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ハニートラップ2

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リュートのことについて話をしたその夜、リュートはやはりいつものようにドロシーを誘いにやっていた。
歳の差があるとはいえ、一応はオミトの恋人ということになっているドロシーを恥ずかしげもなく誘いこむリュートのモラルの低さに隠れて様子を見ていたオミトは霹靂とする。

そういえば以前、その脇の甘さが誘引した醜聞により、当時この家を実質的に取り仕切っていたショウが頭を抱えていたなと思い出す。当時はリュートの婚約破棄による慰謝料から何からでルーデル家が傾きかねない大騒ぎになったわけだが、どうにもそのときの教訓が彼の中で生かされていないのだなとオミトは情けない気持ちになった。

こんなのでも現ルーデル家当主である。多少血を見てでもリュートを辺境伯の座から引きずり落とさないと、いずれこのルーデル領のみならず国全体を揺るがす問題になりかねないなと、思わずにはいられなくなった。

オミトはリュートがドロシーを誘った食堂の隣の部屋で、一人聞き耳に立てていた。
ドロシーはあえてリュートの誘いに乗り、情報を引き出そうとしているのだが、それでも途中でリュートが強引に迫ってくる可能性は低くはない。そのときにオミトがそれとなく邪魔をするというのが彼がこうして聞き耳を立てている理由であるが、いざ乗り込んだ際にはこれまでの鬱憤もあってその場で斬り捨ててしまわないかオミトは自分で少し心配になっていた。


(とはいえ・・・)


リュートとドロシーの会話の内容を聞いているオミトだが、それでも流石にリュートも中々情報を出さない。
というか、ドロシーのことを知りたいと話し、彼女の話を聞くことに重きを置いているために中々自分ことすらも話さない。
つらつらと自分語りをするような男ではなかったのが意外だが、今だけはその性格はよろしくなかった。自分語りのあまりボロを出してくれるのが理想なのだ。


ある程度食事が進んだところで、リュートは早速攻勢に出たようであった。
お酒を勧めだしたのである。

人は酒に酔えば判断力を失い、ボロを出すことが多くなる。ドロシーはチャンスとばかりに、勧められたお酒を飲むことにした。
提供される酒は何かよからぬものが入っているか勘ぐったが、酒を運ぶ使用人はこの邸では例に漏れずショウを慕っていた者なので、リュートのそういった悪事に加担するような人間ではない。むしろリュート自身に毒を盛ることはあるかもしれない。


そうして少しばかり酒を飲み交わすうち、今度はリュートは部屋で飲み直さないかと誘いをかけた。

---来た!

オミトは待っていたそのときが来たことで、思わず拳を握りこんだ。
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