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Ⅱ:お姫様は護衛様!?
06
しおりを挟む知らず識らずのうちに手に込められた力で手紙はくしゃくしゃだ。
(あの、バカ姫っ!!)
頬に一筋の雫が流れた。
『ずっと一緒にいてね、約束だよ』
幼いユリフィアの笑顔と差し出された温かい手を思い出す。
(途中で投げ出すなんて卑怯よ…私はあの日、貴女に全てを捧げると誓ったの)
だからーー。
決意に満ちた瞳でレティーシアは小切手を破り捨てた。
(ユリフィア様がそのつもりなら、私も勝手にさせて貰うわ)
踵を返し、直談判をするためにユリウスの部屋へと向かうのだった。
⚔ ⚔ ⚔
時は戻り、現在。
カン…キーン…カキーン……と派手な金属音が響く。
戦っているのは一人の少女と青年だった。
青年ーーアレクシオが踏み込んでから剣を一閃させる。
その動きは素早く、しかも攻撃は重い。
女であるユリフィアにはキツイ一撃のはずなのだが、そのような表情は一切見せなかった。
それどころか軽やかに躱し、腹部、膝、顔面と変則的な攻撃を仕掛ける。
アレクシオが反撃しても猫のような柔らかい動きで躱され、逆に仕掛けられた。
ーー面白い。
素直な感想だった。
それはユリフィアも同じだ。
またとない強い獲物。
手合わせをしてこんなにも面白いと思ったのは初めてだった。
ぎいぃーん……。
と、耳障りな音を立てて剣が舞う。
弾き飛ばされたのはアレクシオの方だった。
「まさか、ここまで追い込まれるとは思わなかった」
正直に述べると、ユリフィアは微笑みを返す。
けれど、まだ勝負がついた訳ではない。
構えを崩さず、彼女は警戒心を露わにした。
ーーここで負ける訳にはいかない。
アレクシオは右手を天にかざす。
ーー本当は剣のみで決着をつけたかったが…仕方ない、か。
覚悟を決め、アレクシオは詠唱を始めた。
「燃え盛る炎の粒子よ、今我に力を貸しあたえ給え!大玉炎舞」
すると彼の周りに魔法陣が展開され、次に火の玉が出現した。
ピンポン玉くらいだったそれは魔力供給に合わせてどんどん大きくなり、終いには人の顔2つ分ほどまで膨らんだ。
それが五つに増えたかと思えば、ユリフィアに向かって飛んでくる。
「っ!?それ卑怯だよ!!」
ユリフィアは叫びながらギリギリのところで玉を避けた。
それはそのまま背後の壁に大穴を開けて消えていく。
「冗談だよね!?」
これは少しでも当たれば命取りになるだろう。
(女の子相手に手加減なさすぎじゃないかな)
手を抜かれればそれはそれで嫌なのだが、ついそう思ってしまうユリフィアだった。
そんな彼女をアレクシオの炎魔法が追い詰める。
その時、ユリフィアを囲むように四方から火の玉が迫ってきた!
反射的に後ろに避けようとして、しかしそれは壁によって阻まれた。
いつの間にか壁側に追い込まれていたのだ。
もう逃げ場はない。
観客はそれを黙って見つめていた。
(これはダメかも。今まで出し惜しみしていたけど…やりますか!)
ユリフィアは意を決すると剣を地に刺し、早口で呪文を唱える。
「この地を潤す水の精霊よ、今我に力を貸しあたえ給え!落涙の嵐」
ユリフィアが叫ぶと同時に火の玉が弾けた。
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・執筆時間空けてしまった間に途中過程が気に食わなくなったので、設定などを少し変えて改稿しています。
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