異世界に召喚されたからって、何で俺を従者に指名するんだよ!?

オフィス景

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8 オークの親玉

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 そこは酸鼻を極める戦場だった。

 怒濤の勢いで押し寄せるオークの群れと、それを迎え撃つ冒険者たち。正面から衝突した両軍は、必死の戦いを繰り広げていた。

 遅れて参戦した形になった俺たちは、ぱっと見回して劣勢っぽいところに突っ込んだ。

「どっせい!」

 助走をつけた拳骨を手近のオークに叩き込む。豚顔の頬からは完璧な手応えが返ってきた。

「ぶもっ!?」

 奇声をあげたオークが吹っ飛んだ。何体かを巻き込んで倒れ込み、ピクリとも動かなくなる。完璧なワンパンチKOであった。

「……」

 驚いて動きを止めたのは味方だけではなかった。オークの側も自分たちよりパワーがある人間を初めて見て、度肝を抜かれていた。

 戦場全体に奇妙な静寂が訪れた。

「……」

「……」

 拳ひとつでその場の全員を黙らせたわけで、これは気分が良かった。ニヤニヤが止まらん。

 そんなに目立つことをすれば、当然オークどものヘイトは俺に集まる。怒りの咆哮をあげたオークが突進してきた。姿勢を低くした、レスリング流のタックルだ。

 スピードは申し分ない。かわすのは難しい、見事なタックルだった。



 レスリングルールであれば。



 俺はひょいと膝を上げた。

 グサッ、という擬音が聞こえそうな勢いでオークの顔に膝が突き刺さった。

 完璧な一発KO。

 知っていれば防げるが、知らなければこうなる。手本のようなKOだった。

 ますます注目が集まる。

 誰もが俺を化物でも見るような目で見てくる。

 湧き上がってくる思いは、笑顔となって面に顕れた。

「さあ、次はどいつだ?」

 オークたちをねめつけるが、誰も視線を合わせようとしない。

「……」

 ちょっと予想外の反応だ。もっと本能のままに襲いかかってくるものかと思ってたんだが。それとも、本能だけで生きているからこそ力量の差を直感できたということなのか?

 いずれにしても、このままお見合いしててもしょうがない。これで格付けが済んだということなら、後の話は簡単だ。

 味方を煽るために右手を天に突き上げる。

 その手を振り下ろそうとした時、オークの側に動きがあった。

 後方から一際大きな個体が現れたのだ。

「でけえ……」

 2メートルを大きく超える巨体は強烈な存在感を放ち、周囲を圧している。そいつが纏うオーラだけで強者と知れた。

「オ、オーガキング……」

 誰かが絶望的な呻きをもらす。

 オーガキングってことは、こいつが親玉か。なるほど。確かに周りの雑魚どもとは格が違うな。

「へへっ」

 素晴らしい闘いの予感に、思わず口元が緩む。

 進み出たオーガキングに呼応して、俺も前に出る。周りから双方の兵が退き、戦場にエアポケットのような空白地帯が生じた。

 対峙してみると、頭一つ以上相手の方がデカい。さすがにここまでデカい相手と闘った経験はない。

 けど、それがどうした。

 こいつが相手なら、全力を出せる。

 そんな確信が俺を昂らせていた。
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