の中で合掌した。
ミリアと戯れていた俺は顔を上げる。
喉が腫れて体調を崩した俺だったが、熱は3日程で下がり、大事をとって週末まで休んだ。
あれから2か月ほどが経過していた。
あの体調不良の時を境に変わったことが2つある。
ひとつは、リリアナが呼び名を変えてくれたこと。
もうひとつは、食事を共にするようになったことだ。
昼餉は執務の関係もあるのでタイミングが合えば、になるが、夕餉はほぼほぼ共にする。
夕餉の後はそのままリリアナの私室でティータイムするのが習慣になっていた。
そうなると、リリアナの部屋着姿は拝めないが、その分、長く一緒に過ごせる。
「どんなお願いだ?」
「今週の土曜にミリアをお願いできないでしょうか」
遂にきた。
ミリアのお世話だ。
こちらのお世話の準備は万端だったが、リリアナが遠慮して、今まで預けられたことはなかった。
ミリアは俺とリリアナの子どものようなものだ。
なんせ、俺とリリアナ2人の色を持っている。
もちろん預かることに否やはない。
が、今週土曜といえば…
「それは問題ないが、リリアナは休みではなかったか?」
「従兄弟の結婚式があるので、ヒルラと共に出席する予定で」「俺も行く」
リリアナが2度瞬いた。
「セイ様は執務だと聞いておりますが」「大丈夫だ。休みになった。」
正しくは、”今”休みになった、だがな。
リリアナが困惑した様子だ。
「身内の伯爵家の式ですし、内々のものですので、セイ様にお気遣いいただかなくても・・」
「リリアナ、俺たちは夫婦だ。夫婦で出席するのは当然のことだろう?リリアナ1人で行かせるわけにはいかない。危険だしな」
結婚式は出会いの場だ。
「護衛はもちろん連れて行きます」とか可愛らしいことを言うリリアナに付け入ろうとする、不埒な輩がいないとも限らない。
「本当に内々の小さな式ですし、王太子殿下に来ていただくような大層なものではありませんわ。仲の良い従兄弟が再婚するというので、私も王子妃としてではなく、私的にお祝いに行くだけですし、本当に大丈夫ですから」
リリアナが食い下がる。
なるほどなるほど、俺が行くことで相手方が負担に思うことを危惧しているのだな。
「それでは護衛に化けて行く」
「な・・ばれるに決まっているではありませんか。殿下、本当に今回は私1人で・・」
何度めかのやり取りの後、リリアナはようやく諦めて、相手方に俺の出席も連絡することを約束してくれた。
翌日早速、ジェスへ報告した。
「土曜だが、休むことにした」
「休むって・・理由を伺っても?」
「リリアナの従兄弟の結婚式に出席するためだ」
ジェスは、セイラムが体調を崩した際、大いに反省した。
国王の補佐をしている父親からも「殿下が体調を崩すなど、そばにいたお前は何をしていたのだ」と厳しく叱責され、その通りで返す言葉もなかった。
その後は執務も定時上がりを心がけ、週に1日、1日が無理なら半日は休めるように、どうにかやりくりしながら予定を調整している。
この国は王妃が不在のため、その分、執務は王子妃と折半しても通常の倍。
業務量の削減のため、王族が入らねばならない会議や案件を来年度見直す予定ではあるものの、今目の前にある、幾つもの締め切りが思い浮かび、ジェスは頭を抱えた、がー
「その代わり、今日からは残業して土曜の分の執務まで片付ける。終わらなければ、日曜の休みは無しでいい」
「よろしいのですか?」
パッと顔を上げると、殿下が微笑んでいる。
「お前には苦労をかけて悪いが、今日から残業に付き合ってもらえるか」
「殿下・・」
ジェスの心に温かいものが広がる
「あ、それと、土曜は結婚式の後に出かける予定を入れたので、ミリアを頼む」
「は・・え?」
「実家で猫を飼っているのだろう?餌などは侍女に任せているが、ミリアが飽きないように、午前と午後1時間ずつ、この執務室の猫部屋に連れてくるように言ってある。遊んでやってくれ」
呆然とするジェスをよそに、セイラムは傍らの袋をごそごそと探り、猫じゃらしを何本も取り出した。
「これがミリアの一番好む猫じゃらしだ。ただ振るだけではなく時々隠して急に出すと、飛び上がって喜ぶのだ。少し飽きてきたらこの羽根のついた猫じゃらしと2本使いで・・」
熱心にミリアの好む遊び方を説明するセイラム。
ジェス様、おいたわしや・・周囲の文官は、心の中で合掌した。
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