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第四章 求道
第四章 求道 20
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康裕は懐紙を上着の内ポケットに仕舞い、康正から受け取った拵袋と鞘に刀を納めた。
世璋は康裕を横目に苦笑いを浮かべる。
「仕事って、お前……そんな洋装に刀まで持ち出すなんて、いったいどんな――」
世璋がそう言い欠けると、突然群衆の中から多数の制服警察官が現れた。
警察官たちは濃紺で統一されたケピ帽、立襟のダブルブレストで10個ボタンの上衣、長ズボンを身に着け、左腰にサーベルを佩いている。
「どけどけ!」
「警察だ! 道を開けろ!」
「この一帯はしばらく封鎖する! 関係者以外は今すぐ立ち去れ!」
警察官たちは群衆を後ろに下がらせ、用心棒たちが取り押さえている盗賊たちを次々と捕縄で縛り始めた。
世璋たちはその様子に目を向ける。
「おっ、ようやくお巡りが来たみたいだな」
世璋が口元に不敵な笑みを浮かべると、そこへ2人の警察官がやって来た。
その内の1人である中年の男性警察官は、先ほどまで守善たちと話していた若い男に声を掛ける。
「失礼、君も輸送隊の用心棒かね? 今回の事件について話を聞きたいんだが……」
「ああ、はい。俺でよければ話しますよ」
すると突然、もう1人の男性警察官が康裕の拵袋を指差し、声を荒らげた。
「おいコラ、貴様! その刀はなんだ!? ここで騒ぎを起こした連中の1人だな!? さっさと刀を捨てて縄につけ!」
警察官に怒鳴られた康裕は無表情のまま黙っていたが、代わりに守央と世璋が間に割って入り、慌てて警察官に弁解する。
「ま、待ってくれ! こいつは盗賊じゃない!」
「そうそう! 確かに人相はわりぃかもしれねぇが、人を見た目だけで判断するのはよくねぇ! とにかく俺たちの話を――」
世璋がそう言い欠けると、群衆の中から細身の中年男性が現れた。
「その者はわたしの大切な部下だ。盗賊などではない」
男は左七三分けの黒髪と口髭が印象的で、白いドレスシャツを着用し、ダークチャコールで統一されたスリーピース・スーツと蝶ネクタイ、山高帽を身に着け、純銀の握りが付いた黒檀の杖を手にしている。
男性警察官は男の姿に目を向け、ハッとした表情を浮かべた。
「さ、鮫島様!?」
一方、世璋と守央も鮫島と呼ばれた男に目を向けながら、小声で話し始める。
「誰だよ、あの偉そうなおっさん?」
「鮫島藤次郎、薩摩出身の実業家だ。元々は王朝時代から琉球で幅を効かせてる古株の商人の1人だが、最近は海運業を拡大させたおかげでますます昇り調子らしい」
世璋は康裕を横目に苦笑いを浮かべる。
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「どけどけ!」
「警察だ! 道を開けろ!」
「この一帯はしばらく封鎖する! 関係者以外は今すぐ立ち去れ!」
警察官たちは群衆を後ろに下がらせ、用心棒たちが取り押さえている盗賊たちを次々と捕縄で縛り始めた。
世璋たちはその様子に目を向ける。
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「ああ、はい。俺でよければ話しますよ」
すると突然、もう1人の男性警察官が康裕の拵袋を指差し、声を荒らげた。
「おいコラ、貴様! その刀はなんだ!? ここで騒ぎを起こした連中の1人だな!? さっさと刀を捨てて縄につけ!」
警察官に怒鳴られた康裕は無表情のまま黙っていたが、代わりに守央と世璋が間に割って入り、慌てて警察官に弁解する。
「ま、待ってくれ! こいつは盗賊じゃない!」
「そうそう! 確かに人相はわりぃかもしれねぇが、人を見た目だけで判断するのはよくねぇ! とにかく俺たちの話を――」
世璋がそう言い欠けると、群衆の中から細身の中年男性が現れた。
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男は左七三分けの黒髪と口髭が印象的で、白いドレスシャツを着用し、ダークチャコールで統一されたスリーピース・スーツと蝶ネクタイ、山高帽を身に着け、純銀の握りが付いた黒檀の杖を手にしている。
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「さ、鮫島様!?」
一方、世璋と守央も鮫島と呼ばれた男に目を向けながら、小声で話し始める。
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