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イデオン視点
クリスから突然婚約解消を頼まれた。
突然?
気がつけばレミィが現れてから約半年、クリスとは会っていない。
レミィから呼び出され会うと、いきなり知らない所に連れてこられて気が動転していたからと、失礼を謝られた。
この世界の事を教えてほしいとも。
町を案内してほしいと言われたが僕もよく知らなかったから一緒に観光したら、僕のほうが楽しんでしまった。
そうやって会ううちに、思ったよりいい子だと感じた。兄弟のいない僕にとっては妹ができたようでかわいらしかった。
あっという間に日にちが過ぎ、学園に入学すると、環境が変わり、毎日が忙しくも楽しかった。
友達も身分の差無く、沢山できた。
レミィはいつもその中心で貴族には見られない飾らない明るい性格で皆を引き付けた。
制服のドレスの裾が長いのはカッコ悪いと膝を出すデザインに勝手に変えた。
下品だと非難する令嬢もいたが、男子生徒には好評だったのですぐにまねをする令嬢が増えた。
堅苦しいのは嫌いだと、誰にでも親しげに話す彼女。僕も以前から貴族社会は窮屈だと感じていたから彼女の不作法が痛快だった。
だけど、城のパーティーに連れて行った時、それは間違いだと気がついた。
パーティーは遊びじゃないんだ。
レミィは異世界から来た聖女だから許される事だけど、皇帝陛下である父上にあのような挨拶とも言えない挨拶をすれば、普通の貴族ならば不敬罪に問われる。
特に上位貴族の集まるパーティーは情報交換であったり、政治的な意見交換だったりで、いつもの踊ったり食べて飲んでふざけてるパーティーとは違う。
本来なら学園も将来を担う貴族子女が学ぶべき所。規則や風紀が乱れていいわけが無いんだ。
僕はなんて浅はかだった。
クリスに愛想を尽かされたのはそのせい?
違う、あれほどクリスは「運命の女性」が現れるのを怖がっていたじゃないか。
そうだ、クリスはいつも平然とその女性が現れる事を話していたけれど、その表情は辛そうだったじゃないか。
僕はあれほどクリスに好きだと言ったくせに半年もほったらかしにしていたんだ。
今もその気持ちに変わりは無いのに、どうかしていた。
すぐに会いに行かなくては。
それよりまず、手紙を書こう。
従者のトーマスに、
「手紙を書くから用意して。」
「はぁ、やっとですか?令嬢からの手紙はいいとしても、陛下へのお返事はちゃんとしたほうがいいですよ。」
「待て、令嬢からの手紙?」
「なんですか?いつものように机に置いて置きましたよ?」
あわてて机の上を見る。
僕が入学してからのお祝いの手紙からずっと、クリスから一週間おきに届いていた。
「なぜ言わない?」
「いつも机に置いておくようおっしゃっていたではないですか?」
いつも?いつもどうしていた?
クリスだ!
クリスが目を通し、重要な物だけを僕に見せたり報告してくれていた。
いつもクリスは城にいたから彼女からの手紙は受け取ったことなどなかったし。
…?
なぜクリスはいつも城にいた?
…。
僕の世話をしていたんだ!
手紙の整理から執務の手伝い、そして僕がさみしくないように。
「新しい手紙は?」
1ヶ月前からは来ていない。
「ああ、殿下はお忙しく返事は書かないから煩わしい手紙はもう届けるなと、使いの者にいいましたので、それからは来ていませんよ。」
「なんだと!」
クリスから突然婚約解消を頼まれた。
突然?
気がつけばレミィが現れてから約半年、クリスとは会っていない。
レミィから呼び出され会うと、いきなり知らない所に連れてこられて気が動転していたからと、失礼を謝られた。
この世界の事を教えてほしいとも。
町を案内してほしいと言われたが僕もよく知らなかったから一緒に観光したら、僕のほうが楽しんでしまった。
そうやって会ううちに、思ったよりいい子だと感じた。兄弟のいない僕にとっては妹ができたようでかわいらしかった。
あっという間に日にちが過ぎ、学園に入学すると、環境が変わり、毎日が忙しくも楽しかった。
友達も身分の差無く、沢山できた。
レミィはいつもその中心で貴族には見られない飾らない明るい性格で皆を引き付けた。
制服のドレスの裾が長いのはカッコ悪いと膝を出すデザインに勝手に変えた。
下品だと非難する令嬢もいたが、男子生徒には好評だったのですぐにまねをする令嬢が増えた。
堅苦しいのは嫌いだと、誰にでも親しげに話す彼女。僕も以前から貴族社会は窮屈だと感じていたから彼女の不作法が痛快だった。
だけど、城のパーティーに連れて行った時、それは間違いだと気がついた。
パーティーは遊びじゃないんだ。
レミィは異世界から来た聖女だから許される事だけど、皇帝陛下である父上にあのような挨拶とも言えない挨拶をすれば、普通の貴族ならば不敬罪に問われる。
特に上位貴族の集まるパーティーは情報交換であったり、政治的な意見交換だったりで、いつもの踊ったり食べて飲んでふざけてるパーティーとは違う。
本来なら学園も将来を担う貴族子女が学ぶべき所。規則や風紀が乱れていいわけが無いんだ。
僕はなんて浅はかだった。
クリスに愛想を尽かされたのはそのせい?
違う、あれほどクリスは「運命の女性」が現れるのを怖がっていたじゃないか。
そうだ、クリスはいつも平然とその女性が現れる事を話していたけれど、その表情は辛そうだったじゃないか。
僕はあれほどクリスに好きだと言ったくせに半年もほったらかしにしていたんだ。
今もその気持ちに変わりは無いのに、どうかしていた。
すぐに会いに行かなくては。
それよりまず、手紙を書こう。
従者のトーマスに、
「手紙を書くから用意して。」
「はぁ、やっとですか?令嬢からの手紙はいいとしても、陛下へのお返事はちゃんとしたほうがいいですよ。」
「待て、令嬢からの手紙?」
「なんですか?いつものように机に置いて置きましたよ?」
あわてて机の上を見る。
僕が入学してからのお祝いの手紙からずっと、クリスから一週間おきに届いていた。
「なぜ言わない?」
「いつも机に置いておくようおっしゃっていたではないですか?」
いつも?いつもどうしていた?
クリスだ!
クリスが目を通し、重要な物だけを僕に見せたり報告してくれていた。
いつもクリスは城にいたから彼女からの手紙は受け取ったことなどなかったし。
…?
なぜクリスはいつも城にいた?
…。
僕の世話をしていたんだ!
手紙の整理から執務の手伝い、そして僕がさみしくないように。
「新しい手紙は?」
1ヶ月前からは来ていない。
「ああ、殿下はお忙しく返事は書かないから煩わしい手紙はもう届けるなと、使いの者にいいましたので、それからは来ていませんよ。」
「なんだと!」
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