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Ⅱ:お姫様は護衛様!?
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しおりを挟むこほん、とレストが咳払いを一つして改めてこちらを向いた。
「実はいきなりですが、貴女にお願いがありまして…あぁ、ちなみに運営からのお話というのは私が頼んで伝えて頂いた事なので気にしないで下さい」
「あ、そうなんですか。それで…私にお願いというのは?」
「それは…時に貴女はこれから行く宛はありますか?」
「ないですね」
即答だった。
(そう言えば大会の後のことまでは考えていなかったな…そもそも出場したのも賞金目当てだったし)
私の答えに二人は驚いたようだったが、それなら好都合とレストは笑った。
「私からお伝えするより、本人に言って貰いましょうか」
懐から水晶を取り出すと「陛下~?」と緊張感のカケラもない声でレストは叫んだ。
「…何か呼んだかい?」
数泊遅れで一人の男性の姿を映し出す。
「親父!」
(アレクーーじゃなくてアレクシオ王子のお父様で、レストが陛下と呼ぶ人…ってこの国のトップよね!?)
今さらながらにその事実に気づいた。
アレクシオと良く似た顔立ち、けれど貫禄と威厳を纏っている様はまさに「陛下」と呼ぶべき人だった。
「初めまして、私はアレクシオの父親であるクロス・ナイトレイだよ」
人懐っこい笑みを浮かべて陛下ーーもといクロスは名乗る。
「きょ、恐縮です!初めまして、私はユリフィアと申します」
(王子様の次は王様登場って聞いてないよ~!?)
内心、私がフリージアの姫と見抜かれないかドキドキだ。
心臓に悪すぎる…。
けれどそんな心配は杞憂に終わった。
アレクシオはもちろんのこと、クロスにも特に変わった反応はない。
(…バレてない、のかな?)
ほっと一息つくと、クロスが「そう、君へのお願いのお話なんだけどね…」と先ほどから焦らされている内容を持ちかけた。
「アレクシオの護衛、つまりボディーガードになってはくれないか?」
何の冗談かと一瞬耳を疑った。
けれどクロスの瞳はどこまでも真摯で、本気なのだと知る。
「アレクシオは見ての通り極力周りに人を置かない質でね、親として国王として心配なんだ」
この国のたった一人の王子だからね、と続けた。
(確かに王子様って身分の割に警備は少ないし、お供もレストさんしかいないみたいだし…)
ユリフィアはアレクシオと通った廊下を思い出す。
普通、王族がいるとなれば大袈裟なほど衛兵を増員させるはずなのだが、ここには必要最低限の者しかいなかった。
「女性である君には頼みにくいけれど、今回の大会で優勝…しかも我が愚息にも勝利したのだから実力は申し分無い。無理にとは言わないが、どうか引き受けて貰えないだろうか?」
私が王子様の護衛??
「わ、私なんかでは務まりません!それにアレク…シオ王子はお強いではありませんか」
「それでも君が勝ちをおさめた」
うっ!それは…そうなんだけど……ねぇ?
「アレク…シオ王子はどう思いますか?こんな女性に護られて嬉しいですか?」
アレク呼びが抜けず、カタコトで彼の名を呼び迫る。
「本音を言えば女性に護られるなど、ありえないが…ユリフィアは規格外だし、それに女性のほうが何かと良いか…?」
前半は堂々と後半はまるで自分に言い聞かせるようにアレクシオは呟いた。
「…国王陛下、恐れながらに申し上げます。大会の優勝者だからとどこの馬の骨とも知れぬ者を無防備に王子へ近づけるのは得策とは思えません!」
本来ならレストの台詞なのだろうが、等の彼は面白そうにこのやり取りを傍観している。
(うう。どうして私は他国の王族に偉そうに助言しているんだろう…)
ユリフィアは正論を言ってから少しだけ後悔するのだった。
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