138 / 327
レーディング15(R15)・表現深化バージョン~刺激的な表現を含みます
第20話 末路③ ~出会ってしまう~
しおりを挟む◇双子、一度やってみたかった◇
「たくっ、どこまで行ったんだ?」
「いないねぇ」
剣士を探して、奥へと入っていく双子。
太い通路に出た。
直後。
「へぶ!」
「ぶへ!」
二人の姿も消えた。
「ひっ!」
「ウソっ!」
後ろをついていっていた回復役と魔法使いが、足を止めて壁に縋りついた。
そこにあったのは焦げ茶色の大きな『球』。
後ろ足で支えている体長2メートルの虫もいた。
それも番い——カップルだ。
迷宮名物『転がる巨石』の虫バージョン。
探索者が『成して埋め棄てたモノ』——フンを固め集めたモノを転がしてフンコロガシさん(58階層ボス)が登場したのだった。
「や、やだ」
「くっさ!」
二人ともが顔を背け、ついで全力ダッシュで逃げに入った。
無駄なことだ。
フンコロガシさんは、脇道に逸れてまで二人を追おうとはしない。
大事な、大事な『糞球』を運ばなくてはならないのだから。
ちょっと、余計なものがくっついちゃったけどね。
双子を轢き倒してしまったのだ。
二人を大切な『糞球』に埋め込ませてしまった。
ゴロリ。
フンコロガシさんが、ゆっくりと動く。
半回転させて、下になっていた二人が外に出るようにした。
「ご、ゴベェェェェ!」
「ゲホ。ゲロロロロロ!」
二人は、転がる球に巻き込まれ、泥のような塊にまみれた。
泥のような塊──。
だが、泥ではなかった。
湿っていて、粘り気があり、鼻を刺すような刺激臭。
それは、探索者たちが残していった『成果』だった。
息もできず、視界も奪われ、ただ苦しみの中で呻いた。
それが何であるかを考える余裕すらなかった。
ただ、臭いと、生理的に吐き気を催す『味』だけが残る。
ゴロ!
糞球が再び転がる。
べちゃ!
二人のせいで湿った土に顔が押し付けられる。
吐き出した糞が、再び顔に当たりくっついたようだ。
転がる球が再び動き、双子の顔が泥のような塊に押し付けられた。
何が付着しているかを考え、楽しむことは、さすがの双子にもできない。
付着したモノのおかげで『異物感』が薄らいだのだろう。
気を取り直したように糞球を転がして、フンコロガシさんはダンジョンの奥へと消えていった。
後日。
二人は発見される。
球の中に埋もれ、頭だけを出した姿で。
かつては、男子の寝袋に潜り込むのが得意だった双子。
今は、迷宮の『寝床』に潜り込まされていた。
◇遠のく意識◇
「ひっ、ひぃっ・・・」
わき目も振らず走った回復役。
気が付くと一人で、細い通路を歩いていた。
グサ!
「カハッ!」
細い体が、宙に浮いた。
右肩から何か、突起が突き出ている。
針だ。
少し湾曲した針。
先端から、とろりとした液体が滴っている。
そのはりが、肩を貫通していた。
ガン!
突起の生えた体が、持ち上げられて天井に激突した。
脳天が見事に天井に当たり、衝撃で星が飛んでいる。
「な、に?」
無意識にだろう。
自分に『ヒール』を使いながら振り返った。
「そ、んな・・・」
絶望の呟きが漏れる。
振り返った先にいたのは紅い甲殻類。
しかも大きさが2メートル越えの、サソリだった。
「ぐッ、ぎぃぎゃぁぁぁぁぁぁぁ!」
ここで、ようやく毒が回ったらしい。
全身を電流が走るような感覚にのたうった。
幸運と言っていいのだろうか?
のたうったことが功を奏して、毒針から抜け出せた。
地面に落ちて、這おうとしている。
「ふ、ふぐっ・・・」
毒に犯されながらも、何とか動こうと必死だ。
でも、そうはいかない。
今度はしびれが来たらしく、その場で動けなくなった。
「や、やぁだぁ!」
涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を歪めて、いやいやと首を振る。
その足元にはナメクジがいた。
15センチくらいのが無数にだ。
ふと見れば、体長が3メートルにはなりそうな大ナメクジがいて、背中から続々と小さなナメクジが下りて向かってきている。
ナメクジたちは、足元から這い上がってきた。
ぬるり、ぬるり。
冷たく、湿った感触が、肌を這う。
「ひっ・・・ひんっ・・・や、やだ・・・・・・っ」
毒のせいで、現実がぼやける。
触れられているのに、感覚が曖昧で、どこを這われているのかもわからない。
ただ、何かが確かに『自分の中』に入り込んでくるような錯覚。
それが、恐怖なのか、嫌悪なのか、もう判断もつかない。
「や・・・やめて・・・・・・やめてぇ・・・・・・」
涙と鼻水でぐしゃぐしゃになった顔を、ナメクジが這う。
ぬめりが唇に触れ、思わず息を呑む。
その瞬間、自分の体が、自分のものではなくなったような感覚に襲われた。
『動けない。声も出ない。でも、何かが、確かに自分の中で動いている──。』
そのまま、彼女は静かに意識を手放した。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】元ゼネコンなおっさん大賢者の、スローなもふもふ秘密基地ライフ(神獣付き)~異世界の大賢者になったのになぜか土方ばかりしてるんだがぁ?
