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第2章 的ななんかそいう感じの章
第45話 調子のいいスギタ先生
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ちんちろちんちろちちろりん、ちんちろちんちろ。
「あぁもううるさいぞ!!!」
とツッコんで目が覚めた。忘れてたのに、なんでいまごろあの音がするんだろう。しかも今度はやけに長い……あ、マユ姉?
転がったふたりはなにやらものすごい不自然な形で止まっていた。体勢はそのままだが、上下がほぼ逆になった形である。
「コウイチ、やっと起きたか。お前にもこの音が聞こえているのかぎゅぅぅ」
「マユ姉にも聞こえてるのかぐぇぇ。俺はこちらに来てから何度も聞いたのだが、なんの音だろうぎゃうぅぅ」
「私が聞いてるんだ。だが、コウイチも知らないのかぐぅぅ……ん? 何度も聞いた?」
逆さまの体勢はなかなかきついものがあるらしい。
「ああ、最初はあの寮に入ったときだった。寝ていたらこの音がした。眷属どもは聞こえないと言っていた。こっちでは普通のことかと思ってたぎゅぅ」
「そんなわけがない……。ということはもしかして……いや、そんなことあるはずが……ぎゅぎゅぎゅ」
「ん? どうした?」
「そんなことはいいぎゅ、苦しいからこの結界を早く解け!!」
「マユ姉が言い出したんだろうが。俺だってこんな嬉し恥ずかし窮屈な体勢はもうゴメンだ。ケ……あれ、ケ……。ダメだ、手がしびれて思うように動かん。この、この、このくねくねぎゅぅ」
「アァーー。こ、こ、このアホが!! 指を動かすなと言ってるだろがぎゅぅぅ!!」
「最後にぎゅぅを付けると緊迫感がなくなるな笑。いや、俺だって必死なんだよ。指の血流がなくなってしまいそうだ。壊死ニキになっちゃう」
「誰よ、それ! いいから早く結界をアァーーー」
「マユ姉、ちょっと黙って我慢してろ。動かし続ければ血行が戻ってくるようだ。そろそろできそうだ」
「い、いや、それはちょっと待て! いま私がお前の上に乗ってる状態だからこのまま解除したらぎゃぁぁぁぁぁ」
解除された瞬間、より深く繋がったという。
「よ、よし。これで解除されたぞ。楽しい時間も終わりだ」
「楽しいわけあるかぁぁ!! このやろこのやろぼかすかぼかぼかぼかぼかどんどかばかぼかぼん」
「痛い痛い痛い、どこの怪物くんだよ! 解放された途端に攻撃に転じるの止めろ!」
そうしてようやくふたりは自由を得たのであった。
「あーもう死ぬかと思ったな」
「私なんかもう何度死んだか分からん」
「ん? ピンピンしているように見えるのだが」
「そういことじゃないわ!! なにもかもお前が悪いボカスカゲコゲコボカスカ」
「痛い痛いっての。どういうことだよ。まったく大げさなやつだ、あれぐらいのことで」
「うるうるうるうるさい、なにがあれぐらいだ。私がどれだけボカスカボカスカスカスカ」
「痛い痛い痛い、もう結界は解けたんだからいいだろ。それよりあの龍はどうなったんだ?」
「見てなかったのか。結界で首が切断されたようだ。あれはおそらく即死だろうな」
「そんなすごい結界魔法を使えるやつがいたのか?! それなら最初からすればいいものを」
お前だよ!! とツッコむ気になれないマユ姉であった。
じつはそのとき、龍の首を囲っていた結界も、ネコウサのそれも同時に解除されていたのだ。驚いたのは下で解体作業をしていた冒険者たちである。
「お、おい!! またなんか落ちてきたぞ!!!」
ちょうどそこは遅れてやってきた(スギタ先生が率いてきた)冒険者たちの作業現場であった。
お宝の山にうはうはしながら作業をしていた冒険者たちの目の前に、コウイチの結界でチョンぱされたタングステン龍の首の部分が落ちてきたのだ。
幸い、下敷きになったものはいなかったが、近くにいたものはあり得ないものを見た。
首の一部と共に落ちてきたネコウサである。
それを見た皆は、この戦いを終わらせたのが誰なのかを知ったのだった(ものすごい勘違いである)。
