完結)マサシのチョコレート

岩兎希 光 イワトキ ヒカル

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第1章 神童

あけみ

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マサシは一瞬ヒヤッとして、振り向くとそこには紺野あけみの姿があったのである。
マサシはホッとした。あけみはマサシの良き理解者であり、親友なのだ。
あけみは静かにマサシの手に紙くずを渡すとすぐに平静になり、勉強を始めた。
マサシが貰った紙くずを広げると、そこにはこう書いてあった。
 …頑張って!
 マサシの胸中に、熱い物が込み上げてきた。
もう後戻りは出来ない。何しろあけみが応援してくれているのだから!
マサシは頑張った!
チョコもなか?
焼きチョコ?
煙草チョコ
エリーゼ
と次々にチョコレートを平らげていった。
そしてパイの実を食べ終え、皮肉にも最後の大好きなピックルに取り掛かり始めた時、マサシに敗北を告げるチャイムが鳴り響いた。
 …帰り道。マサシは肩を落としながら歩いた。
別に、マサシもチョコレートを全て食べることが出来なかったからといって、悲しみにくれるほど精神的に脆くはない。ただ、あけみの慰めの言葉だけが辛かった。
 「大丈夫よ!あなたなら次こそできるわ!
わたし、マサシを信じているもの。」
 …そう、まだあきらめたら駄目なのだ!このままではただの駄菓子(駄目な菓子の子)になってしまう!
マサシはもう一度勇気を振起し、お菓子屋さんへ向かった。けれど、そこで待っていたのはさらに悲しい結末だった!
マサシの大好きなピックルが置いていなかったのだ!マサシはあちこち探した!けれど見つからない!そして店員に聞かされた言葉は残酷な言葉だった!
 「ああ、あのお菓子ならもう何処にも売っていませんよ。たぶん人気がなかったから販売停止になったんでしょう」
 …マサシはその夜、一晩中泣き明かした。悲しみに落ちて、マサシはもう生きる気力さえ残されていなかった。そんな時でさえ時間は流れ、朝が来るのだ。
 マサシは身体を引きずる様にして、学校へ向かうと、その途中、あけみとばったり会ってしまった。いつもなら嬉しいはずなのに…
 「おはようマサシ!」
 「う、うん。おはよ…。」
 「どうしたの?元気ないね。」
 「ただの寝不足。」
 その時、あけみはふとマサシの鞄がいつもより嵩が少ないのに、重量感があることに気がついた。おかしい…もしかしたらお菓子が入っていないのでは?それっておかしい?等とくだらない事を考えてしまったあけみは、心の中でちょっと反省した。けれど、今はそんなことよりマサシと、鞄の中身が心配だ。あけみは気になって、マサシに言った。
 「マサシ、鞄の中身見せて。」
 「…わかった。」
 そう言って二人は立ち止まり、鞄を置いた。マサシは出来ればあけみに鞄の中身を見せたくはなかったが、どうやら全て見透かされている様である。マサシは覚悟を決めて、鞄のファスナーを手に掴むと、思い切って鞄をあけた。すると、
 「私のじゃないわよ!」
 と激しく突っ込まれて、マサシも言い返す。
 「痛いなぁ!なんで僕の鞄見せなあかんねん!?」
「私こそどうして自分の鞄の中身見せられなきゃならないのよ!そんなことより、あな    たの鞄、今日はチョコレート入ってないでしょ!?」
「別にええやろ!チョコが入ってなくても教科書が入ってりゃ!」
「そんなの絶対におかしいわ!」
「何がおかしいねん!?」
「お菓子に異なるを付け足して書いてお菓子異のよ!」
「そんな駄洒落聞きたくないわ!」
「…マサシ、どうしてなの!?昔、私に言ったじゃない!何でも一生懸命やるこてが大事なんだって!」
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