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1章 捨てられた聖獣様は、天然騎士に拾われる。
6話 モフればモフる時モフらん!
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(あ、熱い。身体が……内側から勝手に組み変わっていく……!)
ミシミシと骨が鳴り、白い毛が消え、しなやかな人間の肢体が露わになる。
「ん………?」
「………!!!!」
(まずい、今度こそ殺られる!?)
本気であせったものの、どうあがいても今の私は全裸の不審者。
おまけに尻尾に巻かれていたはずのリボンは私の首筋にまきついており、そのほどけた先はエリー様の体の下に敷かれておりーー。
気づいた瞬間血の気が引いた。
見つかれば申し開きなどできるはずもないのに逃げることすらできない。
(ーーええい!こうなりゃやけよ!!)
私は決死の覚悟で震える腕を伸ばし、エリー様の頭をそっと撫でた。
「ーーーお休みない。可愛い子」
そして、かつての母が私にしたように、その額に口づけを贈る。
「これは夢よ」
だから起きないで起きないで起きないでー!!!
起きたら殺される、絶対殺されると冷や汗をかきつつも、先程とは違いエリー様の意識が覚醒する様子が無いことにほっとする。
(ま、魔力ってどうやったら消費されるのかしら)
どうにかして、一刻も早く元の猫に戻らなければ。
だが身動きもとれず、緊迫した夜を乗り越え、気がづけば朝。
「……お前のおかげかな。昨日はいい夢が見れた気がする」
ありがとう、と微笑むキラキラとしたエリー様を前に、私は白目を剥いて気絶したのだったーー。
「ーーベネディクト!!」
ぐったりとした白い毛玉を抱いたエリオットが、焦った様子でベネディクトのいる食堂へと飛び込んできたのは、その直後の事だ。
「頼む、リリをみてやってくれ!さっき急に意識を失ってから目覚めないんだ!!」
普段なら絶対やらないであろうなエリオットの様子に、先に朝食をとっていたレオがカトラリーを投げ捨て慌てて駆け寄ってくる。
「リリちゃん!?リリちゃん大丈夫?!」
「閣下、いったい何が……?まさか賊に」
「違う。昨日リリが私の寝室へやってきたんだ。そのまま共に眠ったんだが、朝になったらこの様子で……」
「ふむ……」
助けてくれと訴えながらも、決して腕の中の猫を手放そうとしないエリオットの姿は、長年彼の面倒を見てきたベネディクトにとっても見たことのない姿だが…。
「これは………」
「「これは!?」」
エリオットと、レオ、2人の声がぴったり重なり、ゴクリと、息を呑む2人に向かい、ベネディクトは重々しく告げた。
「眠っておられますな」
「「これで!?」」
白目を剥いて、ベロまで出してとてもまともな状態とは思えないのだが、と訴えるエリオットに、ベネディクトはあくまで冷静だ。
「猫の中にはこのような姿で眠るものもおります。ほら、その証拠にいびきもかいているでしょう?」
「「本当だ……」」
よく見れば鼻提灯がぴくぴく揺れているでしょう?と指摘すれば、その間抜け顔をのぞき込んだ2人が2人が、ほっとしたように肩から力を抜いた。
「住む場所が変わったせいでなかなか寝付けなかったのかもしれませんな」
繊細な生き物にはよくあることだ。
特に猫は臆病で警戒心が高い。
「お二人とも、レディの顔をそういつまでも眺めているのは失礼ですよ。レオ様はまずお食事の続きを」
そしてエリオットへと手を伸ばし、「ベッドへとお連れいたします」と猫を受け取ろうとするが、それはエリオット本人によって拒まれた。
「私が連れて行く」
「……………さようでございますか」
この僅かな時間に、一体どれ程のエリオットの関心を引いたのだろうか。
この変化が、エリオットにとってよい効果をもたらす事をベネディクトは期待する。
「………寝てるだけ?」
「はい、寝ているだけです」
ホッとしたよな様子で、ならば遠慮なくと無抵抗な猫の身体を思う存分モフるエリオットを見ないフリしつつ、ベネディクトは堪えきれぬ笑いを噛み殺した。
ミシミシと骨が鳴り、白い毛が消え、しなやかな人間の肢体が露わになる。
「ん………?」
「………!!!!」
(まずい、今度こそ殺られる!?)
