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全年齢対応・表現マイルドバージョン
第24話 モンスター(妖怪)を作ろう ~素材と記憶で、命を編む~
しおりを挟む「システム。モンスターを0から製作するってどうやるんだ?」
『河童』のような『ベース』がない状態でということだ。
虫以外のカタログが出せないことを確認したうえで聞いてみる。
これで『カタログ』で選びますって答えしか出ないようなら詰む。
『現存している『属性』であれば、その『属性』の『ダンジョン』を押さえている『ダンジョンマスター』に連絡して『カタログ』を送ってもらえます。ですが、『妖怪』も『学園祭』も存在していません。どうしても、その『属性』にしたいというのであれば、1から作るほかないですね』
『カタログ』から出す、以外の方法はあるってことだ。
「その方法とは?」
『形と能力、素材。そういうモノを一つ一つ選び出し組み合わせていくことになります。ダンジョンを運営するに足るほどのモンスターを自作することになりますよ?』
「一体一体、手作りなのか?」
『ランクの低いモンスターであれば、一度雛形を作れば『マナポイント』で複数を何度でも作り出せるようになりますね』
詳しく聞いてみると、モンスターにはランクが設定されているそうだ。
GからAまでの7段階が基本。
『ダンジョンレベル』が100に到達するとS級やSS、SSSまで作れるという。
60レベルのいまだとBランクが限界。
このダンジョンだと『大百足』から後、64階層のモンスターがAランクだった。
ランクというのは身に宿す魔力の総数に関しての区別だそうで。
作ったあとからでもランクアップは可能とのこと。
一覧にするとこんな感じ。
G~F:下位(雑魚)
E~D:中位(低層ボス/中層雑魚)
C~A:上位(中層ボス/深層雑魚)
S~SSS:ダンジョンLv100以上で解禁。
ちなみに低層とは30から下。
中層は30より上の50より下。
深層が50より上の80から下という扱いだそうだ。
80から下はと聞いたら、レベル80を越えたら説明すると言って話を切られた。
ともかく、Dから下のランクであれば、一度作成してデータを『システム』に登録すれば大量生産が可能だった。
もちろん『マナポイント』があれば、という注釈はつく。
C以上については、大量にとはさすがにいかず、数体が限度らしい。
理由は『ソウルポイント』が必要になるから。
Aランクなんかは一体ずつでないと無理だそうだ。
『ソウルポイント』を大量に使う一点物。
あるいは『ネームド』扱いになるからだ。
一点物とはいえ、登録してしまえば倒されても復活可能なのは他のモンスターと変わらないそうだが。
「マナポイント以外には何が必要なんだ?」
通常でさえ、『マナポイント』と『カタログ』が必要なのだ。
『カタログ』がない分を何で補填するのか。
『確固たるイメージと、イメージを固めるための物品となります。仮に新種の『虫』を作りたいのならその虫そのものか、特徴が似ている虫が必要です』
「あー、そうか。うん。なんとなくわかる」
ゲームでありがちな『何か』と『何か』を融合させて新しいキャラを作るようなイメージでいいはずだ。
そういうことなら・・・。
◇
『メガネウロ』の飛空便に乗って、63階層へとやってきた。
『ダンジョンマスター』にはダンジョン内のどこにでもいける通路を作る能力があるのだ。
できれば転移したかったのだが、魔法適性が足りないらしくできなかった。
魔職じゃないしな。
残念だが、移動はできる。
ちょっと手間なだけだ。
63階層へとやってきた理由は物資回収と宝探しである。
ドロップアイテムなどを溜め込んでいる共用のアイテムボックスを回収。
中身をモンスターの材料にできないかと考えているのだ。
宝探しというのは、転がっている死体のことだ。
息のあるものは『巣』に運び込んだ後だが、完全な死体は捨て置いているからな。
「こういう遺体やその一部があればいいのか?」
『私が保有しているデータからも再現可能ですので必須ではありませんが、物質として存在しているモノを使えば『マナポイント』の消費は減らせます』
「データって、そんなのあるの?」
『もちろんです。高度な回復・蘇生魔法の存在が、それを必要としているのです。肉体の欠損を元に戻すとき、元のデータがないと戻せません。『エリクサー』での蘇生では肉体が残っていないこともあり得ます。ですが、再生しなければなりません。肉体とパーソナルデータの保存は私の役目の一つとなり得るのです』
死亡していても復活は可能。
そんな『システム』がある以上、『ダンジョン』に入って来る者たちのデータは常に更新しつつ保存し続けているのだという。
『本人の『魂の欠片』と保存データで再生・複製が可能となります』
「それって、死んで・・・じゃなくて魂が削り切られていても?」
もはや、微生物にしかなれないほど魂を摩耗しているモノたちも再現可能?
