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第2章 的ななんかそいう感じの章
第39話 追跡魔法
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「ちょっと待て。俺はなんの指示もしてないのに……あーあ、行っちゃった」
「おい、コウイチ。なんかいまお前の眷属みたいなのが走って行ったようだが?」
「ああ、走っていったな。俺の眷属、みたいな奴らが」
「お前がみたいと言ってどうすんだ」
「だって、ちっとも俺の言うこと聞きゃあがれへん(´・ω・`)もん」
「それはお前に問題がある」
断定かよ。マユ姉までこれだ。どんだけ俺は評価が高いんだよ。
「低いと言ってるんだが」
「そうだろうとは分かってたけど、一応、ね?」
「ぐだぐだ言ってないで、あの子たちを止めろ!」
「へーい」
そして眷属どもを追いかける俺、猛ダッシュである。
「ちょ、ちょっと待て。なにも追いかけろとは言ってない。隊列を崩すな!!」
俺は眷属どもを追ってひたすら走る。きっかけはマユ姉のひと言だったが、走り出して気づいたことがある。俺も運動は久しぶりで、体力を持て余していたのである。走り出したらとても爽快で止まらなくなってしまった。
そして更に実感したことは、このぐらいの走りは軽い準備運動に過ぎないということだ。いくらでも走れるのだ。前の世界では一度もなかった感覚だ。これは楽しい。眷属どもの気持ちが少し分かった。
だからマユ姉の遠吠え? のような、俺を止めようとする言葉など、あっという間に後ろに置き去りにして走り続けるのであった。
「私は吹奏楽の木管楽器なんか吹いたことはない!」
「マユ姉、それはオーボエだ」
「誰、ツッコんだの? いやそんなことはいい、待て待て待て、待てってば……もう、いつもほげほげ言っているだけのくせにどうしてこういうときだけ機敏なのよ。だけどひとりにしたら危険だ。教育を任されたのに、なにかあったら私の責任問題になる」
と言って必死でコウイチの後を追うマユ姉である。生徒の中では一番の出世株でありカリスマ性まであるマユ姉の突然の行動に、釣られて走り出す生徒たち。それを慌てて抑えようとすがまるで相手にしてもらえないスギタ先生。
「きぃぃぃぃーー」
呪文ではない。スギタ先生が発狂して出した悲鳴である。これだからオールドミ……いや、なんでもない。
いずれにせよ、ワンコロとネコウサの暴走がもたらした混乱は、あっという間にメンバーに広がり、もはや隊列もなにもあったものではない。各個がバラバラに走り出し、混迷の度を深めるのであった。
「あぁまったくもう!! もう! もう!! もう!!!」
「スギタ先生、何を言っているのか分かりません」
「もう……ああ、アノウか。どうして私のときに限ってこんなことになるのよ、もうもうもう!」
「もうは分かりましたから。それより生徒たちの安全を第一に」
「そうだ、任せた」
「まずは隊列の……え?」
「ぜーーんぶ任せた」
「いや、ちょっと待っ……行っちゃった。どこへ? あんたが引率でしょうが」
「僕がまだいますけど、アノウ殿。どうか指示をください」
「ああ、カズとか言ったな。もう混乱は止めようがない。先に行った連中を追いかけよう」
「了解しました。スギタ先生を追えば良いですね」
「いや、あの人は頼りにならん。ん? カズは追跡魔法が使えるのか?」
「ええ、この距離ならまだ大丈夫だと思います」
「そうか。じゃあ、マユ姉をターゲットにしてくれ。このメンバーでは彼女が一番頼りになりそうだ」
実力が全てである現場において、メンバーは自然に頼りになる者を認識する。役職ではないのだ。必要なのは指導力である。アノウの言ったことは、このパーティの本質を言い当てていた。
