Sランクパーティを引退したおっさんは故郷でスローライフがしたい。~王都に残した仲間が事あるごとに呼び出してくる~

味のないお茶

文字の大きさ
57 / 59
第2章

ベルフォードとリーファの昔話 ①

しおりを挟む
 ベルフォードとリーファの昔話 ①




 家業を継いで商人になる。
 と言う目の前に敷かれたレールが嫌になった俺は、弟に家を押し付けて、冒険者を目指して王都へとやって来ていた。
 護身術として剣の心得があったし、故郷の周りに住む魔獣を倒していた経験もある。
 そんじょそこらの冒険者に遅れをとるつもりなんて微塵も感じていなかった。

 そう。この時の俺は『若さ故の慢心』に満ち溢れていたんだと思う。

 そんな俺は愛用している剣を腰に携えて、王都の中心部にある『冒険者ギルド』へと歩いていた。

 入国する際、門番をしている人間に、通行料を支払ったが、この国で『商人』になれば通行料を支払うことなく出入国が可能になる。
 ただ、月に一定額の税金を収めることになるが、ここを拠点として『商人』として暮らすのならその方がありがたいだろう。

『冒険者』の場合はCランク以上の冒険者になると通行料が免除になる。

 またどのランクであっても『税金』は免除されている。
 これは『国の有事の際に、冒険者は駆り出される』ということにある。
 国のために命を賭すのだから、税金は免除という訳だ。
 この国では『商人』か『冒険者』の身分を得ることになっている。
 俺は『冒険者』の身分を得る為に、冒険者ギルドへとやってきたわけだ。

 そして、冒険者ギルドの扉を開けた俺は、目の前あるカウンターへと足を運んだ。
 そこには若い綺麗な女性が座っていた。

 俺はその人の元へと歩いて行き、要件を伝えた。

「こんにちは。この国で冒険者になるためにやって来たベルフォードと申します。冒険者の申請をしたいのですがよろしいですか?」
「ふふふ。随分と礼儀正しいのね。商家の出身かしら?」
「はい。家業は弟に押し付けて来ました」
「あはは!!随分と悪い子ね」

 ……子供扱いされている。
 まぁ仕方ない。成人しているとは言っても、向こうから見たら子供なんだからな。

「……子供扱いしないでください。とは言いません。実際貴女から見たら子供ですからね『おばさん』」

 だが『やられっぱなし』と言うのは悔しい。
 だから俺はやり返してやることにした。

 俺と受付嬢のやり取りを聞いていた周りの先輩冒険者たちが大爆笑をしていた。
 その冒険者たちを鋭い目で受付嬢は睨みつけている。

「……へぇ?ただのあまちゃんかと思ったけど違うのね」

 少しだけ冷たくなった空気。
 子供扱いしていた奴に『おばさん』なんて言われてイラついた証拠だろう。

「まぁ、やられっぱなしは悔しいと思っただけです。他意はありませんよ」
「ふふふあらそう?じゃあこれに必要事項を書いてね。商家の息子なら文字は書けるでしょ?」

 受付嬢から提示されて紙には、名前と年齢と出身地。
 あとは、得意な武術を書く欄があった。

「ねぇ、君の故郷では『魔力検査』はやってたかしら?」
「はい。ありました。ですが残念ながら俺に魔力は無かったです」
「そう。それは残念だったわね」

 哀れみに満ちた瞳。
 まぁ魔法が使えるのは普通の人間ではひと握り。
 エルフの血を引く人種ならほとんどが使えるらしいが。
 だが、そんな物に頼らなくたってやってける。
 現に魔法なんて『詠唱する時間が無ければ発動出来ない欠陥品』なんだからな。
 剣の方が数倍も優れてる。

