Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶

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第1章

第六話 ~リーファの気持ちを聞いた俺は今後の為に決意を固めた~

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 第六話




「私と結婚しなさい。ベルフォード・ラドクリフ」


 俺の目をしっかりと見つめ、リーファ……いや、リーフレット・アストレアは気持ちを話してくれた。

「……正直に言えば、リーファの気持ちはとても嬉しい」
「何よ。断る前提みたいな切り出し方をして」

 ジトリとした目で睨みつけてくる彼女に、俺は慌てて手を振る。

「ち、違うぞ!!俺はそんなつもりで話をしていない!!」
「……そうなのね。まぁ、突然のことだから困惑するのも仕方ないと思うわ」

 亜麻色の髪の毛をふぁさっとかきあげるリーファ。
 俺は彼女のその仕草がとても好きだった。

 少しだけ彼女から視線を逸らしながら俺は言葉を紡いでいく。

「こんなことを言うのは恥ずかしいし、墓場まで持ってくつもりだったけど。リーファの事を異性として見ていた時はあった」
「あらそうなのね。嬉しいわよベル」

 ふふん。と笑みを浮かべるリーファに俺は話を続ける。

「ただ、同じパーティのメンバーとして、そういう感情を持つのはダメだと思ったんだよ。ほらよく見ただろ?そういうのが原因でパーティが瓦解していくのを」
「まぁそうね。男女関係のもつれからってのは良くある理由だったわ」

「俺とお前がそういう関係になったら、ミソラの居場所も無くなると思ったんだよ。だから、リーファだけじゃなくて他の女性とも一線を引くようにしてた。まぁ俺は大してモテるような人間じゃなかったから、そんな意識は必要なかったかもしれないけどな」
「……言っちゃ悪いけど。貴方はとても女性から人気のある男だったわよ」
「……は?」

 な、何言ってんだよ。女性から人気のある冒険者ってのはエリックみたいなやつだろ?

 そんな俺の心を読んだのか。リーファは少しだけ呆れたように言ってきた。

「エリックが人気なのは『一般市民』からよ。まぁ貴方もそれなりに市民からも慕われてたけど、どちらかと言えば同性からが多かったわね」
「そ、そうだな。酒場のマスターとかからは若い時から良くしてもらったよ」

 男性冒険者の好感度ランキングは一般市民からの投票だからな。そう考えるとリーファの言ってることは間違ってないかもしれない。

「貴方が人気だったのは『女性の冒険者』からよ」
「……なんでだよ」

 別になにか特別なことをしたつもりはない。
 困ってるところを助けたり、伸び悩んでる若い人間に経験からアドバイスをしたりしたくらいか。
 それに、そういった行為を別に女性にばかりやってたってことは無い。

 エリックを含めて男にも良くしてたしな。

「粗暴な男性冒険者が多い中で、貴方のような実力もあって中身も紳士的な人は彼女たちには良く映るのよ」
「だったらエリックだって同じじゃないか?」

 俺がそう言うと、リーファは笑いながら手を振った。

「彼はダメよ。だってあの子の目には貴方しか映ってないんだから。それは誰だって知ってることよ」
「……そろそろ親離れしてもらいたいとは常々思ってるよ」

 俺はそう言うと、大福を一つ手に取って口に入れる。
 甘味を味わいながら咀嚼したあと、少し苦味の強い緑茶でそれを流し込んだ。

「まあ、俺がそれなりに女性から評価をされていたということは理解したよ」
「あら、大進歩ね。偉いわよベル」
「……揶揄うなよ、リーファ」

 そして、俺は彼女の目を見ながら答えを話す。

「すごく情けないことを言ってもいいか?」
「構わないわよ?」

 深呼吸をした後に、俺はリーファに言葉を放つ。

「少し時間が欲しい」
「……まぁ、そう言うと思ったわよ」

 リーファはそう言うと、俺に向かって笑みを浮かべた。

 その後に言葉を続ける。

「何せこっちは二十年間も待って来たのよ?今さらもう少し待って欲しいなんて些事だわ」
「い、良いのか?」

「だって今日は貴方に『私が女だとわからせる為』に来たんだから。そう考えれば目標は達成したも同然よ」
「リーファは出会った時からとても美しい女性だよ。俺には手の届かない高嶺の花だと思ってた」
「ばかね。そんなのは貴方が勝手に抱いてる幻想よ」

 椅子から立ち上がったリーファは俺の方へと歩いてくる。

「立ちなさいベル」
「あ、はい」

 彼女に即されて立ち上がると、リーファは俺の身体を抱きしめてきた。

「り、リーファ!!??」
「黙りなさい。この程度のことで狼狽えるんじゃないわよ」

 エルフは女性らしい起伏が少ない種族だが、ハーフエルフのリーファはとても女性らしい身体をしている。
 彼女のとても柔らかい部分が身体に押し付けられて、理性が削られていくのを感じる。

「好きよベル。貴方が故郷に旅立つ日は教えなさい。見送りには行くわよ」
「わかった。その時には必ず話をするよ」

 俺がそう言うと、リーファは身体を離した。

「それじゃまたね、ベル。良い返事しか聞かないからそのつもりでいなさい」
「ははは。わかったよ。」

 リーファは満足そうに頷いたあと、俺の部屋を後にした。

「……リーファに対しての答えなんて、もう決まってるんだけどな」

 彼女かいなくなった部屋で俺は一人そう呟く。

「OKしかないだろ。あいつ以上に俺のことを知ってるやつは居ないからな」

 あの場で答えを出さなかったのには理由がある。

 それは、

「結婚を申し込むのは男の俺からにしたいからな。色々準備を進めてこっちからもう一度リーファに結婚を申し込もう」

 そうだな。まずは『婚約指輪(プロミスリング)』を用意しないとな。
 生半可なものは用意出来ない。
 世界に一つしかないような逸品を手にしよう。

 俺はそう考えると、風呂に入って身を清めたあとベッドに身を委ねて夢の世界に旅立って行った。
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