「うひゃひゃひゃぁぁ、びっくりしたモん。コウイチのやつ、解除するならあらかじめそう言え……あれ??」
「なんか落ちて……ああっ?! あなた様は神獣様?!」
「なんだどうした。神獣って?」
「この世に4体しかいいないとされる神獣のうちのひとり、サルトラヘビ様のことだ」
コウイチたちと違う都市の冒険者たちは、ネコウサのことを知らない。ただ、中途半端に物知りな冒険者がいたようである。
「ああ、そういうめんどくさいことは読者が退屈するのでやめるモん。いまのボクはネコウサだモん」
「あ、さようで。その、ネコウサ様がどうしてこんなところに?」
「えっと、上から襲ってやろうと思って木に登ったモん……」
「ということは、神獣……ネコウサ様があのタングステン龍の首を獲ったのですね」
「え、えっと、それは、その、あの、まあそうとも言えるモん」
「「「「しかし、いったいどうやって?!」」」」
「ネコウサ殿、姿が見えなくなったと思ったら、こんなところにいたでござるか」
「あ、ワンコロか。そう、ボクはあの木の上に登って龍がやってくるのを待っていたモん」
「なるほど。そこから飛び降りて、ついでに首チョンぱ、というわけでござるな」
「え? 、あ、いや、そ、そう、その通りだモん」
「「「「「そんなすごい技があるのですね!!」」」」
(ワンコロ、フォローありがとうモん)
(そうしておいたほうがややこしくならないと、オツ殿が言うので従っただけでござる。まあいつものことでござる、先輩)
(なんとか話が繋がったかな?)
(オツ殿、冒険者と生徒たちはともかく、スギタ先生は疑っているようでござる)
(お主らをコウイチが使役していることを知ってるからなぁ。でも、現場を見てない以上、断定はできまいて)
一方そのころ。
「もうこんなこと絶対に嫌だ。こいつとは二度と口も聞かん!」
そう決心したマユ姉であった。
が、それを許すほど、この物語は優しくはないのである。
「それにしても、あの音はなんだったのだろう。コウイチも聞いたのなら私の勘違いではないということだ。騒音のレベルではなかったし、私の頭の中で響いていたし」
ひょっとしてネコサウたちも聞いたのだろうか、今度確認してみよう。あ、そうだ、忘れていた。龍は。首を切断されたタングステン龍はどうなったんだ。ほんとうに死んだのか?
ちなみに、ちんちろりん。この音は経験値が一定レベルに達してレベルが上がったときの音である
ただマユ姉はまだ学生なのでレベルは1のままである。いくら魔物を退治しても、学生のうちは経験値が付与されないのだ。レベルが上がった体験をしていないので、なんの音なのかマユ姉は知らないのである。
これには理由があって、過去に経験値欲しさに暴走を繰り返した生徒がいたために、学校側がある時期から生徒には経験値を渡さないという規制をかけたのである。
ではなぜこの場合だけレベルが上がってしまったのか。それについてはコウイチの指が関係していると思われるが、詳細は後日判明する。
「あそこで大勢がなにかやっているようだ。ずいぶんと人数が増えているようだが、どこからか応援でもきたのだろうか」
「ほんとたくさんいるな。なんで急に増えたんだ。マユ姉、なんかめんどくさそうなので、俺は近づかないようにするぞ」
「キッ」
「ひゃっ?」
「あ、いや、なんでもない。お前はここにいろ。私が見てくる」
これでコウイチと交わす会話も最後だ、とそう思うマユ姉である。が、それを許すほど、この物語は優しくはないのご~ん。
「うるさいわ!!」
作者にツッコむマユ姉であった痛たたた。
「あ、マユ姉じゃないか。どこに行ってたんだ?」
「ああ、アノウ先輩。ちょっとあちらのほうで、いろいろとあって、いまやっとそのなんというかいろいろで」
「いろいろとはなんだ? それはそうと、あのときは守り切れずに済まなかった。後で聞いたのだが、コウイチの結界で石つぶてを回避できたそうだな。ケガはなかったか?」
「え、ええ。あれは突然でしたから仕方ありません。ケガは別に……ちょっとあの、いろいろとあって、その、なんでもないです」