 だから俺は受付嬢に言ってやることにした。

「……まぁ魔法なんて言う『欠陥品』なんかに頼らなくても、この剣1本でやってやりますよ」

 俺がそう言って受付嬢に、腰に携えた剣を見せる。

 魔力を持たない人間からは拍手喝采が、魔力を持つ魔法使いからは凍てついた視線が飛んできた。

 すると、後ろから女性の声が聞こえてきた。

「ふーん。聞き捨てならない言葉が聞こえてきたわね」
「……え?」

 その声のした方へと視線を向けると、歳の頃は同年代、とても美しい見た目の『ハーフエルフ』の女性が腕組みをして立っていた。
しおりを挟む
感想 8

あなたにおすすめの小説

扱いの悪い勇者パーティを啖呵切って離脱した俺、辺境で美女たちと国を作ったらいつの間にか国もハーレムも大陸最強になっていた。

みにぶた🐽
ファンタジー
いいねありがとうございます!反応あるも励みになります。 勇者パーティから“手柄横取り”でパーティ離脱した俺に残ったのは、地球の本を召喚し、読み終えた物語を魔法として再現できるチートスキル《幻想書庫》だけ。  辺境の獣人少女を助けた俺は、物語魔法で水を引き、結界を張り、知恵と技術で開拓村を発展させていく。やがてエルフや元貴族も加わり、村は多種族共和国へ――そして、旧王国と勇者が再び迫る。  だが俺には『三国志』も『孫子』も『トロイの木馬』もある。折伏し、仲間に変える――物語で世界をひっくり返す成り上がり建国譚、開幕!

美人四天王の妹とシテいるけど、僕は学校を卒業するまでモブに徹する、はずだった

ぐうのすけ
恋愛
【カクヨムでラブコメ週間2位】ありがとうございます! 僕【山田集】は高校3年生のモブとして何事もなく高校を卒業するはずだった。でも、義理の妹である【山田芽以】とシテいる現場をお母さんに目撃され、家族会議が開かれた。家族会議の結果隠蔽し、何事も無く高校を卒業する事が決まる。ある時学校の美人四天王の一角である【夏空日葵】に僕と芽以がベッドでシテいる所を目撃されたところからドタバタが始まる。僕の完璧なモブメッキは剥がれ、ヒマリに観察され、他の美人四天王にもメッキを剥され、何かを嗅ぎつけられていく。僕は、平穏無事に学校を卒業できるのだろうか? 『この物語は、法律・法令に反する行為を容認・推奨するものではありません』

第2の人生は、『男』が希少種の世界で

赤金武蔵
ファンタジー
 日本の高校生、久我一颯(くがいぶき)は、気が付くと見知らぬ土地で、女山賊たちから貞操を奪われる危機に直面していた。  あと一歩で襲われかけた、その時。白銀の鎧を纏った女騎士・ミューレンに救われる。  ミューレンの話から、この世界は地球ではなく、別の世界だということを知る。  しかも──『男』という存在が、超希少な世界だった。

【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。

三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎ 長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!? しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。 ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。 といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。 とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない! フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

【鑑定不能】と捨てられた俺、実は《概念創造》スキルで万物創成!辺境で最強領主に成り上がる。

夏見ナイ
ファンタジー
伯爵家の三男リアムは【鑑定不能】スキル故に「無能」と追放され、辺境に捨てられた。だが、彼が覚醒させたのは神すら解析不能なユニークスキル《概念創造》! 認識した「概念」を現実に創造できる規格外の力で、リアムは快適な拠点、豊かな食料、忠実なゴーレムを生み出す。傷ついたエルフの少女ルナを救い、彼女と共に未開の地を開拓。やがて獣人ミリア、元貴族令嬢セレスなど訳ありの仲間が集い、小さな村は驚異的に発展していく。一方、リアムを捨てた王国や実家は衰退し、彼の力を奪おうと画策するが…? 無能と蔑まれた少年が最強スキルで理想郷を築き、自分を陥れた者たちに鉄槌を下す、爽快成り上がりファンタジー!

痩せる為に不人気のゴブリン狩りを始めたら人生が変わりすぎた件~痩せたらお金もハーレムも色々手に入りました~

ぐうのすけ
ファンタジー
主人公(太田太志)は高校デビューと同時に体重130キロに到達した。 食事制限とハザマ(ダンジョン)ダイエットを勧めれるが、太志は食事制限を後回しにし、ハザマダイエットを開始する。 最初は甘えていた大志だったが、人とのかかわりによって徐々に考えや行動を変えていく。 それによりスキルや人間関係が変化していき、ヒロインとの関係も変わっていくのだった。 ※最初は成長メインで描かれますが、徐々にヒロインの展開が多めになっていく……予定です。 カクヨムで先行投稿中!

最上級のパーティで最底辺の扱いを受けていたDランク錬金術師は新パーティで成り上がるようです(完)

みかん畑
ファンタジー
最上級のパーティで『荷物持ち』と嘲笑されていた僕は、パーティからクビを宣告されて抜けることにした。 在籍中は僕が色々肩代わりしてたけど、僕を荷物持ち扱いするくらい優秀な仲間たちなので、抜けても問題はないと思ってます。

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

処理中です...