異世界に召喚されたからって、何で俺を従者に指名するんだよ!?

オフィス景

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6 レスラーたる者、大食いでも負けるわけにはいかないんです

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 一国の都らしく、街中は賑わいに溢れていた。

「南港駅前なんて比べ物にならんな」

 ちなみに、俺たちの中学の最寄り駅で、そこそこ賑わっていた。休日になればそこに繰り出す連中も多かった。

「みんな楽しそうにしてるね」

 そういう舞子も楽しそうだ。

 改めて思う。舞子は美少女だ。性格が内向的なのと着飾ったりをしないせいで、パッと見が地味に見えてしまうが、よくよく見れば芸能人にもそうはいないくらい目鼻立ちは整っている。

 そんな舞子の無防備な笑顔はかなりの破壊力だった。

「どうかした?」

 小首を傾げる仕草なんてもうたまらん。思わずいろんなものが迸りそうになる。

 当然のように周りからの視線も集まって来たが、威嚇してやったら、みんな逃げ出した。けっ、根性なしどもが。

「何だかいい匂いがしない?」

 言われてみれば、食欲をそそる香ばしい匂いが漂っている。

 匂いを意識したら、猛烈に腹が減ってきた。吸い寄せられるように匂いの源へ向かう。

 そこは、串焼き肉の屋台だった。

「美味そうだな」

 早速購入する。

「美味ぇ」

 ジュワッと口内に広がる肉の旨味と脂の甘さ。そこに絡む醤油ベースのタレがまあ絶品で、これならいくらでも食えそうだ。

「美味しいね」

 舞子も結構な勢いで平らげていく。

 昔っから思っていたんだが、舞子はよく食う。この華奢な身体のどこにそれだけ入るんだと首を傾げるくらいよく食う。

「おっちゃん、おかわり」

「わたしも」

 やめられない止まらないと食い続けていると、周りに人が集まってきた。中には興味をそそられたのか、串焼きを購入する人も出始めた。

「兄ちゃん、いい食いっぷりだなーーこれも食ってみないか。一杯目はただでいいぜ」

 隣の屋台のおっちゃんがそんなことを言ってきた。

「いいのか?」

「美味そうに食ってくれればいい宣伝になりそうだからな」

「そういうことなら遠慮なく」

 おっちゃんから器を受け取る。中身はモツ煮に似ている。

「美味い!」

 一口で気に入った。見た目通りモツ煮だったのだが、これがまた絶品だった。煮込まれたモツはどこまでも柔らかく、染み込んだ煮汁の味が口の中に広がると、この上なく幸せな気分になる。

「おっちゃん、これ美味いよ。マジで美味い!」

 そう言うと、おっちゃんはおかわりをよそってくれた。

 ぶっちゃけ、このモツ煮ならいくらでも食える。寸胴鍋でも余裕だろう。

 すぐにおっちゃんの屋台にも客が付き始めた。

 宣伝効果が実証されたためか、他の屋台からも声がかけられた。次々とウチのも宣伝してくれと商品を渡される。

 嬉しいし、ありがたいんだけど、いいんか、これ?

「ちょっと待ったあ!」

 外野から大きな声がかかった。

「そんなヤツより俺の方が美味そうに食ってみせるぜ。俺に任せてみなよ」

 現れたのは俺と同じくらいの体格の男だった。荒くれ者っぽい雰囲気を醸し出している。

 頼まれたんなら役目を譲ってやっても良かったんだが、勝負を匂わされたんじゃ退くわけにはいかなくなる。いつどこでどんな勝負であろうと、背を向けるような軟弱者にはレスラーを名乗る資格はないのだ。

「はっ、大食いの何たるかも知らんような素人が俺に勝てると思ってんのか?」

「んだと、小僧。吐いたツバ呑まんとけや」

「ごたくはいいよ。俺より食えるってんなら見せてみろや」

 勝負が行われることになり、場は一気に盛り上がった。

「何やってんのよ。わざわざことを大きくすることないじゃない」

 舞子が呆れたように言ったが、理解できるともしてもらおうとも思わない。これは男ーー更に言うならレスラーとしてのアイデンティティーの問題だ。

 事の次第を面白がったおっちゃんたちが食材を用意してくれて、大食いの勝負が始まった。

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