あれは無事といえるかどうか。少なくとも精神的には大ダメージを痛いって。
(いい加減にしないとぶっとばすわよ)
とうとう作者を脅し始めたマユ姉なのであった。なんまんだぶなんまんだぶ。
「なんだそれ? まあ無事ならいい。それより参加者の特別報酬が出ることになったぞ。俺たちも好きな部位をひとつだけ選ばせてもらえるようだ」
「あ、あはは。いろいろとはいろいろでして。気にしないでください。え? 特別報酬ですか?」
「ああ、あまりに獲物が膨大なものだから、参加した生徒や俺たちにもお裾分けということのようだ。俺はこれをもらった」
「それはタングステン龍の爪ですね」
「そうだ。これひとつで家が1軒買えるぐらいの値がつくはずだ。我が家の家宝にしようと思ってる。マユ姉も早くもらってこいよ」
「う、うん。分かりました」
お宝がもらえると聞いてマユ姉の気分は高揚し、コウイチとのことなどキレイに忘れることができた。ともかく、目の前のお宝をゲットせねば。
マユ姉が到着すると、そこには1本の剣が地面に突き刺さっていた。よくある「欲しければ抜いてみるが良い。抜いたものがこの剣の持ち主だ」的な状況である。
「あ、マユ姉か。無事のようだな、良かった良かった。心配したぞ」
いままで思い出しもしなかったくせに、調子の良いスギタ先生である。
「なんかすごいことになってますね。あれだけ大きな龍がもうこんな残骸に」
「ああ、冒険者たちが解体をやってくれたからな。肉や皮は応援に来てくれた彼らに渡す。問題は稀少な部位だが、それは私たちに優先権があるということで話を付けた」
(スギタ先生はなにもしてないと思うのだけど)
「問題はあの剣だ。皆が交代で抜こうをしたのだが、誰も抜けない。もういっそ抜いたものが所有者ということにしよう、という話になっている」
「な、なるほど。ありがちな展開ですね」
「それはたとえ思っても口に出してはならん。マユ姉、当然、やるだろ?」
「それはもちろん! 剣士としてこんな名誉なことはありません」
「それは抜けたら、の話だが。ともかくやってみるがいい」
「はい!!」
かくしてマユ姉の伝説が始まるのである。
「あの? ボクの伝説は始まらないモん?」
「あぁもううるさいぞ!!!」
とツッコんで目が覚めた。忘れてたのに、なんでいまごろあの音がするんだろう。しかも今度はやけに長い……あ、マユ姉?
転がったふたりはなにやらものすごい不自然な形で止まっていた。体勢はそのままだが、上下がほぼ逆になった形である。
「コウイチ、やっと起きたか。お前にもこの音が聞こえているのかぎゅぅぅ」
「マユ姉にも聞こえてるのかぐぇぇ。俺はこちらに来てから何度も聞いたのだが、なんの音だろうぎゃうぅぅ」
「私が聞いてるんだ。だが、コウイチも知らないのかぐぅぅ……ん? 何度も聞いた?」
逆さまの体勢はなかなかきついものがあるらしい。
「ああ、最初はあの寮に入ったときだった。寝ていたらこの音がした。眷属どもは聞こえないと言っていた。こっちでは普通のことかと思ってたぎゅぅ」
「そんなわけがない……。ということはもしかして……いや、そんなことあるはずが……ぎゅぎゅぎゅ」
「ん? どうした?」
「そんなことはいいぎゅ、苦しいからこの結界を早く解け!!」
「マユ姉が言い出したんだろうが。俺だってこんな嬉し恥ずかし窮屈な体勢はもうゴメンだ。ケ……あれ、ケ……。ダメだ、手がしびれて思うように動かん。この、この、このくねくねぎゅぅ」
「アァーー。こ、こ、このアホが!! 指を動かすなと言ってるだろがぎゅぅぅ!!」
「最後にぎゅぅを付けると緊迫感がなくなるな笑。いや、俺だって必死なんだよ。指の血流がなくなってしまいそうだ。壊死ニキになっちゃう」
「誰よ、それ! いいから早く結界をアァーーー」
「マユ姉、ちょっと黙って我慢してろ。動かし続ければ血行が戻ってくるようだ。そろそろできそうだ」
「い、いや、それはちょっと待て! いま私がお前の上に乗ってる状態だからこのまま解除したらぎゃぁぁぁぁぁ」
解除された瞬間、より深く繋がったという。
「よ、よし。これで解除されたぞ。楽しい時間も終わりだ」
