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強欲の変態
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魔物じじいが準備をすると言って奥へ引っ込んでから戻ってきたのは、本当に宣言した通り三時間ほど経過してからだった。
魔物じじいの研究とは具体的にどのようなものかは知らないが、長い時間に渡り引き篭もると言うからにはそれなりの準備が必要なのだろう、とフローラは思っていたが、戻ってきた魔物じじいを見て言葉を失った。
「ま、魔物じじい・・・?」
驚愕したのはフローラだけではない、シュウとて同じだった。
二人が驚いた理由・・・それは、戻ってきた魔物じじいが先ほどよりも更に瘦せ細っていたからだ。
「おおっと・・・」
足つきもおぼろげで、魔物じじいは思わず転倒しそうになってシュウがそれを受け止める。
「い、一体どうしたというのですか・・・!?」
付き合いが長いシュウは奇行の多い魔物じじいのことでは、ちょっとやそっとでは驚かないが、流石に数時間前と別人のように痩せ細ってくれば困惑してしまう。
しかも、久しぶりに見たときに「すっかり痩せた」とショックを受けたばかりなので猶更だった。
「いや何、これから引き篭もるための準備をしておった」
魔物じじいは答えるが「いやそれは知ってるよ!知りたいのはどんな準備をしていたのか、だよ」とフローラはツッコミそうになる。
「準備?一体何をしたんですか・・・時間はともかくそのやつれ様は・・・」
困惑して問うシュウに、魔物じじいは少し俯いて頬をかきかながら答えた。
「ナニじゃ」
「は?」
「サキュバスにヌいてもらっていた。しばらくは会いに行けんから、その分たっぷりとな」
シュウもフローラもその言葉を聞いて目が点になったが、魔物じじいはやや頬を紅潮させ語りだす。
「いや、実は恥ずかしい話なんじゃが、ここ最近調査と称して飼っているサキュバスにしこたまヌいてもらうのにドハマリしてのぅ。油断しとるとあいつら儂が死ぬまでやろうとするから危ないんじゃが、死ぬか生きるかの瀬戸際までヌいてもらうのがこれまたスリルも相まって死ぬほど気持ちええんじゃあ~~^^」
「・・・」
シュウとフローラは唖然とする。
ちなみにサキュバスは男の精液を搾取してそのまま衰弱死させるなんてこともある淫魔だが、魔物じじいはそれをあえて受け入れているのだという。
「最近いたるところでサキュバスによる被害が出ているという話があって、何か対策でもと考えて研究しだしてみたら、すっかり取り憑かれてこのザマじゃ・・・ははっ、恥ずかしい話じゃのぅ。まぁここ最近ちょっと太ってきていたから、丁度良いダイエットだと思いきることにしてみたのじゃ」
本当に恥ずかしい話である。
「えっと・・・じゃあ、随分とお痩せになっているのは・・・もしかしてサキュバスのせい?」
「左様」
ガクッとシュウは項垂れる。
寄る年波には勝てず、すっかりやつれたと思っていた魔物じじいが、実は年甲斐もない過剰なおたのしみで精を絞られたからだったのだから。
フローラはすっかりドン引きして、完全に顔から表情が消えていた。
「シュウ、お主も試してみるか?貸してやるぞ」
「やりませんよ!」
「そうか?もったいないのぅ・・・この世のものと思えぬ快楽じゃぞ。一度味わえば、もう戻ってこられないのではと思うくらいにはのぅ」
「えっ?そ、そんなに・・・?」「シュウ様!」
シュウが魔物じじの話に少しだけ興味を持ち、危ない方向へ舵を切りそうになっている変態トークを、フローラが一喝してピシャリと終わらせた。
(何よ!富と名声に興味がないだけで、普通に色欲はシュウ様以上じゃない!)
魔物じじいに高尚なイメージを少しだけ抱いていたフローラだったが、『強欲の変態』にイメージはすぐに塗り替わってしまった。
魔物じじいの研究とは具体的にどのようなものかは知らないが、長い時間に渡り引き篭もると言うからにはそれなりの準備が必要なのだろう、とフローラは思っていたが、戻ってきた魔物じじいを見て言葉を失った。
「ま、魔物じじい・・・?」
驚愕したのはフローラだけではない、シュウとて同じだった。
二人が驚いた理由・・・それは、戻ってきた魔物じじいが先ほどよりも更に瘦せ細っていたからだ。
「おおっと・・・」
足つきもおぼろげで、魔物じじいは思わず転倒しそうになってシュウがそれを受け止める。
「い、一体どうしたというのですか・・・!?」
付き合いが長いシュウは奇行の多い魔物じじいのことでは、ちょっとやそっとでは驚かないが、流石に数時間前と別人のように痩せ細ってくれば困惑してしまう。
しかも、久しぶりに見たときに「すっかり痩せた」とショックを受けたばかりなので猶更だった。
「いや何、これから引き篭もるための準備をしておった」
魔物じじいは答えるが「いやそれは知ってるよ!知りたいのはどんな準備をしていたのか、だよ」とフローラはツッコミそうになる。
「準備?一体何をしたんですか・・・時間はともかくそのやつれ様は・・・」
困惑して問うシュウに、魔物じじいは少し俯いて頬をかきかながら答えた。
「ナニじゃ」
「は?」
「サキュバスにヌいてもらっていた。しばらくは会いに行けんから、その分たっぷりとな」
シュウもフローラもその言葉を聞いて目が点になったが、魔物じじいはやや頬を紅潮させ語りだす。
「いや、実は恥ずかしい話なんじゃが、ここ最近調査と称して飼っているサキュバスにしこたまヌいてもらうのにドハマリしてのぅ。油断しとるとあいつら儂が死ぬまでやろうとするから危ないんじゃが、死ぬか生きるかの瀬戸際までヌいてもらうのがこれまたスリルも相まって死ぬほど気持ちええんじゃあ~~^^」
「・・・」
シュウとフローラは唖然とする。
ちなみにサキュバスは男の精液を搾取してそのまま衰弱死させるなんてこともある淫魔だが、魔物じじいはそれをあえて受け入れているのだという。
「最近いたるところでサキュバスによる被害が出ているという話があって、何か対策でもと考えて研究しだしてみたら、すっかり取り憑かれてこのザマじゃ・・・ははっ、恥ずかしい話じゃのぅ。まぁここ最近ちょっと太ってきていたから、丁度良いダイエットだと思いきることにしてみたのじゃ」
本当に恥ずかしい話である。
「えっと・・・じゃあ、随分とお痩せになっているのは・・・もしかしてサキュバスのせい?」
「左様」
ガクッとシュウは項垂れる。
寄る年波には勝てず、すっかりやつれたと思っていた魔物じじいが、実は年甲斐もない過剰なおたのしみで精を絞られたからだったのだから。
フローラはすっかりドン引きして、完全に顔から表情が消えていた。
「シュウ、お主も試してみるか?貸してやるぞ」
「やりませんよ!」
「そうか?もったいないのぅ・・・この世のものと思えぬ快楽じゃぞ。一度味わえば、もう戻ってこられないのではと思うくらいにはのぅ」
「えっ?そ、そんなに・・・?」「シュウ様!」
シュウが魔物じじの話に少しだけ興味を持ち、危ない方向へ舵を切りそうになっている変態トークを、フローラが一喝してピシャリと終わらせた。
(何よ!富と名声に興味がないだけで、普通に色欲はシュウ様以上じゃない!)
魔物じじいに高尚なイメージを少しだけ抱いていたフローラだったが、『強欲の変態』にイメージはすぐに塗り替わってしまった。
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