嘉神かろ
ファンタジー
【Hotランキング3位】
ゼネコンで働くアラフォーのおっさん、多田野雄三は、ある日気がつくと、異世界にいた。
見覚えのあるその世界は、雄三が大学時代にやり込んだVR型MMOアクションRPGの世界で、当時のキャラの能力をそのまま使えるらしい。
大賢者という最高位職にある彼のやりたいことは、ただ一つ。スローライフ!
神獣たちや気がついたらできていた弟子たちと共に、おっさんは異世界で好き勝手に暮らす。
「なんだか妙に忙しい気もするねぇ。まあ、楽しいからいいんだけど」
静かに過ごしたい冬馬君が学園のマドンナに好かれてしまった件について
おとら@ 書籍発売中
青春
この物語は、とある理由から目立ちたくないぼっちの少年の成長物語である
そんなある日、少年は不良に絡まれている女子を助けてしまったが……。
なんと、彼女は学園のマドンナだった……!
こうして平穏に過ごしたい少年の生活は一変することになる。
彼女を避けていたが、度々遭遇してしまう。
そんな中、少年は次第に彼女に惹かれていく……。
そして助けられた少女もまた……。
二人の青春、そして成長物語をご覧ください。
※中盤から甘々にご注意を。
※性描写ありは保険です。
他サイトにも掲載しております。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
学園のアイドルに、俺の部屋のギャル地縛霊がちょっかいを出すから話がややこしくなる。
たかなしポン太
青春
【第1回ノベルピアWEB小説コンテスト中間選考通過作品】
『み、見えるの?』
「見えるかと言われると……ギリ見えない……」
『ふぇっ? ちょっ、ちょっと! どこ見てんのよ!』
◆◆◆
仏教系学園の高校に通う霊能者、尚也。
劣悪な環境での寮生活を1年間終えたあと、2年生から念願のアパート暮らしを始めることになった。
ところが入居予定のアパートの部屋に行ってみると……そこにはセーラー服を着たギャル地縛霊、りんが住み着いていた。
後悔の念が強すぎて、この世に魂が残ってしまったりん。
尚也はそんなりんを無事に成仏させるため、りんと共同生活をすることを決意する。
また新学期の学校では、尚也は学園のアイドルこと花宮琴葉と同じクラスで席も近くなった。
尚也は1年生の時、たまたま琴葉が困っていた時に助けてあげたことがあるのだが……
霊能者の尚也、ギャル地縛霊のりん、学園のアイドル琴葉。
3人とその仲間たちが繰り広げる、ちょっと不思議な日常。
愉快で甘くて、ちょっと切ない、ライトファンタジーなラブコメディー!
※本作品はフィクションであり、実在の人物や団体、製品とは一切関係ありません。
幼馴染が家出したので、僕と同居生活することになったのだが。
四乃森ゆいな
青春
とある事情で一人暮らしをしている僕──和泉湊はある日、幼馴染でクラスメイト、更には『女神様』と崇められている美少女、真城美桜を拾うことに……?
どうやら何か事情があるらしく、頑なに喋ろうとしない美桜。普段は無愛想で、人との距離感が異常に遠い彼女だが、何故か僕にだけは世話焼きになり……挙句には、
「私と同棲してください!」
「要求が増えてますよ!」
意味のわからない同棲宣言をされてしまう。
とりあえず同居するという形で、居候することになった美桜は、家事から僕の宿題を見たりと、高校生らしい生活をしていくこととなる。
中学生の頃から疎遠気味だったために、空いていた互いの時間が徐々に埋まっていき、お互いに知らない自分を曝け出していく中──女神様は何でもない『日常』を、僕の隣で歩んでいく。
無愛想だけど僕にだけ本性をみせる女神様 × ワケあり陰キャぼっちの幼馴染が送る、半同棲な同居生活ラブコメ。
無能扱いされ会社を辞めさせられ、モフモフがさみしさで命の危機に陥るが懸命なナデナデ配信によりバズる~色々あって心と音速の壁を突破するまで~
ぐうのすけ
ファンタジー
大岩翔(オオイワ カケル・20才)は部長の悪知恵により会社を辞めて家に帰った。
玄関を開けるとモフモフ用座布団の上にペットが座って待っているのだが様子がおかしい。
「きゅう、痩せたか?それに元気もない」
ペットをさみしくさせていたと反省したカケルはペットを頭に乗せて大穴(ダンジョン)へと走った。
だが、大穴に向かう途中で小麦粉の大袋を担いだJKとぶつかりそうになる。
「パンを咥えて遅刻遅刻~ではなく原材料を担ぐJKだと!」
この奇妙な出会いによりカケルはヒロイン達と心を通わせ、心に抱えた闇を超え、心と音速の壁を突破する。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
【完結】かつて憧れた陰キャ美少女が、陽キャ美少女になって転校してきた。
エース皇命
青春
高校でボッチ陰キャを極めているカズは、中学の頃、ある陰キャ少女に憧れていた。実は元々陽キャだったカズは、陰キャ少女の清衣(すい)の持つ、独特な雰囲気とボッチを楽しんでいる様子に感銘を受け、高校で陰キャデビューすることを決意したのだった。
そして高校2年の春。ひとりの美少女転校生がやってきた。
最初は雰囲気が違いすぎてわからなかったが、自己紹介でなんとその美少女は清衣であるということに気づく。
陽キャから陰キャになった主人公カズと、陰キャから陽キャになった清衣。
以前とはまったく違うキャラになってしまった2人の間に、どんなラブコメが待っているのだろうか。
※小説家になろう、カクヨムでも公開しています。
※表紙にはAI生成画像を使用しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる