完結)マサシのチョコレート

岩兎希 光 イワトキ ヒカル

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第1章 神童

ごめんなさい

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あけみを好きなことに振り向かせ、一生懸命にしてくれたそのマサシが今、チョコレートを食べることを諦め、鞄の中にチョコレートではなく、教科書を入れている。マサシが好きなことに一生懸命になれないでいるのだ。あけみはそれが辛くて、マサシに問いかけたのだった。
「…知っているでしょ?私、マサシに言われたから、今は一生懸命な自分に変われたのよ!」
「好きなことに一生懸命なんは今だって一緒や!けど…ピックルないねんで!?」
「ピックルがない?…知ってるわ、あなたの一番好きなチョコレートね、でもだからって他のチョコレートも食べないつもり!?チョコレートをたくさん食べ続けて癌を予防するんでしょ!?妹さんとも仲良くなったんでしょ!?」
「そんなんもう昔の話や!今じゃあ千代子もぶくぶく太ってしまって醜くなってしまった!」
「そんな!…マサシ酷いわ!それに自分の夢まで捨てることないでしゃ!」
「しゃ!?」
「ち、ちゅっと噛んだだけよ!」
「噛み過ぎ!もう俺のことはほっといてくれ!ピックルが販売中止になった時点で俺の夢も終わったんや!」
そう言ってマサシは走っていってしまった。
そして時間が経ち、夕方になった。
結局、あれからマサシは学校に行かずにブラブラと公園等を歩いた。下校の時刻になっても、家に戻ることがなんだか気がおもたくて、しばらくはうろうろとしていたが、いつまでも外にいるわけにもいかない。
仕方なく自宅まで帰ってくると、扉をあけて、家の中に入り、玄関で右足の靴を脱いでは、すぐさま左足の靴を脱ぎ、臭い足の匂いと共に床暖房の付いていない冷たい板張りの廊下に上がった。すると廊下の奥から、鶯の鳴き声の鳴る廊下を踏むとやかましいと思ってか、地面に足を付けない様に、マサシの母親のキュウコが、壁に両手両足を突っ張って、ドッコイショのコラショのドッコイショ!と言ってやってきた。
マサシが学校を休んだことを知っているのか、厳しい表情をしている。
「マサシ!ちょっと話があるから来なさい」
「学校から連絡があったわ!今まで何処に行っていたの!?それとあけみちゃんから電話があって、理由は聞きました!だからって学校は休んだら駄目でしょ!…ごめんなさい」
マサシは素直に謝った。
「お母さんの台詞を全部言わないの!」
「ごめんなさい。」
マサシはまた謝った。そして、次の瞬間ピシャン!と平手打ちが飛んできたのである。
「わかっているならそれでいいわ!でもあなたは一つ忘れている。お母さんもあけみちゃんもどれだけ心配したかわかる!?」
厳しい母の顔には、それと同時に宝石の様な涙が光っていた。
「心配かけてごめんなさい。」
「あけみちゃんにもちゃんと謝るのよ!」
母はマサシにそう言い残して、今度はドリフを見る為に、リビングに戻っていった。
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