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第2章 的ななんかそいう感じの章
第40話 タングステン龍
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「オツ、この道をまっすぐでいいんだよな?」
「ああ、それで良い。良いがちと困ったことになっているようだ」
「どういうことだ?」
軽く走りながらオツに尋ねると、意外な答えが返ってきた。
「トラタヌの群れはとっくにすれ違った」
「言うのが遅せぇよ!! そういうことはすれ違う前に言え」
「いや、それよりも危険なやつが……ああ、ワンコロはすでに戦闘に入っているようだ」
「トラタヌを無視して……っていうかそのおかしな名前はなんとかならんのか」
「いや、それを我に言われてもどうしようもないのだが」
「それもそうだが、もう、力が抜けるような名前ばかりだな」
「タイガーウルフをワンコロと名付けたお主がそれを言うか」
「そんなことより、トラタヌってのがいないのにあいつらはいったい何と戦ってるんだ?」
「龍みたいだな」
「ふーん……ふん? なんだって?」
「ふん、ではない龍だ。それもかなりでかい」
「「はぁ!?」」
「なんでここで被るんだよ!」
「やっと追いついたからに決まってるだろぜぇぜぇぜぇ。コウイチ、お前足早いなぜぇぜぇ」
「マユ姉だったか。いや、俺はまだ全速では走ってないぞ。だから息も切れてない」
「あ、あ、あれで全力じゃないぜぇぜぇ、のかぜぇぜぇ。あれ?」
「どした?」
「なんぜ全力え走らないぜぇぜぇんだぜ」
「文字がところどころぜぇに変換されてるようだが。あんまり早く追いつくと、俺まで戦うハメになるじゃないか」
「「そんな理由ぜぇ?!」」
「俺の戦いは、ちょうど戦闘が終わりかけたころにちょろっとだけひのきのぼうでつついたら退治できちゃった、というのを理想とするのだ」
「そんな理想があるかぁぁぁ!! あ?あ?あ?」
「ぜぇはどうした?」
「コウイチ、それどころじゃない。追いついたぞ。龍だ、それも南の大陸にしかいないとされている超レア龍だ」
「龍はさっき聞いたが、まだ元気じゃねぇか! なにやってんだ、俺の眷属どもは」
「怒るとこじゃないぞ。あれは強い。ここらで最強のタイガーウルフと言えども、ワンコロはただ1匹だ。群れで戦うからこそ最強なのだよ。それでもここらでの話だ。南の大陸にはもっと強いのがたくさんいる」
「そうだったのか。それじゃ、もうちょっとそこらで1服して弱ったころに痛いっ」
「逃げるんぜぇじゃねいぜぇじゃにゃぁぜぇぇ!!」
「日本語でOK?」
「うるさいわ!!」
「それでオツ、あいつはどんな龍なんだ? なにか弱点とか知らないか?」
「あの龍には特に弱点はない。名前は」
「「ふむふむ」」
「タングステン龍だ」
「…… ……。それはもしかしてギャグで言っているのか?」
「マジに決まってるだろうが!」
「そ、そうか。マジだったのか。まるでとってつけたような」
「そこはツッコむとこではない。白龍とか金竜なら強いがそれほど珍しくはない。それに物理攻撃はなんとか通じる。しかしタングステン龍には物理も魔法もほとんどの攻撃が通用しないのだ。あのウロコの硬さはダイヤモンドに次ぐぐらいの強度がある」
「そこまでか?! じゃあ、どうするんだ。ワンコロの攻撃だって物理だろ?」
「そうだ。せいぜい嫌がらせぐらいにしかなるまいな。あの速度があるからそう簡単にやられはしないだろうが」
「龍というだけで超S級の魔物だ。その上そんなレアな龍とは。そんなものがどうしてマイコなんかに出現するのだ……」
「マユ姉、それは我にも分からん。南の大陸でなにかが起こったのかもしれんな」
