異世界に召喚されたからって、何で俺を従者に指名するんだよ!?

オフィス景

文字の大きさ
7 / 8

7 敵襲

しおりを挟む
 大食い勝負は、その場に出ている屋台の料理を順繰りに食べていって、どちらかがギブアップするまで続ける形式になった。時間無制限なので、純粋な実力勝負になる。

 まずは串焼き10本。1本が大体100グラムで、トータル1キロ。美味しいし、何の問題もなくクリアした。チャレンジャーもほぼ同じペースでクリアしてきた。

 続いてのメニューは焼きそばだった。屋台とは言えばソース焼きそばが定番だが、ここのは塩焼きそばだ。あっさりしてて美味い。これまたいくらでも食えそうだったが、とりあえずのノルマは5皿。これも1キロくらいか。

「美味いよ、これも。塩加減が絶妙だ」

 そう言うと、焼きそばを作ってくれたおっちゃんがサムズアップして見せた。

 同じように親指を立てて、焼きそばを完食する。相手も着いてきたが、やや表情が固くなったように見える。

 おいおい、まだまだここからだろ。偉そうなこと言っといてここで終わりそうって、情けなさ過ぎるだろ。

 まあ、さすがにここでギブアップとはならなかったが、時間の問題という感じか。

 続いてはモツ煮が出てきた。これをドンブリで五杯。まだ余裕だ。

 一方で相手の顔色は青白くなっている。これ以上は食べ物を粗末にするだけになっちまいそうだ。

 結局ここで相手がギブアップしたため、大食い勝負は俺の勝利で終わった。正直、勝負としては不完全燃焼だったが、まあ仕方ないだろう。

 もう少し何か食べようかと思った時、激しく打ち鳴らされた鐘の音が辺りに響き渡った。

「何だ!?」

 鐘の音はひどく禍々しく響いた。

「オークのスタンピードだ!   戦えるヤツは西門へ。それ以外のヤツは避難するんだ!!」

「何だ、スタンピードって?」

「オークの異常発生よ。大変だわ」

 舞子が駆け出したので、その後をついていく。よくわからんけど、戦いになるんか?

「哲平くんは無理しないで。オークは一筋縄じゃいかないから」

「アホか。んなわけいくか」

 舞子が戦うって言ってんのに、俺が見物なんてありえねえだろうが。むしろ、そんなこと言われたら最前線で暴れるに決まってんだろ。

「あーー」

 俺の表情を見て、舞子も自分の失言に気づいたようだが、もう撤回は効かない。

 西門には騎士や冒険者が集まっていた。編制の打ち合わせをしているようだ。

「おお、舞子さま」

 誰かの声で、一斉に舞子に注目が集まる。次の瞬間には歓声が湧いた。

「勇者さまがいらしたぞ。これで安心だ」

「勇者さま、万歳!」

 目に見えて士気が跳ね上がる。

 盛り上がるのは勝手だが、この光景には違和感を抱いた。

 まさかとは思うが、こいつら舞子に丸投げする気じゃねえだろうな。

 もしそんなつもりでいるなら、オークより先にこいつらぶっ潰してやる。

 と思ったが、それが間違いだったことはすぐにわかった。

「見ててください、舞子さま。オークなんぞすぐに蹴散らして見せますよ」

「馬鹿野郎、一人でいいカッコしようとすんな。俺だってやってやるよ!」

 よくわかった。

 思わず脱力してしまう。

 こいつら、マジで裏表ねえんだな。

 少しでも疑った自分が恥ずかしくなってきた。

 しゃーない。罪ほろぼしに努めるとしようか。

 舞子に付き添う形で、俺は初めての戦場に足を踏み入れた。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。

石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。 実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。 そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。 血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。 この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。 扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。

【完結】たぶん私本物の聖女じゃないと思うので王子もこの座もお任せしますね聖女様!

貝瀬汀
恋愛
ここ最近。教会に毎日のようにやってくる公爵令嬢に、いちゃもんをつけられて参っている聖女、フレイ・シャハレル。ついに彼女の我慢は限界に達し、それならばと一計を案じる……。ショートショート。※題名を少し変更いたしました。

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

『ゴミ掃除』が役立たずと追放されたが、実は『存在抹消』級のチートだった。勇者一行がゴミで溺れているが、俺は辺境で美少女と温泉宿を経営中なので

eringi
ファンタジー
「悪いが、お前のスキル『ゴミ掃除』は魔王討伐の役には立たない。クビだ」 勇者パーティの雑用係だったアレクは、戦闘の役に立たないという理由で、ダンジョンの最深部手前で追放されてしまう。 しかし、勇者たちは気づいていなかった。 彼らの装備が常に新品同様だったのも、野営地が快適だったのも、襲い来る高レベルモンスターの死体が跡形もなく消えていたのも、すべてアレクが『掃除』していたからだということに。 アレクのスキルは単なる掃除ではない。対象を空間ごと削り取る『存在抹消』レベルの規格外チートだったのだ。 一人になったアレクは、気ままに生こうと辺境の廃村にたどり着く。 そこでボロボロになっていた伝説のフェンリル(美少女化)を『洗浄』して懐かれたり、呪われたエルフの姫君を『シミ抜き』して救ったりしているうちに、いつの間にかそこは世界最高峰の温泉宿になっていて……? 一方、アレクを失った勇者パーティは、武器は錆びつき、悪臭にまみれ、雑魚モンスターの処理すら追いつかず破滅の一途をたどっていた。 「今さら戻ってきてくれと言われても、俺はお客さん(美少女)の背中を流すのに忙しいんで」 これは、掃除屋の少年が無自覚に最強の座に君臨し、幸せなスローライフを送る物語。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます

まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。 貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。 そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。 ☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。 ☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

龍王の番〜双子の運命の分かれ道・人生が狂った者たちの結末〜

クラゲ散歩
ファンタジー
ある小さな村に、双子の女の子が生まれた。 生まれて間もない時に、いきなり家に誰かが入ってきた。高貴なオーラを身にまとった、龍国の王ザナが側近二人を連れ現れた。 母親の横で、お湯に入りスヤスヤと眠っている子に「この娘は、私の○○の番だ。名をアリサと名付けよ。 そして18歳になったら、私の妻として迎えよう。それまでは、不自由のないようにこちらで準備をする。」と言い残し去って行った。 それから〜18年後 約束通り。贈られてきた豪華な花嫁衣装に身を包み。 アリサと両親は、龍の背中に乗りこみ。 いざ〜龍国へ出発した。 あれれ?アリサと両親だけだと数が合わないよね?? 確か双子だったよね? もう一人の女の子は〜どうしたのよ〜! 物語に登場する人物達の視点です。

宮廷から追放された聖女の回復魔法は最強でした。後から戻って来いと言われても今更遅いです

ダイナイ
ファンタジー
「お前が聖女だな、お前はいらないからクビだ」 宮廷に派遣されていた聖女メアリーは、お金の無駄だお前の代わりはいくらでもいるから、と宮廷を追放されてしまった。 聖国から王国に派遣されていた聖女は、この先どうしようか迷ってしまう。とりあえず、冒険者が集まる都市に行って仕事をしようと考えた。 しかし聖女は自分の回復魔法が異常であることを知らなかった。 冒険者都市に行った聖女は、自分の回復魔法が周囲に知られて大変なことになってしまう。

処理中です...