『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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ゴウキ・ファミリー

王イスイの苦悩

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「ふむ・・・中々に面倒だな」


バルジ王国国王イスイ・ハルバートは複数の書類を政務机に並べ、それらを睨みながら唸った。
イスイが行っているのは次の勇者パーティーの加入メンバーについての書類選考だ。だがリーダーであるクレアは新メンバーを入れる予定は無いとし、あくまで追放したはずのゴウキの復帰に執着している。

しかし今のところはそれでも良いと思い、イスイはあえてクレアに何も言わずにそのままにしている。どのみち補充メンバーの選定にも時間がかかる。クレアの意志を尊重したふりをして、時間経過と冒険者としての業績不振を理由に後でこちらで決めたメンバーを無理矢理加入させてしまえばよい・・・イスイはそう考えていた。
今の4人ではそう遠くないうちに凋落することになる・・・そういう確信もあった。


「馬鹿なことをしてくれた・・・」


イスイは溜め息をついて書類に目をやった。
次の勇者パーティーの候補者たちのリストである。いずれも何人もの優秀な素質と実力を持つ冒険者として推薦された者だが、誰もがあらゆる貴族や役人の息のかかった者・・・これらの中からどうにか折り合いをつけて候補を選んでいく。

クレアが不注意をせずゴウキを追放などしなければしなくて良い苦労だった。そう思うとイスイはクレアを恨まずにはいられない。
ゴウキは平民でありながら勇者パーティー選抜試験では圧倒的な成績を誇った。それだけでなく、保守的で身分差別の激しい貴族ですらが認めるほど彼には惹きつける何かがあった。
結果的に政治的な調整をほとんど行うまでもなく、ゴウキは推薦多数でメンバーとして可決された。誰もが彼の可能性を信じ、見てみたいという念からそうなった。

だが今なっては、ゴウキは勇者パーティーの外にいるほうがより高みを望めるのではないかと考える者が多い。もう彼らの推薦を得ることはできないし、政治的な衝突を乗り越えてゴウキを復帰させることは不可能だろう。

今イスイが書類選考を行っているが、候補者達はどれも能力的にはゴウキのそれに遠く及ばない・・・そう確信がイスイにはあった。
勇者パーティーはもう駄目かもしれない。イスイは絶望的な気持ちになる。


イスイはバルジ王国の国王であるが、今王家は先代と先々代の失策が響き、貴族から十分な信頼を得られているとは言えない状態だった。既に貴族の中には明確ではないにせよ、反目の意思をちらつかせている勢力もある。
表向きは平穏を維持しているように見えるバルジ王国は、実のところいつクーデターが起き、政変が起きてもおかしくはないくらいには政治的に不安定になっている。
勇者パーティーの結成と彼らの活躍は、イスイの王家としての権威を取り戻すための肝煎りの企画によるものだった。


バルジ王国は「いつか復活すると言われている魔王」が復活するとされる可能性の高い地である。
ならばこの地を冒険者の集まる地にし、常に万全に魔王を倒せる準備をーーーと築かれたのがバルジ王国とされていた。だが建国以来魔王が復活したという記録は残っていない。
今となっては御伽噺扱いであるこの魔王の存在を利用し、イスイは勇者パーティーの結成を決心した。魔王存在論は昔ほどではないが、今なお貴族や教団を始め、保守層に根強く残っているものなので利用する価値はあった。
いつか復活する魔王に対処する準備をするため、勇者パーティーには冒険者として活躍をしてもらう。名声が上がれば、自然と勇者パーティーの設立に関わった王家は評価され、権威向上に貢献してくれることになる・・・

そんなイスイの皮算用が、たった一度のイレギュラーで大きく傾こうとしている。
彼らが凋落したとき、安くない投資をした王家の衰退は必須。そのときはクレアをどうしてくれようか、などとイスイは溜め息をついて考えていた。正直なところ極刑にしても良いくらいには腹が立っていた。


そのときだった。


宰相が慌てた様子で政務室に訪れた。


「・・・なんだそれは・・・?」


宰相の報告は耳を疑うものであった。だが、それはやがてイスイどころかあらゆる者を巻き込むだけの規模となって、バルジ王国に襲いかかる問題になるのである。
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