『浄化された人物も、『魂の元』と『データ』を使えば人格の再現が可能です。ただし、それをすれば『魔力補充要員』を減らすことになります』
「その場合は複製できなくて、元の魂を使ってしまうと?」
『その通りです』
「低ランクのモンスター作るのにも必要なことなのか?」
『不要です。人格の再現というのは『蘇生』させるならという意味です。モンスターにすることを示すものではありません。高ランクのモンスターに人格を与えるのなら別ですが』
『魂の浄化』状態の者を生き返らせるのに必要なだけで、モンスターにするならいらないということか。
「なら、問題はないな」
生き返らせる義理はない。
必要もない。
高ランクモンスターは、摩耗しきっていない魂で作ればいいだけだ。
「まずは低層の妖怪から作っていこうか」
思い付きで進めると雑になりそうなので、事前にルールを決めよう。
以下が、そのルールとする。
まずはGランク。
『蟲』の妖怪。
早い話が『人間』を宿主として育って生まれた、高ステータスの虫たち。
あれらをそのまま妖怪化しようと思う。
Fランク。
『日用品』の妖怪。
百鬼夜行でおなじみ、『物』が妖怪化した付喪神シリーズの一発目。
『化け草履』とか、『雲外鏡』とかがいいだろう。
ポーションの空きビンとか女子のコンパクトとかでも作れそうだ。
Eランク。
『学用品』の妖怪。
今回の『お客様』は学生だから、ネタは豊富だ。
付喪神シリーズの2発目とする。
Dランク。
『装備品』と『虫』の妖怪。
今回は実に265人分の装備があるからね。
これを使って付喪神シリーズの3発目とする。
Cランク。
『人体混合』。
『物』と『人間の体』をくっつけて作る。
わかりやすいところでは、傘と人の足で『唐笠お化け』。
そういうのを作る。
Bランク。
『人体(一部)』
腕だけとか足だけ、目だけといったモノ。
Aランク。
『人(完全体)』。
基本、『人間』をベースにして、個体名も付ける。
特別製の妖怪になるな。
どこに出しても恥ずかしくない妖怪にする。
皆、『お客様』を楽しませてくれるはずだ。
では、実際に作っていこう。
Gランクは・・・簡単だね。
ほとんど虫だから。
モンスターと妖怪的モンスターの違いしかない。
・・・というか、どこが違うのかと問われたらオレも答えに困る。
「愛嬌があるかどうか、かな?」
余計わからなくなりそうだ。
妖怪って、怖いだけじゃなくて、どこか哀しい。
それが、モンスターとの違いかもしれない。
歌舞伎でも有名な『土蜘蛛』。
先の戦いでもさんざん活躍した蜂の妖怪『赤蜂』。
海老に似た見た目で魂をも切る『アミキリ』。
怨念を抱いて死んだ人の顔が虫の背中に宿る『平八郎虫』
といったラインナップが、いいだろう。
特に最後のなんて実にタイムリーだ。
男女構わず、高校生の苦悶や悲哀の表情を映し出す茶色のカメムシである。
Fランク。
『ホムンクルス』。
ポーション瓶の中に、人型。
魔法を操る。
『ミラージュミラー』。
パステルピンクのコンパクトが開いた形。
中から銀色の目が覗いている。
『幻影』が得意な妖怪になりそうだ。
Eランク。
『化け靴』。
学生靴の中に、履いていた生徒の顔が浮かび上がる。
左右に泣き顔と怒り顔。
跳ねて移動するのだ。
『赤うねり』。
学生服のネクタイが宙を舞う。
『鞄魚』。
横になってエイのように宙を飛ぶ。
『制服流し』。
制服だけがふわりふわりと浮き上がる。
必死に逃げてばかりだった子の制服だ。
Dランク。
『蟻槍兵』。
兵士アリが槍を構えてやってくる。
『兜鎧』。
鎧を着た甲虫類が迫る。
剣を持っていたり、弓だったり、魔法使いだったり。
いろいろなバリエーションで作っていける。
Cランク。
『いらない』と棄てられたアイテムと、同じく捨てられている手足の組み合わせだ。
『和傘』。和香子ちゃんの手足+和傘で作る『唐笠お化け』。
持ち手が足で傘の真ん中に一つ目の妖怪・・・と見せて、実は傘の持ち手が腕になっていて、その腕が足首を握る形で立つ。
なんてのはどうだろう?
これもバリエーションはいくつでも増やせる。
『洋傘』。洋子ちゃんの手足+洋傘。
『日傘』。日下さんの手足+日傘。
『雨傘』。雨宮さんの手足+雨傘。
などなど。
傘以外でもいろいろ作れるだろうし。
Bランク。
人間の体の一部だけ。
『手形・足型』。手首から先、足首から先だけ、そんな形で動き回る。
どっかの映画やアニメで見たことあるよね。
肘から千切れた手とかでもいいだろう。
あとは・・・半分だけでも『一部』と言えるかな?
いえるよね?
そう思って探してみると、ちょうどよく組み合わせられそうな素材が目に入ってきた。
『システム』が記憶しているデータとも照合しながら、作っていこう。
でもその前に。
「もう一人のサブマス候補発見!」
データ群を確認していて見知った名前を発見した。
発見というのはおかしいか?
存在しているのは当然なんだしな。
名前を見た瞬間、胸の奥が、少しだけ、熱くなった。
それが、罪か、懐かしさか、それとも、ただの執着かは、わからなかった。
Aランクで作成すべき人物だ。
ちょうど、その子が最後にいた場所——『指揮所』——に来ている。
まずは『彼女』で作ろう。
Aランク。
『河童』の仲間を作ることになる。
ここはじっくり腰を据えてかからねば。
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