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狂チョコ病
見えないイト
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「やぁ、マサシ君、元気かい?」
「そりゃ元気ですよ…。」
「マサシ君が元気ですと言うと説得ちからがないな。」
「…りょく!でお願いします!とでも突っ込めばええんか?
なんや、邪魔しにきただけやったら帰ってくれ。」
「今度来る時はあけみも連れてきてあげるよ…ふっ!」
そう言ってあけみの旦那、神埼惣一は店を出ていった。
マサシは、こんな奴とあけみが何故結婚したのか不思議で仕方なかった。
マサシは思いつめても仕方がないと思い、別のことを考えることにした。
これ以上あけみのことを考えると辛くなるからだ。…それにしてもこの前買った最新のゲーム面白かったなぁ!そういえばあのシリーズあけみも好きやったよなぁ…じ、じゃなくて、そ、そう、今日の夜中にやってるドラマビデオに撮らなあかん。いよいよドラマの二人も結ばれて結婚…ドラマなんか嫌いやもん!…そうそう、男だけの世界っていうたらやっぱアダルトビデオやでぇ~!最近人気出てきた笠木しのべはやっぱ可愛いなぁ!そういえば口元が少しあけみに似ているよな。…今日レンタル借りに行こっと…。
結局マサシはあけみのことが頭から離れずにいるのだ。
「あかん!まじめに仕事せんと!でもお客さんがいないねんから仕方がない!
なんとかお客さんにうちのチョコレートが安全で健康的な美味しいチョコやってわかってもらわな!よし!ほな看板作ろ!」
マサシはそう考えて看板を作ることにした。なんと、今まで表看板も無しにチョコレート屋を経営していたのである。実は、マサシのチョコレートは評判を集めていたが、その売っている場所を正確に知っている人はごく一部の人だけで、しかもガラス窓もお洒落な模様のすりガラスにしていた為、ほとんどの人がそこにチョコレートが売っているとは思わないのだ。仮にチョコレートを売っていることを知っていても、まさか営業中だとは夢にも思わない。マサシの店では、狂チョコ病を出していないので、それを人に聞いて、安全なチョコを買い求めに来た人がいたとしても、それではざるに水である。
従って、今来るお客さんのほとんどが、ちゃんと場所を交番で聞いたり、中には区役所で調べたり、一日中さんざん探し回った人だったりである。それも、出てきたお客さんに運よく営業中ということを聞いて初めてチョコレートを買うことが出来るのだ。
マサシは早速タウンページを開いて、看板を業者に頼んだ。そして、店の前にはアルバイト募集の貼紙を出したのである。
そして、三日後に看板が完成して、いよいよお店らしくなった。すると、客足が恐ろしく増えて、チョコレートが瞬く間に無くなってしまった。仕方なく、準備中なのだわさ!の看板を出して、チョコレートを作り始めた。
調度その時である。久し振りにチョコレートを買いに、あけみが店の前にやってきた。
あけみは、準備中の札を見て、忙しそうだと考えた。本当なら中に入って手伝いたかったが、一人で入る勇気が持てず、結局店の前をうろうろすることになった。そして、あけみはまだ自分が、マサシのチョコレートで働いていた時のことを色々思い出したのだった。
あけみがマサシと二人きりで働いていた時、よくお客さんに兄弟なんだと勘違いされて、
「二人でお店のお留守番なのかい?偉いねぇ!」
と言われて、お小遣いを百二十万円貰ったり、また、二人を知る人や、友達からはまるで夫婦みたいだと、よくからかわれたりもした。
何しろマサシのチョコレートのコーナーの横に、マサシが勝手にあけみのチョコレートコーナーを作ってしまい、来る人来る人にそこを突っ込まれてしまうものだから、あけみは、
「恥ずかしいから、全部マサシのチョコレートでいいじゃない!」
というと。
「だってこのチョコ、せっかくのあけみのオリジナルやねんからちゃんとわけとかなあかんって!」
と言うのだった。
「じゃあこの二人で考えたのは何処に置くのよ!?」
「大丈夫!それもちゃんとそれ用のコーナー作っているから!僕の名前のマサシとあけみの名前を合わせて『マサあけコーナー』作っているから!」
「ま、マサあけってそのままじゃない!変だってそんなの!」
「じゃあ言いやすくしてマサミのチョコレート!なんてどう?」
「マサミって誰よ!?」
…そんなことで、よく喧嘩したものだと、あけみは少し笑った。けれど、今ではそのあけみのコーナーもマサミのコーナーも無くなってしまっている。でもそれはマサシがそうしたわけじゃなく、あけみが結婚して、店を辞めてからも、マサシがそのコーナーを残していたので、あけみが止めてほしいと頼んだのだ。
何故なら、時々ここにチョコレートを買いに来る度に、空っぽのショーケースがあけみの心を重たくしたからだ。何故そんな辛い気持ちになるのにマサシの店に来るかというと、理由があった。
実はここだけの話、あけみが神埼惣一と結婚してしまったのは、たまたま友達との遊びの帰り、コンビニで買ったチョコレートを食べてしまい、狂チョコ病に感染してしまったからである。そこへ、たまたま通りかかった神崎惣一に、突然結婚を申し込んでしまったのでしまい、惣一は快く了解してくれてしまったのだ。
あまりにも恐ろしい狂チョコ病の症状に、あけみはなすすべがなかった。マサシに相談しようにも、他の店では狂チョコ病にかかるかもしれないからチョコレートは買わないようにと、マサシに止められていた為、言い出せなかったのだ。
だから、あけみは狂チョコ病の恐ろしさを身をもって体験したこともあって、いまさらではあるけれども、他の店でチョコレートを買わないと誓ったのである。
「そりゃ元気ですよ…。」
「マサシ君が元気ですと言うと説得ちからがないな。」
「…りょく!でお願いします!とでも突っ込めばええんか?