タングステン龍。全身がタングステンのウロコで覆われ、有効な攻撃はないとされる。そもそも出現事態が稀であるため分かっていないのだ。全長は10メートルほどあり、前足と後ろ足にはそれぞれ7本の鋭い爪がある。いかつい顔にはちょびひげがあり、ちょっと可愛く見えなくもない。
うかつに近づけば、簡単にその爪や尾の餌食となる。だが、巨体であるためか、動きはそれほど機敏ではない。
そんなタングステン龍の回りをワンコロとネコウサが走り回っている。たまに足や胴に噛みついたりしているようだが、遠目にはじゃれているようにしか見えない。
「遠目じゃないだろ。もっと近くで助けようとは思わんのか」
「マユ姉。その通り。思わない。あいつらがかなわないやつに、俺がなんとかできるわけがない」
「そういう方向だけは自信たっぷりだなおい。だめだこりゃ。私は行くぞ! 待ってろワンコロ!!」
「マユ姉が行っても足手まといじゃないかなぁ」
それはコウイチの言う通りであろう。遠距離攻撃ができるのならまだしも、剣士であるマユ姉では近づかないことには攻撃が届きもしない。しかも速度はしょせんは人間である。
龍に近づくことさえままならない状況では、ただ見ているだけにしかならない。
相手は機敏でないとはいってもあの体格である。尾や爪がほんのちょっとかすりでもすれば、致命傷となる。そんな現場である。
だからマユ姉も距離をおいて(コウイチよりはずっと近くだが)見ているしかないのだ。
そこにようやく他のメンバーが到着した。スギタ先生はお決まりの「な、なんじゃこりゃぁぁ」と叫び、アノウはすかさず弾丸ブロックを飛ばして攻撃をする。カズは覚えたての火の玉魔法を放つ。しかし、どれもほとんど効果があるようには思えない。
コウイチを始めとする残りの生徒は。
「やれ~やれ~。がんばれ~がんばれ~」と遠巻きに見ているだけであった。龍の近くでひとり地団駄踏むマユ姉を除いて。
「あ、そうだ?!」
と叫んだのはマユ姉であった。彼女は脱兎の如く駆け出し、龍ではなくコウイチのところへやってきた。そして持ち慣れた首根っこを掴むと、ずるずると引きずっていった。龍とワンコロ達が戦うその真っただ中に。
「ああ、それで良い。良いがちと困ったことになっているようだ」
「どういうことだ?」
軽く走りながらオツに尋ねると、意外な答えが返ってきた。
「トラタヌの群れはとっくにすれ違った」
「言うのが遅せぇよ!! そういうことはすれ違う前に言え」
「いや、それよりも危険なやつが……ああ、ワンコロはすでに戦闘に入っているようだ」
「トラタヌを無視して……っていうかそのおかしな名前はなんとかならんのか」
「いや、それを我に言われてもどうしようもないのだが」
「それもそうだが、もう、力が抜けるような名前ばかりだな」
「タイガーウルフをワンコロと名付けたお主がそれを言うか」
「そんなことより、トラタヌってのがいないのにあいつらはいったい何と戦ってるんだ?」
「龍みたいだな」
「ふーん……ふん? なんだって?」
「ふん、ではない龍だ。それもかなりでかい」
「「はぁ!?」」
「なんでここで被るんだよ!」
「やっと追いついたからに決まってるだろぜぇぜぇぜぇ。コウイチ、お前足早いなぜぇぜぇ」
「マユ姉だったか。いや、俺はまだ全速では走ってないぞ。だから息も切れてない」
「あ、あ、あれで全力じゃないぜぇぜぇ、のかぜぇぜぇ。あれ?」
「どした?」
「なんぜ全力え走らないぜぇぜぇんだぜ」
「文字がところどころぜぇに変換されてるようだが。あんまり早く追いつくと、俺まで戦うハメになるじゃないか」
「「そんな理由ぜぇ?!」」
「俺の戦いは、ちょうど戦闘が終わりかけたころにちょろっとだけひのきのぼうでつついたら退治できちゃった、というのを理想とするのだ」
「そんな理想があるかぁぁぁ!! あ?あ?あ?」
「ぜぇはどうした?」
「コウイチ、それどころじゃない。追いついたぞ。龍だ、それも南の大陸にしかいないとされている超レア龍だ」
