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Ⅱ:お姫様は護衛様!?
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しおりを挟むここで話は数日前に遡る。
ーーユリフィアが姿を消して半日ほど経ったフリージア王国にて。
「ユリウス様、ご報告に参りました!」
自室で気を落ち着かせようと紅茶を飲んでいると、息も絶え絶えの衛兵が駆け込んできた。
「何か分かりましたか?」
「はい。ユリフィア姫の足取りが掴めました!どうやら、ここから東にある国境門を越えたようです」
つまり隣国のプルメリアに逃げた、ということですか。
和睦を結んでいる国とはいえ、無断で兵を動かしての人探し、とはいけませんね。
我らが姫はどうやら本格的に逃げ出しているようだ。
「それは確かな情報ですか?」
「はい。そこの見張りが眠らされ、入念に幻影の魔法も掛けられていたため発見が遅くなりましたが…彼らが朝方姫様と接触したと証言しています」
「……間違いなくあの姫の仕業ですね。まったく困ったお人だ」
思わず愚痴も溢れてしまう。
ユリフィアのお転婆さには昔から手を焼いていた。
それでも勉学や武学に励んでいる時はおとなしく、しかもその才能は目覚しいものがあった。
(調子に乗って姫にあれこれ技を授けたのが裏目に出たか…)
「とりあえず、数人隊でプルメリアに入り姫の足取りを引き続き探って下さい。あまり大ごとにしたくはありませんが…万が一の時はプルメリアの王に協力を願います」
「かしこまりました」
「ああ、魔法を使える者も連れて行って下さい。あの国は魔法が物を言いますから。それから姫を発見しても手は出さず、まずは報告をお願いします」
「了解致しました!」
衛兵が一礼して去って行く。
ユリウスは深いため息をついた。
(まったくあの姫はどこをほっつき歩いているのか…)
「……無事でいて下さい」
いつもは鉄壁の仮面も今ばかりは頼りなく崩れていた。
その頃、レティーシアはユリフィアの部屋を訪れていた。
ユリウスに言われた通り、手がかりがないか探すためである。
お城の一番奥、最上階にその部屋はあった。
中は整理され必要最低の家具と本の山があるだけの、一国の姫の部屋としては少々味気ない空間だった。
一通り部屋の中を探し回るが、目的や向かった先の手がかりとなる物は無かった。
最後に机まわりを探る。
一ヶ所だけ鍵のついた引き出しがあり、それはダイヤル式で数字を合わせれば開く仕組みとなっていた。
(ユリフィア様が考えそうな数字…)
誕生日や行事の日付けなど色々試したが開く気配はない。
ふと卓上のカレンダーに目がいった。
12月14日に星印がついている。
はっとしてレティーシアはダイヤルを回した。
すると、すんなりとそれは音を立てて外れたのだった。
(ユリフィア様…)
12月14日、それはレティーシアとユリフィアが出会った日だ。
引き出しの中には一通の手紙が入っているだけで、他には何もない。
封筒の表には「レティーシアへ」とあり、裏には「ユリフィア・アーシュガイン」というサインと姫のみが持つ印が記されていた。
震える手で封を切る。
中からは綺麗な達筆で書かれた紙と一枚の小切手が出てきた。
『レティーシアへ
これを読んでいるということは、私の家出が成功したのでしょう。
黙っていなくなるなんて卑怯な真似をして本当にごめんなさい。
でももうこれ以上、貴女に迷惑をかける訳にはいきません。
昔交わしたあの契りは今日をもって無効とします。自由に生きて…。
小切手はユリウスに申請すれば大丈夫です。
心ばかりのお礼と謝罪の気持ちを込めて……。 ユリフィア』
いつもとは異なり丁寧な言葉で書かれていたが、その字は間違いなくユリフィアのものだった。
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