24 / 30
Ⅱ:お姫様は護衛様!?
10
しおりを挟む「どこの馬の骨って自分で言うか?」
アレクシオは吹き出し、レストも笑い病を再発させ、クロスに至っては「うん、合格!」と親指を立てた。
(じ、自由な王室だなぁ~)
家出姫の言える台詞では無かったが、そんな感想しか出て来なかった。
「大丈夫だよ。君が悪人でない事はレストとアレクシオの折り紙付きだ。私はそれを信じるよ」
出会って半日しか経ってないんだけど…そんな判断を下しちゃうの!?
そんな思いを正面に座る二人に向けると、
「……お前のことはここのスタッフからも聞いている。お人好しだと」
「予選で猫を助けたり、道に迷ったおばあさんを助けてあげく自分が迷ったり、対戦で勝った相手のケガを案じたりなどその他諸々の事を把握しておりますよ」
と返ってきた。
いや、それより…レストさん、その情報源を詳しくお聞かせ願いたい!!
素性を詳しく調べられて困るのはユリフィア自身なのだが、やはりアレクシオたちの寛容さに心配せずにはいられなかった。
「どうしてもダメ、かい?」
ああ、いい大人が首を傾げてこちらを見ている…。
うっかり頷いてしまいたくなるような哀愁を醸し出すのは反則ですよ、陛下っ!!
「もう諦めて引き受けて下さい。私の仕事を減らす為にも是非!」
…レストさんはもう少し欲望を隠して。
「俺はどっちでも構わない。好きに選べ」
アレク…シオ王子にとっては割と大事なお話だよね?
もうちょっと真剣に考えてよ!
(ああーもう、ここの人たちは勝手すぎるよ!もうどうにでもなれっ!!)
半ばヤケになってユリフィアは叫んだ。
「分かりました。私、王子の護衛をお引き受けしますっ!!」
ーーそう啖呵を切った私はその後、すぐに城へと案内された。
フリージアのお城より数倍大きく、外装・内装ともに豪華で、けれど品は損なわれることなくそれは聳え立っていた。
初日ということもあり、簡単に城内を案内された後、ある部屋へと通される。
フリージアの自室ほどあるその部屋はきちんと整理され、ホコリ一つない状態だった。
「この部屋を好きに使って下さい。ここはもうユリフィア嬢専用です。ちなみに、すぐ隣はアレクシオ様のお部屋になります」
笑顔のレストから説明を受け、詳しくは明日お話ししましょうとそのまま解散になる。
その翌日は目が回るほど忙しかった。
朝から晩までみっちりとレストさんにプルメリア王国の事、アレクシオ様の事などを叩き込まれたのだ。
元々記憶力は良い方なので、一回説明を受ければある程度は理解出来た。
大なり小なり違いはあれどユリフィアは曲がりなりにも王族。
城の造りも把握してしまえば日常で困ることはないだろう。
「ーーはい、本日はここまでになります。いやぁ、ユリフィアさんは優秀ですね!一通りの教養もありますし、これなら問題ないでしょう」
時計の針が夜の11時をさした頃、レストから合格を貰った。
「あ、ありがとうございました…」
(流石に疲れちゃったよ…)
頭の使い過ぎでぐったりしてしまう。
「お疲れ様です。これでも食べて下さい、元気になりますよ」
そう言って差し出されたのは、温かい紅茶とガトーショコラだった。
「ありがとうございます!!」
好物を前にして我慢など出来ない。
ユリフィアは遠慮なくそれらに手を伸ばした。
「明日から正式にアレクシオ様の護衛について頂きます。何か質問はありますか?」
幸せそうな顔でケーキを頬張るユリフィアに、レストは苦笑しながら訊ねる。
「今は…特にないです」
「そうですか。それでは分からないことがあれば、その都度私か王子にでも聞いてください」
「はい!」
「明日からよろしくお願いしますね」
「精一杯頑張ります!!」
勢いよく叫び、気合いを入れるため己の両頬を軽く叩いた。
明日から新しい日々が始まるのだ。
期待と希望、それから少しの不安を抱えてユリフィアはレストの部屋をあとにした。
0
あなたにおすすめの小説
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
侯爵夫人のハズですが、完全に無視されています
猫枕
恋愛
伯爵令嬢のシンディーは学園を卒業と同時にキャッシュ侯爵家に嫁がされた。
しかし婚姻から4年、旦那様に会ったのは一度きり、大きなお屋敷の端っこにある離れに住むように言われ、勝手な外出も禁じられている。
本宅にはシンディーの偽物が奥様と呼ばれて暮らしているらしい。
盛大な結婚式が行われたというがシンディーは出席していないし、今年3才になる息子がいるというが、もちろん産んだ覚えもない。