「楽しいわけあるかぁぁ!! このやろこのやろぼかすかぼかぼかぼかぼかどんどかばかぼかぼん」
「痛い痛い痛い、どこの怪物くんだよ! 解放された途端に攻撃に転じるの止めろ!」
そうしてようやくふたりは自由を得たのであった。
「あーもう死ぬかと思ったな」
「私なんかもう何度死んだか分からん」
「ん? ピンピンしているように見えるのだが」
「そういことじゃないわ!! なにもかもお前が悪いボカスカゲコゲコボカスカ」
「痛い痛いっての。どういうことだよ。まったく大げさなやつだ、あれぐらいのことで」
「うるうるうるうるさい、なにがあれぐらいだ。私がどれだけボカスカボカスカスカスカ」
「痛い痛い痛い、もう結界は解けたんだからいいだろ。それよりあの龍はどうなったんだ?」
「見てなかったのか。結界で首が切断されたようだ。あれはおそらく即死だろうな」
「そんなすごい結界魔法を使えるやつがいたのか?! それなら最初からすればいいものを」
お前だよ!! とツッコむ気になれないマユ姉であった。
じつはそのとき、龍の首を囲っていた結界も、ネコウサのそれも同時に解除されていたのだ。驚いたのは下で解体作業をしていた冒険者たちである。
「お、おい!! またなんか落ちてきたぞ!!!」
ちょうどそこは遅れてやってきた(スギタ先生が率いてきた)冒険者たちの作業現場であった。
お宝の山にうはうはしながら作業をしていた冒険者たちの目の前に、コウイチの結界でチョンぱされたタングステン龍の首の部分が落ちてきたのだ。
幸い、下敷きになったものはいなかったが、近くにいたものはあり得ないものを見た。
首の一部と共に落ちてきたネコウサである。
それを見た皆は、この戦いを終わらせたのが誰なのかを知ったのだった(ものすごい勘違いである)。
「うひゃひゃひゃぁぁ、びっくりしたモん。コウイチのやつ、解除するならあらかじめそう言え……あれ??」
「なんか落ちて……ああっ?! あなた様は神獣様?!」
「なんだどうした。神獣って?」
「この世に4体しかいいないとされる神獣のうちのひとり、サルトラヘビ様のことだ」
コウイチたちと違う都市の冒険者たちは、ネコウサのことを知らない。ただ、中途半端に物知りな冒険者がいたようである。
「ああ、そういうめんどくさいことは読者が退屈するのでやめるモん。いまのボクはネコウサだモん」
「あ、さようで。その、ネコウサ様がどうしてこんなところに?」
「えっと、上から襲ってやろうと思って木に登ったモん……」
「ということは、神獣……ネコウサ様があのタングステン龍の首を獲ったのですね」
「え、えっと、それは、その、あの、まあそうとも言えるモん」
「「「「しかし、いったいどうやって?!」」」」
「ネコウサ殿、姿が見えなくなったと思ったら、こんなところにいたでござるか」
「あ、ワンコロか。そう、ボクはあの木の上に登って龍がやってくるのを待っていたモん」
「なるほど。そこから飛び降りて、ついでに首チョンぱ、というわけでござるな」
「え? 、あ、いや、そ、そう、その通りだモん」
「「「「「そんなすごい技があるのですね!!」」」」
(ワンコロ、フォローありがとうモん)
(そうしておいたほうがややこしくならないと、オツ殿が言うので従っただけでござる。まあいつものことでござる、先輩)
(なんとか話が繋がったかな?)
(オツ殿、冒険者と生徒たちはともかく、スギタ先生は疑っているようでござる)
(お主らをコウイチが使役していることを知ってるからなぁ。でも、現場を見てない以上、断定はできまいて)
一方そのころ。
「もうこんなこと絶対に嫌だ。こいつとは二度と口も聞かん!」
そう決心したマユ姉であった。
が、それを許すほど、この物語は優しくはないのである。
「それにしても、あの音はなんだったのだろう。コウイチも聞いたのなら私の勘違いではないということだ。騒音のレベルではなかったし、私の頭の中で響いていたし」
ひょっとしてネコサウたちも聞いたのだろうか、今度確認してみよう。あ、そうだ、忘れていた。龍は。首を切断されたタングステン龍はどうなったんだ。ほんとうに死んだのか?
