スローなライフにしてくれ

soue kitakaze

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第2章 的ななんかそいう感じの章

第38話 魔物狩りイベント

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 教師たちの会話である。

「いやしかし、いくら人がいないといっても、アレは、ちょっと」
「いやいやいや、ちょっとどころじゃないでしょ、アレは」
「アレですものねぇ」

 しかし 

「「「興業のためにはやむを得ないか……」」」

 他に選択肢はないのであった。

 当日、引率のスギタ先生は3級以上の生徒たちを集めて言った。

「えーコホン。というわけでだな、今回だけは特段の事情に鑑み、特例として参加資格を緩めることとなった。まずは2級のカズ」

「え? 僕なんかが参加しても良いのですか! こんな素晴らしい機会を与えていただきありがとうございます。ご期待に応えるように頑張ります!!!」
「うむ。結果次第では1級昇進もあり得るので、しっかり働くように」
「はい!!」

(これが生徒としてのあるべき姿なんだよなぁ。それに引き換え……、ああ気が重い)

「えーと、そしてもうひとりだけ、特例中の特例の例外というかいやいやというか仕方ないというかやけくそというか。もうひとりが参加可能となった」

生徒たちのヒソヒソ話
「よほど困っているようね」
「参加者が最低5人いないと補助金が出ないそうよ」
「そうだろうとは思ったけど、その通りだったのね」
「生徒に見透かされている指導者ってどうなのよ?」
「で、誰が選ばれるんだろ?」
「誰でもいいんでしょ。人数あわせのためだけの、役立たずでもいいのだから」

「こら、そこ! コソコソ噂話をしない!」
「いや、思い切り聞こえるように言ってましたよ」
「聞こえるような声でもこっそりしゃべれ!」
「言っていることがぐだぐだです、先生」

 いろいろと貫禄のかけらもないスギタ先生である。だから止まらない良く聞こえるヒソヒソ話。

「とはいっても、まあ、アレしかいないわよね」
「自分を守れるスキルが必要って話だから」
「役に立つかどうかは別問題だけどな」
「しかし2級もいるのに彼らを差し置いて3級からわざわざ選ぶか?」
「2級と1級との間には深くて暗い川が……じゃなくて、大きな差があるが、3級と2級の差は使える魔法の数だけだからな」
「それにしたって選りにもよってアレなのかねぇ」
「アレなんだろうなぁ」
「ほげほげどぅー」
「「「「お前のことだよ!!!」」」」

 はへ? え? なんだ、俺の話だったのか。え? 俺が魔物狩りに行くの? マユ姉と一緒に?! 3泊4日の嬉し恥ずかし遠足に?!

(これだもんなぁ。まったくもう。だからあいつだけは選びたくなかったのにはぁあ)

 ってなわけでのスギタ先生の大きなため息をものともせず、俺はこの国の代表として戦いに赴くことになった。3級に過ぎないこの俺重用ぶり。やはり俺は持っているな。

(ただのイベントでござるが)
(興業とか言ってたモん)

「あー、これは訓練である。決して遊びではない。ひとつ間違えれば生死にも関わる重大なイベントである。遠足みたいだと思っているやつは魔物に食われて死んでしまえ」

 確かに生死に関わっているようである。

「だが、俺には裏技がある」
「でも表の技はないモん」
「なんとかのひとつ覚えでござるな」
「お前ら、うるさいよ。いいか、このイベントでは俺がケガしないようにしっかり戦うんだぞ」

「コウイチ、眷属というのは自分で戦ってこその存在なのだが」
「本来眷属というのは、あくまで補助的役割を担うものであって」

「出番でござるなワクワクでござる」
「神獣の腕の見せ所だモん」
「「「君たちはやる気満々なのね」」」

 そんなわけで俺たちは魔獣狩りに出るのだが、その移動方法が例のアレであった。

「学校にこんなとこがあったのか」
「お前は授業が終わるとすぐ帰っちゃうから、知らないだろうな」
「だって疲れたら眠たくなるじゃないか。次の日は朝から仕事だし」
「授業中あれだけ寝ておいて、それでも眠いのは寝過ぎじゃないのか」
「仕事中もずっと寝ているイメージだが」

「さあ、全員揃ったら出発するぞ。多少揺れるから気を付けろ。慣れればどうってことはない」
「マユ姉、多少揺れるって言ってるが、ここにただ立っていればいいんだよな?」
「ああ、コウイチはこれに乗るのは初めてだったな。最初のうちはこの手すりを持っているほうが安全だ」

 それは小さな部屋の1室であった。エレベーターの中だと思うとだいたい近い。こんなものが走るとは思えんのだが、この部屋ごとなにかに詰め込んで走るのだろうか? 俺は貨物かよ。

