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第19話「真の決着」
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四天王ゴルザを捕らえたことで、王都は守られた。俺は王からの謁見の要請も断り、捕らえたゴルザから魔王城の場所を聞き出すと、すぐさま仲間たちと共に魔王城へと向かった。世界の根本原因を断たなければ、アティスの平和も守れないからだ。
魔王城は、邪悪な瘴気が渦巻く、禍々しい城だった。
しかし、俺たちの進軍を阻むものは、もはや何もなかった。
シルヴィアの魔道具が城の結界を破壊し、フレアの武具が待ち受ける上級デーモンを薙ぎ払い、ルナの神聖な力が瘴気を浄化していく。
そして、俺の【解析眼】が、全ての罠と敵の配置を完璧に看破していた。
玉座の間。そこに、魔王はいた。
想像していたような、筋骨隆々の恐ろしい姿ではなかった。玉座に座っていたのは、ひどくやつれ、深い孤独の影を宿した、一人の青年だった。ただ、その身から放たれる魔力の量は、ゴルザなど比較にもならないほど強大だ。
「よく来たな、新たな勇者よ」
魔王は、静かに俺を見つめて言った。
俺は彼に【解析眼】を向けた。そして、その正体を知り、息をのんだ。
【対象:魔王アビス】
【本質:古代に世界を救ったが、その強大すぎる力を恐れた人々によって裏切られ、絶望の深淵に封印された『初代勇者』の成れの果て。】
【力の源:世界そのものへの復讐心。人間に裏切られた深い孤独と憎悪が、彼の魔力の根源となっている。】
【呪い:世界への憎悪が、彼自身を蝕む呪いと化している。このままでは、いずれ世界もろとも自壊する。】
……そうか。こいつも、俺と同じだったのか。
世界のために戦い、そして世界に裏切られた者。
だが、彼の絶望は、俺のそれとは比べ物にならないほど、深く、永い。
「お前も俺を力でねじ伏せ、新たな英雄譚を紡ぐつもりか?」
魔王が、自嘲気味に笑う。
俺は、静かに首を振った。そして、腰の剣を鞘に納めた。
「あんたを倒しに来たんじゃない」
俺の言葉に、魔王だけでなく、後ろに控えていたリリアたちも驚いた顔をした。
「俺は、あんたを解放しに来た」
俺は魔王に歩み寄り、まっすぐに彼の瞳を見つめた。
「あんたの気持ちは、少しだけ分かる。信じた者に裏切られる辛さも、孤独の痛みも。だから、あんたは世界を憎んだ。だが、その憎しみが、今あんた自身を一番苦しめているんじゃないか?」
【解析眼】は、彼の力の根源である「呪い」の構造も解き明かしていた。それは、複雑に絡み合った、悲しみのエネルギーの塊だった。
「その呪い、俺なら解けるかもしれない。あんたを、その永い復讐心と孤独から解放してやれる」
俺は、魔王の胸にそっと手を当てた。
そして、【解析眼】で視た呪いの核に、俺自身の魔力を静かに流し込んでいく。憎悪の鎖を断ち切るのではなく、その絡まりを一つ一つ、丁寧に解きほぐしていくように。
力でねじ伏せるのではない。本質を理解し、その根源を癒す。
それが、俺の【解析眼】が見出した、本当の解決策だった。
「……あ……あたたかい……」
魔王の体から、黒い瘴気が浄化されていく。彼の瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちた。何百年という、永い孤独の末に流した涙だった。
やがて、全ての瘴気が消え去り、そこにはただの、穏やかな顔つきの青年が残った。
「……ありがとう。君が、俺の本当の呪いを解いてくれた……」
戦意を失い、自ら力を封じた元・魔王。
世界は、新たな血を流すことなく、本当の意味で救われた。
こうして、魔王の侵攻は終わった。
歴史に残る英雄譚でも、壮絶な死闘でもない。
ただ一人の青年が、もう一人の孤独な青年の心を救った、静かで、優しい決着だった。
魔王城は、邪悪な瘴気が渦巻く、禍々しい城だった。
しかし、俺たちの進軍を阻むものは、もはや何もなかった。
シルヴィアの魔道具が城の結界を破壊し、フレアの武具が待ち受ける上級デーモンを薙ぎ払い、ルナの神聖な力が瘴気を浄化していく。
そして、俺の【解析眼】が、全ての罠と敵の配置を完璧に看破していた。
玉座の間。そこに、魔王はいた。
想像していたような、筋骨隆々の恐ろしい姿ではなかった。玉座に座っていたのは、ひどくやつれ、深い孤独の影を宿した、一人の青年だった。ただ、その身から放たれる魔力の量は、ゴルザなど比較にもならないほど強大だ。
「よく来たな、新たな勇者よ」
魔王は、静かに俺を見つめて言った。
俺は彼に【解析眼】を向けた。そして、その正体を知り、息をのんだ。
【対象:魔王アビス】
【本質:古代に世界を救ったが、その強大すぎる力を恐れた人々によって裏切られ、絶望の深淵に封印された『初代勇者』の成れの果て。】
【力の源:世界そのものへの復讐心。人間に裏切られた深い孤独と憎悪が、彼の魔力の根源となっている。】
【呪い:世界への憎悪が、彼自身を蝕む呪いと化している。このままでは、いずれ世界もろとも自壊する。】
……そうか。こいつも、俺と同じだったのか。
世界のために戦い、そして世界に裏切られた者。
だが、彼の絶望は、俺のそれとは比べ物にならないほど、深く、永い。
「お前も俺を力でねじ伏せ、新たな英雄譚を紡ぐつもりか?」
魔王が、自嘲気味に笑う。
俺は、静かに首を振った。そして、腰の剣を鞘に納めた。
「あんたを倒しに来たんじゃない」
俺の言葉に、魔王だけでなく、後ろに控えていたリリアたちも驚いた顔をした。
「俺は、あんたを解放しに来た」
俺は魔王に歩み寄り、まっすぐに彼の瞳を見つめた。
「あんたの気持ちは、少しだけ分かる。信じた者に裏切られる辛さも、孤独の痛みも。だから、あんたは世界を憎んだ。だが、その憎しみが、今あんた自身を一番苦しめているんじゃないか?」
【解析眼】は、彼の力の根源である「呪い」の構造も解き明かしていた。それは、複雑に絡み合った、悲しみのエネルギーの塊だった。
「その呪い、俺なら解けるかもしれない。あんたを、その永い復讐心と孤独から解放してやれる」
俺は、魔王の胸にそっと手を当てた。
そして、【解析眼】で視た呪いの核に、俺自身の魔力を静かに流し込んでいく。憎悪の鎖を断ち切るのではなく、その絡まりを一つ一つ、丁寧に解きほぐしていくように。
力でねじ伏せるのではない。本質を理解し、その根源を癒す。
それが、俺の【解析眼】が見出した、本当の解決策だった。
「……あ……あたたかい……」
魔王の体から、黒い瘴気が浄化されていく。彼の瞳から、一筋の涙がこぼれ落ちた。何百年という、永い孤独の末に流した涙だった。
やがて、全ての瘴気が消え去り、そこにはただの、穏やかな顔つきの青年が残った。
「……ありがとう。君が、俺の本当の呪いを解いてくれた……」
戦意を失い、自ら力を封じた元・魔王。
世界は、新たな血を流すことなく、本当の意味で救われた。
こうして、魔王の侵攻は終わった。
歴史に残る英雄譚でも、壮絶な死闘でもない。
ただ一人の青年が、もう一人の孤独な青年の心を救った、静かで、優しい決着だった。
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