「龍はさっき聞いたが、まだ元気じゃねぇか! なにやってんだ、俺の眷属どもは」
「怒るとこじゃないぞ。あれは強い。ここらで最強のタイガーウルフと言えども、ワンコロはただ1匹だ。群れで戦うからこそ最強なのだよ。それでもここらでの話だ。南の大陸にはもっと強いのがたくさんいる」
「そうだったのか。それじゃ、もうちょっとそこらで1服して弱ったころに痛いっ」
「逃げるんぜぇじゃねいぜぇじゃにゃぁぜぇぇ!!」
「日本語でOK?」
「うるさいわ!!」
「それでオツ、あいつはどんな龍なんだ? なにか弱点とか知らないか?」
「あの龍には特に弱点はない。名前は」
「「ふむふむ」」
「タングステン龍だ」
「…… ……。それはもしかしてギャグで言っているのか?」
「マジに決まってるだろうが!」
「そ、そうか。マジだったのか。まるでとってつけたような」
「そこはツッコむとこではない。白龍とか金竜なら強いがそれほど珍しくはない。それに物理攻撃はなんとか通じる。しかしタングステン龍には物理も魔法もほとんどの攻撃が通用しないのだ。あのウロコの硬さはダイヤモンドに次ぐぐらいの強度がある」
「そこまでか?! じゃあ、どうするんだ。ワンコロの攻撃だって物理だろ?」
「そうだ。せいぜい嫌がらせぐらいにしかなるまいな。あの速度があるからそう簡単にやられはしないだろうが」
「龍というだけで超S級の魔物だ。その上そんなレアな龍とは。そんなものがどうしてマイコなんかに出現するのだ……」
「マユ姉、それは我にも分からん。南の大陸でなにかが起こったのかもしれんな」
タングステン龍。全身がタングステンのウロコで覆われ、有効な攻撃はないとされる。そもそも出現事態が稀であるため分かっていないのだ。全長は10メートルほどあり、前足と後ろ足にはそれぞれ7本の鋭い爪がある。いかつい顔にはちょびひげがあり、ちょっと可愛く見えなくもない。
うかつに近づけば、簡単にその爪や尾の餌食となる。だが、巨体であるためか、動きはそれほど機敏ではない。
そんなタングステン龍の回りをワンコロとネコウサが走り回っている。たまに足や胴に噛みついたりしているようだが、遠目にはじゃれているようにしか見えない。
「遠目じゃないだろ。もっと近くで助けようとは思わんのか」
「マユ姉。その通り。思わない。あいつらがかなわないやつに、俺がなんとかできるわけがない」
「そういう方向だけは自信たっぷりだなおい。だめだこりゃ。私は行くぞ! 待ってろワンコロ!!」
「マユ姉が行っても足手まといじゃないかなぁ」
それはコウイチの言う通りであろう。遠距離攻撃ができるのならまだしも、剣士であるマユ姉では近づかないことには攻撃が届きもしない。しかも速度はしょせんは人間である。
龍に近づくことさえままならない状況では、ただ見ているだけにしかならない。
相手は機敏でないとはいってもあの体格である。尾や爪がほんのちょっとかすりでもすれば、致命傷となる。そんな現場である。
だからマユ姉も距離をおいて(コウイチよりはずっと近くだが)見ているしかないのだ。
そこにようやく他のメンバーが到着した。スギタ先生はお決まりの「な、なんじゃこりゃぁぁ」と叫び、アノウはすかさず弾丸ブロックを飛ばして攻撃をする。カズは覚えたての火の玉魔法を放つ。しかし、どれもほとんど効果があるようには思えない。
コウイチを始めとする残りの生徒は。
「やれ~やれ~。がんばれ~がんばれ~」と遠巻きに見ているだけであった。龍の近くでひとり地団駄踏むマユ姉を除いて。
「あ、そうだ?!」
と叫んだのはマユ姉であった。彼女は脱兎の如く駆け出し、龍ではなくコウイチのところへやってきた。そして持ち慣れた首根っこを掴むと、ずるずると引きずっていった。龍とワンコロ達が戦うその真っただ中に。
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