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第1章 神童
エレベーター
しおりを挟む二人はマクドナルドに着くと、さっそくレジに並び、注文をする。あけみはその時、マサシが五百円までと言ったのを考えて、一番安いハンバーガーだけを頼んだ。
「なんや、それだけでええんか?」
「うん、家に帰ったらお母さん達の御飯作らないといけないしね。それにどうせマサシのことだから調度五百円しか持ってないんでしょ?」
マサシはすっかり見抜かれていたことに少し恥ずかしくなって、照れ隠しにさっさと自分も注文をする。
「あの…ハンバーガーを一つだけ。」
マサシがそう言うとあけみが、
「チョコシェイクも頼んだら?」
と言う。
「でも、あけみ飲み物頼まへんの?シェイク一つ買ったらそれだけでお金無くなってしまうやん。」
「別にいいわよ。でも私にもチョコシェイクちょっと頂戴ね。」
「…じゃあチョコシェイク一つください。ごめんなあけみ。」
「あけみは別にいいわよとでも言うように「ん」と一言返すと
「じゃあ私席取ってくるね。」
と言って、先にテーブルへと向かった。
そして、マサシは出てきた料理のトレー運ぼうとした。
「あれ?」
マサシが振り返ると、そこにはあけみの姿はなく、どうやら上の階に上がったようである。
前からあけみは高い所が好きで、確か前に私一番上の階が好きなのと言っていたことを思い出した。だからきっと今も一番上の階にいるはずである。
そしてマサシは一階を後にして、階段を上がって行った。
二階、三階、四階に上がった所で、マサシは一度立ち止まった。まだまだ上に続いているようである。
これだけ高い店だから、エレベーターがあるかもしれない。そう思ってマサシは四階からエレベーターを探し、それで上に上がることにした。
案の定エレベーターはすぐに見つかり、中に入って階数のボタンを押そうとする。
「ん?なんやろこの千って…」
よく見ると、0~9のボタン以外に一、十、百、千のボタンがついている…マサシはまさかと思って、千、9、百、9、十、9、一、9の順でボタンを押してみる。すると
「上の階に上がります。」
とお決まりにアナウンスが流れて扉が閉まり、上の階へと上がり出した。
いったいどのくらいの時間がかかるんやろう?マサシは当然の心配をした。せっかく9999階も上がるのなら、せめて窓の景色くらい眺めていたいものである。けれど、そんな気の利いた物はなく、マサシはただひたすら上昇していく階数表示板の数字を眺めていた。
二十階くらいまでは他の人の乗降もあったが、それもついに無くなってしまい、百階あたりに辿り着いた時、マサシはあまりにも退屈だったからか、
「たいがいにせぇよ!!」
と愚痴を零した。
もしかしたらあけみもいいかげんに疲れてしまって、4674階とかで降りてしまったら、それこそ探しようがない。そう考えると、マサシはぞっとした。けれど、あけみの私一番上の階が好きなのと言う言葉を信じて、ただひたすら辿り着くのを待つことにした。
そして目的の階に2時間30分もかかって、ようやく辿り着いたのだった。
そして、窓際の席であけみが手を振っているのを見つけたマサシは、出産並みのアドレナリンを分泌して席に着いたのである。
すると、あけみは
「ずいぶん料理出来るの遅かったのね。」
と言った。
「料理のせいじゃないと思うで…。」
「でも、エレベーターの時間が二時間二十四分かかるでしょ?料理が出来るまでに5分もかかっているじゃない。」
マサシは頭の中で、たったの五分やないかい!と突っ込みを入れて、口には出さないことにした。
「わざわざこんな上まで来なくても…。」
「高さにして約5百kmだって!見て!あれがエベレスト山脈よ!その右上が今問題になっている北朝鮮!」
すごいはしゃぎ様である。マサシは半ば呆れた感じでチョコシェイクを飲んだ。勿論溶けてしまっていて美味しいとは言えない。すると、あけみが、
「あら、それはそこのシェイクボックスで冷やしてから飲むのよ」
「そんなんあるん!?」
「うん!それ!」
あけみにそう言われて、あけみの指の指す方向に目をやると、テーブルの横にCOOLとHOTと書かれたボックスがあり、どうやらそのボックスを使ってから食べるようになっているみたいだ。
マサシはチョコシェイクやハンバーガーをそのボックスにいれて、それぞれボタンを押してみると、チン!と鳴って、出来立てと思えるほどの美味しそうなハンバーガーと、ちゃんと冷えたこれもまた美味しそうなチョコシェイクが出来たのである。
そしてようやく食べる準備が整って、二人はハンバーガーに噛り付いたのである。
「どう?ちゃんとした出来立ての味になっているでしょ?」
「うん!けど、あけみ、ようこんな所知ってたなぁ。」
「私だけの秘密の場所だったの…」
「僕なんか連れてきて良かったんか?」
「うん。本当はもっと早くに連れてきたかったんだけど、マサシこんなに時間かかる所じゃ嫌かなって思って。」
「確かにいつもこんなに時間かかる所は嫌やけど、たまに来るんならええ所やなぁ。」
そう言ってマサシは外の景色を眺めた。そこには青い地球がま近に見えて、空にはいつもより大きな月が昇っていた。
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