本気であせったものの、どうあがいても今の私は全裸の不審者。
おまけに尻尾に巻かれていたはずのリボンは私の首筋にまきついており、そのほどけた先はエリー様の体の下に敷かれておりーー。
気づいた瞬間血の気が引いた。
見つかれば申し開きなどできるはずもないのに逃げることすらできない。
(ーーええい!こうなりゃやけよ!!)
私は決死の覚悟で震える腕を伸ばし、エリー様の頭をそっと撫でた。
「ーーーお休みない。可愛い子」
そして、かつての母が私にしたように、その額に口づけを贈る。
「これは夢よ」
だから起きないで起きないで起きないでー!!!
起きたら殺される、絶対殺されると冷や汗をかきつつも、先程とは違いエリー様の意識が覚醒する様子が無いことにほっとする。
(ま、魔力ってどうやったら消費されるのかしら)
どうにかして、一刻も早く元の猫に戻らなければ。
だが身動きもとれず、緊迫した夜を乗り越え、気がづけば朝。
「……お前のおかげかな。昨日はいい夢が見れた気がする」
ありがとう、と微笑むキラキラとしたエリー様を前に、私は白目を剥いて気絶したのだったーー。
「ーーベネディクト!!」
ぐったりとした白い毛玉を抱いたエリオットが、焦った様子でベネディクトのいる食堂へと飛び込んできたのは、その直後の事だ。
「頼む、リリをみてやってくれ!さっき急に意識を失ってから目覚めないんだ!!」
普段なら絶対やらないであろうなエリオットの様子に、先に朝食をとっていたレオがカトラリーを投げ捨て慌てて駆け寄ってくる。
「リリちゃん!?リリちゃん大丈夫?!」
「閣下、いったい何が……?まさか賊に」
「違う。昨日リリが私の寝室へやってきたんだ。そのまま共に眠ったんだが、朝になったらこの様子で……」
「ふむ……」
助けてくれと訴えながらも、決して腕の中の猫を手放そうとしないエリオットの姿は、長年彼の面倒を見てきたベネディクトにとっても見たことのない姿だが…。
「これは………」
「「これは!?」」
エリオットと、レオ、2人の声がぴったり重なり、ゴクリと、息を呑む2人に向かい、ベネディクトは重々しく告げた。
「眠っておられますな」
「「これで!?」」
白目を剥いて、ベロまで出してとてもまともな状態とは思えないのだが、と訴えるエリオットに、ベネディクトはあくまで冷静だ。
「猫の中にはこのような姿で眠るものもおります。ほら、その証拠にいびきもかいているでしょう?」
「「本当だ……」」
よく見れば鼻提灯がぴくぴく揺れているでしょう?と指摘すれば、その間抜け顔をのぞき込んだ2人が2人が、ほっとしたように肩から力を抜いた。
「住む場所が変わったせいでなかなか寝付けなかったのかもしれませんな」
繊細な生き物にはよくあることだ。
特に猫は臆病で警戒心が高い。
「お二人とも、レディの顔をそういつまでも眺めているのは失礼ですよ。レオ様はまずお食事の続きを」
そしてエリオットへと手を伸ばし、「ベッドへとお連れいたします」と猫を受け取ろうとするが、それはエリオット本人によって拒まれた。
「私が連れて行く」
「……………さようでございますか」
この僅かな時間に、一体どれ程のエリオットの関心を引いたのだろうか。
この変化が、エリオットにとってよい効果をもたらす事をベネディクトは期待する。
「………寝てるだけ?」
「はい、寝ているだけです」
ホッとしたよな様子で、ならば遠慮なくと無抵抗な猫の身体を思う存分モフるエリオットを見ないフリしつつ、ベネディクトは堪えきれぬ笑いを噛み殺した。
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