リトライさせていただきます!〜死に戻り令嬢はイケメン神様とタッグを組んで人生をやり直す事にした。今度こそ幸せになります!!〜
ゆずき
恋愛
公爵家の御令嬢クレハは、18歳の誕生日に何者かに殺害されてしまう。そんなクレハを救ったのは、神を自称する青年(長身イケメン)だった。
イケメン神様の力で10年前の世界に戻されてしまったクレハ。そこから運命の軌道修正を図る。犯人を返り討ちにできるくらい、強くなればいいじゃないか!! そう思ったクレハは、神様からは魔法を、クレハに一目惚れした王太子からは武術の手ほどきを受ける。クレハの強化トレーニングが始まった。
8歳の子供の姿に戻ってしまった少女と、お人好しな神様。そんな2人が主人公の異世界恋愛ファンタジー小説です。
※メインではありませんが、ストーリーにBL的要素が含まれます。少しでもそのような描写が苦手な方はご注意下さい。
将来を誓い合った王子様は聖女と結ばれるそうです
きぬがやあきら
恋愛
「聖女になれなかったなりそこない。こんなところまで追って来るとはな。そんなに俺を忘れられないなら、一度くらい抱いてやろうか?」
5歳のオリヴィエは、神殿で出会ったアルディアの皇太子、ルーカスと恋に落ちた。アルディア王国では、皇太子が代々聖女を妻に迎える慣わしだ。しかし、13歳の選別式を迎えたオリヴィエは、聖女を落選してしまった。
その上盲目の知恵者オルガノに、若くして命を落とすと予言されたオリヴィエは、せめてルーカスの傍にいたいと、ルーカスが団長を務める聖騎士への道へと足を踏み入れる。しかし、やっとの思いで再開したルーカスは、昔の約束を忘れてしまったのではと錯覚するほど冷たい対応で――?
地味な私では退屈だったのでしょう? 最強聖騎士団長の溺愛妃になったので、元婚約者はどうぞお好きに
有賀冬馬
恋愛
「君と一緒にいると退屈だ」――そう言って、婚約者の伯爵令息カイル様は、私を捨てた。
選んだのは、華やかで社交的な公爵令嬢。
地味で無口な私には、誰も見向きもしない……そう思っていたのに。
失意のまま辺境へ向かった私が出会ったのは、偶然にも国中の騎士の頂点に立つ、最強の聖騎士団長でした。
「君は、僕にとってかけがえのない存在だ」
彼の優しさに触れ、私の世界は色づき始める。
そして、私は彼の正妃として王都へ……
捨てられた悪役はきっと幸せになる
ariya
恋愛
ヴィヴィア・ゴーヴァン公爵夫人は少女小説に登場する悪役だった。
強欲で傲慢で嫌われ者、夫に捨てられて惨めな最期を迎えた悪役。
その悪役に転生していたことに気づいたヴィヴィアは、夫がヒロインと結ばれたら潔く退場することを考えていた。
それまでお世話になった為、貴族夫人としての仕事の一部だけでもがんばろう。
「ヴィヴィア、あなたを愛してます」
ヒロインに惹かれつつあるはずの夫・クリスは愛をヴィヴィアに捧げると言ってきて。
そもそもクリスがヴィヴィアを娶ったのは、王位継承を狙っている疑惑から逃れる為の契約結婚だったはずでは?
愛などなかったと思っていた夫婦生活に変化が訪れる。
※この作品は、人によっては元鞘話にみえて地雷の方がいるかもしれません。また、ヒーローがヤンデレ寄りですので苦手な方はご注意ください。
※表紙はAIです。
【書籍化】番の身代わり婚約者を辞めることにしたら、冷酷な龍神王太子の様子がおかしくなりました
降魔 鬼灯
恋愛
コミカライズ化決定しました。
ユリアンナは王太子ルードヴィッヒの婚約者。
幼い頃は仲良しの2人だったのに、最近では全く会話がない。
月一度の砂時計で時間を計られた義務の様なお茶会もルードヴィッヒはこちらを睨みつけるだけで、なんの会話もない。
お茶会が終わったあとに義務的に届く手紙や花束。義務的に届くドレスやアクセサリー。
しまいには「ずっと番と一緒にいたい」なんて言葉も聞いてしまって。
よし分かった、もう無理、婚約破棄しよう!
誤解から婚約破棄を申し出て自制していた番を怒らせ、執着溺愛のブーメランを食らうユリアンナの運命は?
全十話。一日2回更新 完結済
コミカライズ化に伴いタイトルを『憂鬱なお茶会〜殿下、お茶会を止めて番探しをされては?え?義務?彼女は自分が殿下の番であることを知らない。溺愛まであと半年〜』から『番の身代わり婚約者を辞めることにしたら、冷酷な龍神王太子の様子がおかしくなりました』に変更しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる