『濁』なる俺は『清』なる幼馴染と決別する

はにわ

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賢者リノア

幼馴染は浮気者 2

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トマスはリノアことを蔑ろにし、都会のいろいろな女と浮名を流していたが、意外にも勉強だけはしっかりやっており、成績は上々。そんな彼はそこそこにモテた。
村でもリノア以外の村娘から熱い視線を浴びていたトマスは、ルックスは悪くなく、社交性もある。
だから女の方から寄ってきて遊び相手には困らなかったし、トマスも「リノアよりいい嫁さんを見つけるのもいいかもしれない」などと考えていた。

トマスの中ではリノアとの将来はあくまで「セカンドプラン」、もしくは「サードプラン」として位置付けていた。都会に出て気が高ぶっただけでなく、学業の方が思いのほか優秀だったので変な自信がついてしまっていたのだ。


だが、年が経過して卒業が間近になってくると、トマスはここで漸く現実にぶつかることになる。

これまで情を交わして来た女の誰に迫っても、決してトマスと正式な婚約を結ぼうとしなかったのである。それどころか


「え?トマスは確かに遊び相手としては良かったけど、結婚となるとちょっと・・・ねぇ?」


「田舎の村・・・なんでしょ?そこへ嫁ぐというのは・・・」


「あ~、私、実は故郷に婚約者がいるの。もう将来のこと決まっちゃってるから、トマスとのことはほんの息抜きというか・・・」


婚約相手として話を持ち掛けた相手達からシビアな現実を突きつけられてトマスは愕然とした。
これまで相手をしてきた女達は、トマスとはあくまで遊びであり、本気で将来を共にしようとは考えてもいなかったのである。
ムキになったトマスは候補者のレベルを下げてでもこれまで関係を持ったり、もしくはそこそこ交友を深めた女性に声をかけたがそれでも全滅だった。

誰もが山奥の村へ嫁ぐことを敬遠したり、もしくは自分の故郷に戻って稼業を継いだり婚約者とそのまま結婚したりと既に将来設計の出来上がった女達ばかりだったのだ。


「嘘だろ・・・?」


ここに来て、トマスは漸く残酷な現実に気が付いてしまう。
遊び相手としては悪く無いと誘われはするが、しかし実のところ伴侶として選んでも良いと考えてくれていた女が皆無だという現実に、深く心が抉られたのだった。

学業は優秀な成績を収め、実際学生ながらも様々な新発見をして成果を出していたトマスは、自分は優秀な雄であると有頂天になっていた。
だが、トマスと関わった女性達は、トマスは入学当初に「婚約者がいる」と友人に話していた事実を知っていた。婚約者がいるのに浮気をする男など願い下げだったのだ。(もちろん自分達のことは棚上げである)


ショックに打ちのめされたトマスだったが、彼には最後の最後に心の支えにしていた存在がいた。それがリノアである。
彼女の存在を、今更のように思い出していた。
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