なんや、邪魔しにきただけやったら帰ってくれ。」
「今度来る時はあけみも連れてきてあげるよ…ふっ!」
そう言ってあけみの旦那、神埼惣一は店を出ていった。
マサシは、こんな奴とあけみが何故結婚したのか不思議で仕方なかった。
マサシは思いつめても仕方がないと思い、別のことを考えることにした。
これ以上あけみのことを考えると辛くなるからだ。…それにしてもこの前買った最新のゲーム面白かったなぁ!そういえばあのシリーズあけみも好きやったよなぁ…じ、じゃなくて、そ、そう、今日の夜中にやってるドラマビデオに撮らなあかん。いよいよドラマの二人も結ばれて結婚…ドラマなんか嫌いやもん!…そうそう、男だけの世界っていうたらやっぱアダルトビデオやでぇ~!最近人気出てきた笠木しのべはやっぱ可愛いなぁ!そういえば口元が少しあけみに似ているよな。…今日レンタル借りに行こっと…。
結局マサシはあけみのことが頭から離れずにいるのだ。
「あかん!まじめに仕事せんと!でもお客さんがいないねんから仕方がない!
なんとかお客さんにうちのチョコレートが安全で健康的な美味しいチョコやってわかってもらわな!よし!ほな看板作ろ!」
マサシはそう考えて看板を作ることにした。なんと、今まで表看板も無しにチョコレート屋を経営していたのである。実は、マサシのチョコレートは評判を集めていたが、その売っている場所を正確に知っている人はごく一部の人だけで、しかもガラス窓もお洒落な模様のすりガラスにしていた為、ほとんどの人がそこにチョコレートが売っているとは思わないのだ。仮にチョコレートを売っていることを知っていても、まさか営業中だとは夢にも思わない。マサシの店では、狂チョコ病を出していないので、それを人に聞いて、安全なチョコを買い求めに来た人がいたとしても、それではざるに水である。
従って、今来るお客さんのほとんどが、ちゃんと場所を交番で聞いたり、中には区役所で調べたり、一日中さんざん探し回った人だったりである。それも、出てきたお客さんに運よく営業中ということを聞いて初めてチョコレートを買うことが出来るのだ。
マサシは早速タウンページを開いて、看板を業者に頼んだ。そして、店の前にはアルバイト募集の貼紙を出したのである。
そして、三日後に看板が完成して、いよいよお店らしくなった。すると、客足が恐ろしく増えて、チョコレートが瞬く間に無くなってしまった。仕方なく、準備中なのだわさ!の看板を出して、チョコレートを作り始めた。
調度その時である。久し振りにチョコレートを買いに、あけみが店の前にやってきた。
あけみは、準備中の札を見て、忙しそうだと考えた。本当なら中に入って手伝いたかったが、一人で入る勇気が持てず、結局店の前をうろうろすることになった。そして、あけみはまだ自分が、マサシのチョコレートで働いていた時のことを色々思い出したのだった。
あけみがマサシと二人きりで働いていた時、よくお客さんに兄弟なんだと勘違いされて、
「二人でお店のお留守番なのかい?偉いねぇ!」
と言われて、お小遣いを百二十万円貰ったり、また、二人を知る人や、友達からはまるで夫婦みたいだと、よくからかわれたりもした。
何しろマサシのチョコレートのコーナーの横に、マサシが勝手にあけみのチョコレートコーナーを作ってしまい、来る人来る人にそこを突っ込まれてしまうものだから、あけみは、
「恥ずかしいから、全部マサシのチョコレートでいいじゃない!」
というと。
「だってこのチョコ、せっかくのあけみのオリジナルやねんからちゃんとわけとかなあかんって!」
と言うのだった。
「じゃあこの二人で考えたのは何処に置くのよ!?」
「大丈夫!それもちゃんとそれ用のコーナー作っているから!僕の名前のマサシとあけみの名前を合わせて『マサあけコーナー』作っているから!」
「ま、マサあけってそのままじゃない!変だってそんなの!」
「じゃあ言いやすくしてマサミのチョコレート!なんてどう?」
「マサミって誰よ!?」
…そんなことで、よく喧嘩したものだと、あけみは少し笑った。けれど、今ではそのあけみのコーナーもマサミのコーナーも無くなってしまっている。でもそれはマサシがそうしたわけじゃなく、あけみが結婚して、店を辞めてからも、マサシがそのコーナーを残していたので、あけみが止めてほしいと頼んだのだ。
何故なら、時々ここにチョコレートを買いに来る度に、空っぽのショーケースがあけみの心を重たくしたからだ。何故そんな辛い気持ちになるのにマサシの店に来るかというと、理由があった。
実はここだけの話、あけみが神埼惣一と結婚してしまったのは、たまたま友達との遊びの帰り、コンビニで買ったチョコレートを食べてしまい、狂チョコ病に感染してしまったからである。そこへ、たまたま通りかかった神崎惣一に、突然結婚を申し込んでしまったのでしまい、惣一は快く了解してくれてしまったのだ。
あまりにも恐ろしい狂チョコ病の症状に、あけみはなすすべがなかった。マサシに相談しようにも、他の店では狂チョコ病にかかるかもしれないからチョコレートは買わないようにと、マサシに止められていた為、言い出せなかったのだ。
だから、あけみは狂チョコ病の恐ろしさを身をもって体験したこともあって、いまさらではあるけれども、他の店でチョコレートを買わないと誓ったのである。
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