『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

文字の大きさ
249 / 508
ゴウキ・ファミリー

盗賊団との決裂

しおりを挟む
「うっそだろ・・・おいおい」


ハンマは唖然としてゴウキ達を見つめた。


「一応聞いておくんだが、お前達がこの辺を荒らして回ってる盗賊団ってことで良いんだよな?さっきから出会うやつ全員に聞いて回ってるんだが、問答無用で襲ってくるばかりで困ってたんだ」


何とも気が抜けるような呑気なことを言ってくるゴウキ。その拳には血がついていて、ここに来るまでに配下を力でねじ伏せてきたのだということがハンマには理解できた。

コイツがサンドワーム達を倒した猛者・・・!
自分達では勝てるはずもない、とハンマは即座に理解した。


「ご明察。俺達が盗賊団さ。何か用でもあったかい?」


ハンマは降参の意思を示すように両手を上げ、お道化てそう言った。
団長であるハンマがそうしているのを見て、他の盗賊達も同じように無抵抗の意を示した。

ハンマはこれまでに国軍や賞金稼ぎの冒険者らと何度も修羅場をくぐってきた。だからこそわかった。
目の前にいる冒険者達は、一人として自分達では倒すことが出来ないと。パーティーの全員から・・・とりわけゴウキから底知れぬ恐ろしさを感じていた。
だから抵抗はしない。無駄なことはしない。

少なくとも、今はまだ。


「君たちの用事というのは俺達の首をレジプス王家に差し出すことかい?なら、取引をしないか。金を言うだけくれてやるから、ここでのことを見なかったことにしてほしい」


ハンマは取引を持ち掛けた。
どうせ敵わない相手であるのなら、とりあえずダメ元だという考えだった。


「悪いが見なかったことにはできねぇな。俺達は別に金が必要なわけじゃねぇ。お前らにここでうろうろされると困るからやめてもらいに来たんだ」


ゴウキはそう言って煙草を咥えて火を着ける。
金の話をしても微塵も反応を見せなかったゴウキを見て、ハンマは冷や汗を流す。
いくら金を積み上げても流されないタイプと判断し、いよいよ詰まれそうになっているーー と判断した。


「面倒だから王家に突き出すことだけは勘弁してもいい。だがもう盗賊稼業からは足を洗ってもらう」


それでもゴウキは一応交渉の余地を残した。
ここにいる全員を叩き潰しても良いが、円満に彼らがどこか他所へ消えるならそれはそれで目的は達成されるから良いのだ。


「ふっ・・・俺達が盗賊で無くなったのなら、もはやこの砂漠で生きていくことは出来ん」


だがハンマはゴウキの提案を聞いても、首を縦に振ったりはしなかった。


「おいおい・・・命がかかってるのにかよ」


ゴウキは煙草を地面に落とすと、それをギュッと踏みつぶす。



「俺達は砂漠の民さ。砂を離れて生きていくことはできん」


ハンマは最後の最後までとっておいた最終手段による抵抗を試みようとしていた。
盗賊団として日陰の道を進んでいるハンマ達とて、生まれ故郷であるこの砂漠の地に留まることが出来ぬのならば、破れかぶれでも良いから抗いたいーー そう考えていた。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

俺を振ったはずの腐れ縁幼馴染が、俺に告白してきました。

true177
恋愛
一年前、伊藤 健介(いとう けんすけ)は幼馴染の多田 悠奈(ただ ゆうな)に振られた。それも、心無い手紙を下駄箱に入れられて。 それ以来悠奈を避けるようになっていた健介だが、二年生に進級した春になって悠奈がいきなり告白を仕掛けてきた。 これはハニートラップか、一年前の出来事を忘れてしまっているのか……。ともかく、健介は断った。 日常が一変したのは、それからである。やたらと悠奈が絡んでくるようになったのだ。 彼女の狙いは、いったい何なのだろうか……。 ※小説家になろう、ハーメルンにも同一作品を投稿しています。 ※内部進行完結済みです。毎日連載です。

【完結】魔王を倒してスキルを失ったら「用済み」と国を追放された勇者、数年後に里帰りしてみると既に祖国が滅んでいた

きなこもちこ
ファンタジー
🌟某小説投稿サイトにて月間3位(異ファン)獲得しました! 「勇者カナタよ、お前はもう用済みだ。この国から追放する」 魔王討伐後一年振りに目を覚ますと、突然王にそう告げられた。 魔王を倒したことで、俺は「勇者」のスキルを失っていた。 信頼していたパーティメンバーには蔑まれ、二度と国の土を踏まないように察知魔法までかけられた。 悔しさをバネに隣国で再起すること十数年……俺は結婚して妻子を持ち、大臣にまで昇り詰めた。 かつてのパーティメンバー達に「スキルが無くても幸せになった姿」を見せるため、里帰りした俺は……祖国の惨状を目にすることになる。 ※ハピエン・善人しか書いたことのない作者が、「追放」をテーマにして実験的に書いてみた作品です。普段の作風とは異なります。 ※小説家になろう、カクヨムさんで同一名義にて掲載予定です

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

陰キャの俺が学園のアイドルがびしょびしょに濡れているのを見てしまった件

暁ノ鳥
キャラ文芸
陰キャの俺は見てしまった。雨の日、校舎裏で制服を濡らし恍惚とする学園アイドルの姿を。「見ちゃったのね」――その日から俺は彼女の“秘密の共犯者”に!? 特殊な性癖を持つ彼女の無茶な「実験」に振り回され、身も心も支配される日々の始まり。二人の禁断の関係の行方は?。二人の禁断の関係が今、始まる!

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

友達の妹が、入浴してる。

つきのはい
恋愛
 「交換してみない?」  冴えない高校生の藤堂夏弥は、親友のオシャレでモテまくり同級生、鈴川洋平にバカげた話を持ちかけられる。  それは、お互い現在同居中の妹達、藤堂秋乃と鈴川美咲を交換して生活しようというものだった。  鈴川美咲は、美男子の洋平に勝るとも劣らない美少女なのだけれど、男子に嫌悪感を示し、夏弥とも形式的な会話しかしなかった。  冴えない男子と冷めがちな女子の距離感が、二人暮らしのなかで徐々に変わっていく。  そんなラブコメディです。

防御力を下げる魔法しか使えなかった俺は勇者パーティから追放されたけど俺の魔法に強制脱衣の追加効果が発現したので世界中で畏怖の対象になりました

かにくくり
ファンタジー
 魔法使いクサナギは国王の命により勇者パーティの一員として魔獣討伐の任務を続けていた。  しかし相手の防御力を下げる魔法しか使う事ができないクサナギは仲間達からお荷物扱いをされてパーティから追放されてしまう。  しかし勇者達は今までクサナギの魔法で魔物の防御力が下がっていたおかげで楽に戦えていたという事実に全く気付いていなかった。  勇者パーティが没落していく中、クサナギは追放された地で彼の本当の力を知る新たな仲間を加えて一大勢力を築いていく。  そして防御力を下げるだけだったクサナギの魔法はいつしか次のステップに進化していた。  相手の身に着けている物を強制的に剥ぎ取るという究極の魔法を習得したクサナギの前に立ち向かえる者は誰ひとりいなかった。 ※小説家になろうにも掲載しています。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

処理中です...