ちなみに、ちんちろりん。この音は経験値が一定レベルに達してレベルが上がったときの音である
ただマユ姉はまだ学生なのでレベルは1のままである。いくら魔物を退治しても、学生のうちは経験値が付与されないのだ。レベルが上がった体験をしていないので、なんの音なのかマユ姉は知らないのである。
これには理由があって、過去に経験値欲しさに暴走を繰り返した生徒がいたために、学校側がある時期から生徒には経験値を渡さないという規制をかけたのである。
ではなぜこの場合だけレベルが上がってしまったのか。それについてはコウイチの指が関係していると思われるが、詳細は後日判明する。
「あそこで大勢がなにかやっているようだ。ずいぶんと人数が増えているようだが、どこからか応援でもきたのだろうか」
「ほんとたくさんいるな。なんで急に増えたんだ。マユ姉、なんかめんどくさそうなので、俺は近づかないようにするぞ」
「キッ」
「ひゃっ?」
「あ、いや、なんでもない。お前はここにいろ。私が見てくる」
これでコウイチと交わす会話も最後だ、とそう思うマユ姉である。が、それを許すほど、この物語は優しくはないのご~ん。
「うるさいわ!!」
作者にツッコむマユ姉であった痛たたた。
「あ、マユ姉じゃないか。どこに行ってたんだ?」
「ああ、アノウ先輩。ちょっとあちらのほうで、いろいろとあって、いまやっとそのなんというかいろいろで」
「いろいろとはなんだ? それはそうと、あのときは守り切れずに済まなかった。後で聞いたのだが、コウイチの結界で石つぶてを回避できたそうだな。ケガはなかったか?」
「え、ええ。あれは突然でしたから仕方ありません。ケガは別に……ちょっとあの、いろいろとあって、その、なんでもないです」
あれは無事といえるかどうか。少なくとも精神的には大ダメージを痛いって。
(いい加減にしないとぶっとばすわよ)
とうとう作者を脅し始めたマユ姉なのであった。なんまんだぶなんまんだぶ。
「なんだそれ? まあ無事ならいい。それより参加者の特別報酬が出ることになったぞ。俺たちも好きな部位をひとつだけ選ばせてもらえるようだ」
「あ、あはは。いろいろとはいろいろでして。気にしないでください。え? 特別報酬ですか?」
「ああ、あまりに獲物が膨大なものだから、参加した生徒や俺たちにもお裾分けということのようだ。俺はこれをもらった」
「それはタングステン龍の爪ですね」
「そうだ。これひとつで家が1軒買えるぐらいの値がつくはずだ。我が家の家宝にしようと思ってる。マユ姉も早くもらってこいよ」
「う、うん。分かりました」
お宝がもらえると聞いてマユ姉の気分は高揚し、コウイチとのことなどキレイに忘れることができた。ともかく、目の前のお宝をゲットせねば。
マユ姉が到着すると、そこには1本の剣が地面に突き刺さっていた。よくある「欲しければ抜いてみるが良い。抜いたものがこの剣の持ち主だ」的な状況である。
「あ、マユ姉か。無事のようだな、良かった良かった。心配したぞ」
いままで思い出しもしなかったくせに、調子の良いスギタ先生である。
「なんかすごいことになってますね。あれだけ大きな龍がもうこんな残骸に」
「ああ、冒険者たちが解体をやってくれたからな。肉や皮は応援に来てくれた彼らに渡す。問題は稀少な部位だが、それは私たちに優先権があるということで話を付けた」
(スギタ先生はなにもしてないと思うのだけど)
「問題はあの剣だ。皆が交代で抜こうをしたのだが、誰も抜けない。もういっそ抜いたものが所有者ということにしよう、という話になっている」
「な、なるほど。ありがちな展開ですね」
「それはたとえ思っても口に出してはならん。マユ姉、当然、やるだろ?」
「それはもちろん! 剣士としてこんな名誉なことはありません」
「それは抜けたら、の話だが。ともかくやってみるがいい」
「はい!!」
かくしてマユ姉の伝説が始まるのである。
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