マメ知識:アノウ。漢字では穴太と表記される。戦国末期に石垣造りの専門家として名をはせた集団である。安土桃山城の石垣も、この穴太衆によって築かれた。
「おい、コウイチ。なんかいまお前の眷属みたいなのが走って行ったようだが?」
「ああ、走っていったな。俺の眷属、みたいな奴らが」
「お前がみたいと言ってどうすんだ」
「だって、ちっとも俺の言うこと聞きゃあがれへん(´・ω・`)もん」
「それはお前に問題がある」
断定かよ。マユ姉までこれだ。どんだけ俺は評価が高いんだよ。
「低いと言ってるんだが」
「そうだろうとは分かってたけど、一応、ね?」
「ぐだぐだ言ってないで、あの子たちを止めろ!」
「へーい」
そして眷属どもを追いかける俺、猛ダッシュである。
「ちょ、ちょっと待て。なにも追いかけろとは言ってない。隊列を崩すな!!」
俺は眷属どもを追ってひたすら走る。きっかけはマユ姉のひと言だったが、走り出して気づいたことがある。俺も運動は久しぶりで、体力を持て余していたのである。走り出したらとても爽快で止まらなくなってしまった。
そして更に実感したことは、このぐらいの走りは軽い準備運動に過ぎないということだ。いくらでも走れるのだ。前の世界では一度もなかった感覚だ。これは楽しい。眷属どもの気持ちが少し分かった。
だからマユ姉の遠吠え? のような、俺を止めようとする言葉など、あっという間に後ろに置き去りにして走り続けるのであった。
「私は吹奏楽の木管楽器なんか吹いたことはない!」
「マユ姉、それはオーボエだ」
「誰、ツッコんだの? いやそんなことはいい、待て待て待て、待てってば……もう、いつもほげほげ言っているだけのくせにどうしてこういうときだけ機敏なのよ。だけどひとりにしたら危険だ。教育を任されたのに、なにかあったら私の責任問題になる」
と言って必死でコウイチの後を追うマユ姉である。生徒の中では一番の出世株でありカリスマ性まであるマユ姉の突然の行動に、釣られて走り出す生徒たち。それを慌てて抑えようとすがまるで相手にしてもらえないスギタ先生。
「きぃぃぃぃーー」
呪文ではない。スギタ先生が発狂して出した悲鳴である。これだからオールドミ……いや、なんでもない。
いずれにせよ、ワンコロとネコウサの暴走がもたらした混乱は、あっという間にメンバーに広がり、もはや隊列もなにもあったものではない。各個がバラバラに走り出し、混迷の度を深めるのであった。
「あぁまったくもう!! もう! もう!! もう!!!」
「スギタ先生、何を言っているのか分かりません」
「もう……ああ、アノウか。どうして私のときに限ってこんなことになるのよ、もうもうもう!」
「もうは分かりましたから。それより生徒たちの安全を第一に」
「そうだ、任せた」
「まずは隊列の……え?」
「ぜーーんぶ任せた」
「いや、ちょっと待っ……行っちゃった。どこへ? あんたが引率でしょうが」
「僕がまだいますけど、アノウ殿。どうか指示をください」
「ああ、カズとか言ったな。もう混乱は止めようがない。先に行った連中を追いかけよう」
「了解しました。スギタ先生を追えば良いですね」
「いや、あの人は頼りにならん。ん? カズは追跡魔法が使えるのか?」
「ええ、この距離ならまだ大丈夫だと思います」
「そうか。じゃあ、マユ姉をターゲットにしてくれ。このメンバーでは彼女が一番頼りになりそうだ」
実力が全てである現場において、メンバーは自然に頼りになる者を認識する。役職ではないのだ。必要なのは指導力である。アノウの言ったことは、このパーティの本質を言い当てていた。
マメ知識:アノウ。漢字では穴太と表記される。戦国末期に石垣造りの専門家として名をはせた集団である。安土桃山城の石垣も、この穴太衆によって築かれた。
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