「そ、そうか。なんかドキドキするな。これ、なんて乗り物なんだ?」
「乗り物というか、転送装置だな。名前はシンカンセンだ」
「ここでシンカンセンかよ!!」

 シンカンセンっていうから列車の類いだと思ってじゃないか。くっそ騙され……ひょえぇぇほほっほほほほぉぉー

 と言ってる間に現地に着いた。

「ほげほげぇぇぇぇほげぇ」
「ほげは止めろと言ってるだろ!!」
「いや、これは違……ほげぇぇぇ」

「転送酔いしたんだろ。しばらく放っておきなさい、そのうち治る。ここはチュウノウ市の最南端・マイコだ。ここで一泊して明日は早朝から出発する。皆、今日中に必要なものを準備しておくように」

「マユ姉、準備ってどんなものが必要だ?」
「明日から2日間、人のいないところで過ごすんだ。テントだけは学校側が用意してくれるが、水や食糧は自分でって説明会で言ってただろ?!」
「そんなもの、俺が聞いてるはずないだろうが!」
「聞けよ!!」
「まあいいや。俺はマユ姉にくっついて行くことにする」
「来るんじゃねぇよ!!」


 先頭には引率のスギタ先生、真ん中に生徒5人をはさんでしんがりは冒険者2段の資格を持つアノウ――土系魔法を得意とする冒険者が護衛のために国から派遣された――が務める。

 俺は生徒5人中でも真ん中でマユ姉の尻の後ろである良い眺めである。

 ぴっちりしたタイトなミニスカートに、防具として足当て、腕当て、おへそは開けてCカップ当て痛っ

「いちいち私のサイズを公言するな! 普通に胸当てと言えばいいだろ。だいたいお前も同じ服装だろうが」
「支給されたから着たんだが、パンツだけ自前って酷くね?」
「やかましい。嫌ならはかなきゃいいだろ」
「それはいくら俺でも」
「なんだ」
「テレクサイ」
「知らんがな」

 ちなみに、マユ姉のパンツはピンクのストライプ痛いってば!!

 そんな和やかな行進をしているうちに、魔物エリアに入ったらしい。先頭のスギタ先生が叫んだ。

「そろそろ魔物エリアだ。みな、臨戦態勢に入れ」
「「「「「はい!!」」」」」
「ほげ?」

「お前だけ返事が違うぞ」
「いや、だってどうすりゃいいのか、聞いてないもので」
「「「授業でさんざんやっただろうが!!」」」
「はい、定期です」

「ああ、もういい、マユミ。教育係を命じる、そいつにひとつずつ教えて……そんな嫌そうな顔をするな。気持ちは分かるが」
「……了解です。はぁあ。今回は外れ回だな」
「そんなできの悪い連続アニメみたいに」
「1回しか言わないから良く聞け。臨戦態勢というのはすぐにでも戦える姿勢のことだ。剣士なら剣を抜く。魔法師なら杖を構える。お前の場合は……」

「ひのきのぼう、出せばいい?」
「それはいらん。とりあえず眷属を出しておけ。あと、今後いっさい、ほげは禁止する」
「それは酷い」
「酷いわけあるかぁ! 戦闘になったら私が指示を出すからそれに従え。あと、尻をじろじろ見て歩くな。前を見ろ前を」
「それが一番酷い!!」
「やかましい!!」

(コウイチ、右前方2キロほどのところに、トラタヌがいるぞ)
「な、なんだ。あ、オツか。しばらく見なかったからいなくなったのかと思ってた。とらたぬってなんだ?」
(ドーム内にいると我の出番なんかないからな。トラタヌとは、ここらに多い中型の魔物のことだ)

「かっこを付けてしゃべってるのは俺にしか聞こえていないというアピールか」
(いちいち解説しなくてよろしい。それよりあれは危険な魔物だぞ。早く皆に伝えろ)
「そうか。でもなんでお前にそれが分かるんだ? 違ってたら俺がすごい恥ずかしいことになるんだが」

「確かになにかいるでござる」
「そうか、それなら。おーーーい、なんか魔物がいるってよ」
(我の言うことは疑うのにワンコロの言うことはすぐ信じるのか)

「コウイチ、うるさい。お前は黙ってついてこい」
「ほーい」

(ちょっ、おま、こら。せっかく我が警告しているのに、そこで引いたら意味がないであろう?)
「報告はした。あとは俺の責任じゃないもん」

(お前ってやつはもう。少しぐらい粘るとか説得するとかそういう努力……もういい、ワンコロとネコウサ。お主ら先に行って戦闘を開始しろ。その騒動の音で気がつくだろう)
「了解でござる。ともかく退治すればいいのでござるな」
「僕も行くモん?」
(ネコウサでも充分戦える相手だ。力は強いが動作は鈍い。ちょっと数が多いがお主らなら大丈夫だろう)

「「了解でござるモん!!」」

 そして戦闘が開始された。
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