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第44話・王様の依頼は王女様とのデート?1

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その後は、食い逃げ犯が湧いたら、ディレイスペルのダブルウインドブレイド2発で1確狩りをしまくる。
食い逃げ犯は、ダブルウインドブレイド2発分で倒せるようになっていたのだ。
俺も強くなったものだ。

ドロップもレイナにあげる。
裏世界で稼げる俺が手にするより、レイナには少しでも稼いで装備を更新してほしいからな。

日没だ。
結果、レイナは5LVを上げた。デスペナを取り返したかたちとなった。

「ゼロ、ありがとう。本当に助かったわ」

「いや、俺はレイナと最強になると決めた。
これからはギルドも作成して、積極的にLVも上げていこう」

「うん」

レイナは優し気な笑顔をしている。
あ、これだけは伝えておかなくては。

「レイナ、師匠からの言葉を伝える。
これは誰にも言ってはいけません」

「え、どうしたの?」

「誰にも言ってはいけません」

「はい、言いません」

「よろしい、では伝えます。
狩りをする時はどのように強くなりたいかを想像しながら、その系統のスキルを使用すること。
これが強くなる秘訣と師匠より」

「それで強くなれるの?」

レイナに本当?っていう顔で見られる。

「騙されたと思って、そのようにしてみてください」

「ふふ、ゼロに言われたことだもの。きちんと実行するわ」

お互いに笑い合う。今日もいい1日だった。
ヘイストを掛けてエンリルに帰ってきて、冒険者協会で精算する。
レイナを先に精算させ、俺も続く。

「マリさん、精算をお願いします」

裏世界のドロップ品を提出する。

「悪魔の心臓230個、骨70本とクエスト報酬の金貨1枚を合わせて、金貨25枚と銀貨4枚になります。
そこからサティさんとダンさんへの支払いが金貨3枚になりますので、金貨22枚と銀貨4枚のお渡しです」

「ありがとうございます。
実は、マリさんに聞きたいことがあるのですが、悪魔の森の適正LVはいくつまででしょうか?」

「あそこは35LVぐらいまでが適正ですね、ってゼロさんはもうそのLV帯に・・・」

「いえいえ、次はどういう狩場が待っているのかなと、気にしなってしまっただけですので」

じー。
マリさんにどれほど見られても、協会長のお墨付きをもらっているので全く怖くないです!

「そうですね、次は南へ向かってみるのはどうでしょうか?
ここから1日ほど南に歩きますと、キシャルという大きめの街がございます。
その街から南へ道沿いに歩いて行くと、茜色の砂浜というダンジョンがありますので、そこがよろしいかと思われます。
そのダンジョンでは魔法を放つモンスターが現れますのでご注意ください」

「うっ・・・そのダンジョンまで、1日かかるんですか?」

歩くだけで1日終わってしまうなんて!
ヘイストを掛けたとしても何時間もかかるだろうし、表世界ではルリさんとレイナのLV上げもあるしな・・・
マリさんに別の狩場を聞くしかないか。

「大丈夫ですよ。
イーリス王国の大きい街には転移陣が用意されております。
それを利用すれば、一瞬でキシャルまで着きます。
ただ転移陣は転移する瞬間に金貨2枚徴収されますので、ご注意ください」

移動だけで金貨2枚か、まあ今の稼ぎからしたら余裕だな。
それに、転移陣なら人が関わってなさそうだから裏世界でも使えるのじゃないか?

「マリさん、その転移陣は人が動かしているとかじゃないですよね?」

「え?・・・はい。
転移陣は冒険者協会にあるものと同じようなものです。
転移すると金貨2枚はなくなりますが」

おし!これで、キシャルという街まで裏世界でもいける。
狩場情報は手にいれたぜ。
拳を作り、喜ぶ。

「ゼロさん、このお話しには続きがあります」

「はい?」

「実はゼロさんへの指名依頼が入っております。
Dランククエストになりますが護衛任務です」

指名依頼・・・誰からだ?
今は、クエストよりルリさんとレイナさんのLV上げに尽力を尽くしたいところなんだが、話しを聞いてみるか。

「誰からでしょう?」

「国王様からです」

・・・

「マリさん、そんな誰かも分からない人からの指名は受けられないですよ~。
こくおうさま?なんて名前の人、聞いたことないですしね」

「ゼロさん、人の名前ではありません。
イーリス王国の国王様より指名依頼です」

そんなバカな・・・
王様っていうのは下々とは関わらないものだろう!
俺はDランクの冒険者で、国王から指名依頼を受けるような人間じゃない!

「マリさん、俺は駆け出しDランク冒険者です。
冒険者協会として、ゼロさんには荷が重いのでお断りします!
とかなかったんですか?」

「私もそう思いました。
ですが、王様が冒険者協会まで直接お越しいただいて、指名依頼をしていったのです。
ゼロさん!そんな展開で、断ることができると思っているんですか!」

逆ギレ?!
マリさん、それは立場が危うくなった大人の最終手段ですよ・・・

「わ、分かりました。
まずは依頼内容を伺っても?」

「かしこまりました。
今回の護衛依頼は、国王の娘であるアシュレイ様とキシャルの街を・・・
さ、さ、散策、してくることです」

マリさんが、顔を引きつらせている。

「マリさん、落ち着ていてください。
護衛依頼と言いながら、主旨が散策になってますよ。
それも王女様?なにがなにやらですが?」

「ですから!今回の依頼は、キシャルの街を王女様とデートしつつ護衛することが依頼ということです!」
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