姫様従者と王子様

花夜

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Ⅱ:お姫様は護衛様!?

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「どこの馬の骨って自分で言うか?」

 アレクシオは吹き出し、レストも笑い病を再発させ、クロスに至っては「うん、合格!」と親指を立てた。

(じ、自由な王室だなぁ~)

 家出姫の言える台詞では無かったが、そんな感想しか出て来なかった。

「大丈夫だよ。君が悪人でない事はレストとアレクシオの折り紙付きだ。私はそれを信じるよ」

 出会って半日しか経ってないんだけど…そんな判断を下しちゃうの!?

 そんな思いを正面に座る二人に向けると、

「……お前のことはここのスタッフからも聞いている。お人好しだと」

「予選で猫を助けたり、道に迷ったおばあさんを助けてあげく自分が迷ったり、対戦で勝った相手のケガを案じたりなどその他諸々の事を把握しておりますよ」

 と返ってきた。

 いや、それより…レストさん、その情報源を詳しくお聞かせ願いたい!!

 素性を詳しく調べられて困るのはユリフィア自身なのだが、やはりアレクシオたちの寛容さに心配せずにはいられなかった。

「どうしてもダメ、かい?」

 ああ、いい大人が首を傾げてこちらを見ている…。

 うっかり頷いてしまいたくなるような哀愁を醸し出すのは反則ですよ、陛下っ!!

「もう諦めて引き受けて下さい。私の仕事を減らす為にも是非!」

 …レストさんはもう少し欲望を隠して。

「俺はどっちでも構わない。好きに選べ」

 アレク…シオ王子にとっては割と大事なお話だよね?

 もうちょっと真剣に考えてよ!

(ああーもう、ここの人たちは勝手すぎるよ!もうどうにでもなれっ!!)

 半ばヤケになってユリフィアは叫んだ。

「分かりました。私、王子の護衛をお引き受けしますっ!!」






ーーそう啖呵を切った私はその後、すぐに城へと案内された。

 フリージアのお城より数倍大きく、外装・内装ともに豪華で、けれど品は損なわれることなくそれは聳え立っていた。

 初日ということもあり、簡単に城内を案内されたのち、ある部屋へと通される。

 フリージアの自室ほどあるその部屋はきちんと整理され、ホコリ一つない状態だった。

「この部屋を好きに使って下さい。ここはもうユリフィア嬢専用です。ちなみに、すぐ隣はアレクシオ様のお部屋になります」

 笑顔のレストから説明を受け、詳しくは明日お話ししましょうとそのまま解散になる。

 その翌日は目が回るほど忙しかった。

 朝から晩までみっちりとレストさんにプルメリア王国の事、アレクシオ様の事などを叩き込まれたのだ。

 元々記憶力は良い方なので、一回説明を受ければある程度は理解出来た。

 大なり小なり違いはあれどユリフィアは曲がりなりにも王族。

 城の造りも把握してしまえば日常で困ることはないだろう。

「ーーはい、本日はここまでになります。いやぁ、ユリフィアさんは優秀ですね!一通りの教養もありますし、これなら問題ないでしょう」

 時計の針が夜の11時をさした頃、レストから合格を貰った。

「あ、ありがとうございました…」

(流石に疲れちゃったよ…)

 頭の使い過ぎでぐったりしてしまう。

「お疲れ様です。これでも食べて下さい、元気になりますよ」

 そう言って差し出されたのは、温かい紅茶とガトーショコラだった。

「ありがとうございます!!」

 好物を前にして我慢など出来ない。

 ユリフィアは遠慮なくそれらに手を伸ばした。

「明日から正式にアレクシオ様の護衛について頂きます。何か質問はありますか?」

 幸せそうな顔でケーキを頬張るユリフィアに、レストは苦笑しながら訊ねる。

「今は…特にないです」

「そうですか。それでは分からないことがあれば、その都度私か王子にでも聞いてください」

「はい!」

「明日からよろしくお願いしますね」

「精一杯頑張ります!!」

 勢いよく叫び、気合いを入れるため己の両頬を軽く叩いた。

 明日あすから新しい日々が始まるのだ。

 期待と希望、それから少しの不安を抱えてユリフィアはレストの部屋をあとにした。

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