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春になり、ダニエルは正式に陛下の養子となった。
ダニエル・キリアン・グラディアスを名乗る事になる。
私の名もクリスティア・メルローズ・キリアン・グラディアスとなった。
立太子の儀を終えてパーティーが始まる。
位の低い貴族から入場するが、その中でひときわ目を引いたのは元皇太子、イデオン神官長だった。
真っ白な神官の礼装で堂々と入場。
元から甘いマスクのイケメンだったけど、一皮剥けたとでも言えばいいのか大人になったと言うか。
このようなパーティーに来て誹謗中傷の的にされるのではないかと心配していたけれど、堂々とした姿を見せる事で皆を黙らせた。
「イディ…ステキ。」
うっかり口にしてしまった。
「はあっ?」
隣のダニエルが睨んでいるわ。
「私は?」
今日も私達は黒を基調としたシックでゴージャスな装い。
「あなたはいつもステキよ。魔王様。」
「フン!」
相変わらず焼きもち焼きなんだから。
「あなたには本当に魔王になってもらわなくてはならないみたい。」
「これ以上なんの為に力が必要なのだ?」
私の知る限りダニエルより強い人はいない。
「私達の子供を作るためよ。」
「…ティア、その話はここで話してよい内容か?」
また卑猥な事を言って困らせるとでも思っているのね。
「真面目な話よ。
あくまでも私の仮説だけれど、このままでは私達に子供はできません。
陛下になかなかお子が出来なかったのは陛下の魔力量が多かった為ではないかと思うの。
それがお年をめされて魔力が減ったからイデオン殿下が出来たのではないかと。
歴代聖女の中でも身ごもる事が出来たのは比較的魔力の低い者だけなのです。
魔力量に差がありすぎると子供は出来にくいのではないかと思うの。
私の魔力を減らす事は出来ませんから、あなたの魔力を引き上げるしかありません。
で、なければ側妃を娶るか…。」
「ティア!私はあなた以外は愛さない。」
「愛は無くても子は出来ますわ。
あなたは世継ぎをつくらなくてはなりませんから。」
「ならば私は魔王になる。」
「ふふっ、愛しているわ。私の魔王様。」
イデオン神官長が近づいてきた。
ダニエルも笑顔で迎える。
二人の間に確執は無いと世間にアピールしなくてはならない。
「ダニエル殿下、立太子おめでとうございます。」
「イデオン神官長、ありがとう。」
「クリスティア妃、相変わらずお美しい。」
手の甲に口づけする。
「ありがとう、イデオン神官長もとてもステキよ。」
「本当?今度いつ神殿に来る?」
そんな友達の家に行くみたいに。
「ついこの間浄化の儀式をしたばかりだから、3ヶ月後よ。」
「えー、もっと遊びにきてよ。皆待ってるから。あ、ダニエルはついて来なくていいから。」
「貴様…。」
ダニエル、ダニエル、空気が凍ってるわ。
魔力が増えるとコントロールも難しくなるのよね。
イデオンを愛した事は後悔していない。
彼を思うと今も胸が温かくなる。
今生はダニエルと生きていこう。
冷徹で傲慢で完璧が好きで潔癖。
長身できれいな顔をしているけれど表情筋に障害でもあるのか笑った顔が怖い。
そんなあなただけど私はとても愛しいのよ。
あなたがどれほど私を愛しているかは知らないけど、きっと知ったらドン引きするくらい愛しているのよね。
大丈夫よ、私ならばあなたの変質的な愛も受け入れられるわ。
パーティーが終わったらきっとまた機嫌が悪いわ。イデオンが絡むといつもそう。
クスクスと笑いが込み上げる。
「…ティア、何がおかいしのだ?」
「ふふっ、あなたが可愛くて。」
完
あとがき
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
初めて自作の物語を人の目に触れさせてみました。
とても勇気のいる事でした。
今は読んで下さった皆様にただただ感謝です。
コメントを下さった方々、たいへん励みになりました。
クリスティアの為に怒ったり幸せを願ってくれてありがとうございました。
ダニエル・キリアン・グラディアスを名乗る事になる。
私の名もクリスティア・メルローズ・キリアン・グラディアスとなった。
立太子の儀を終えてパーティーが始まる。
位の低い貴族から入場するが、その中でひときわ目を引いたのは元皇太子、イデオン神官長だった。
真っ白な神官の礼装で堂々と入場。
元から甘いマスクのイケメンだったけど、一皮剥けたとでも言えばいいのか大人になったと言うか。
このようなパーティーに来て誹謗中傷の的にされるのではないかと心配していたけれど、堂々とした姿を見せる事で皆を黙らせた。
「イディ…ステキ。」
うっかり口にしてしまった。
「はあっ?」
隣のダニエルが睨んでいるわ。
「私は?」
今日も私達は黒を基調としたシックでゴージャスな装い。
「あなたはいつもステキよ。魔王様。」
「フン!」
相変わらず焼きもち焼きなんだから。
「あなたには本当に魔王になってもらわなくてはならないみたい。」
「これ以上なんの為に力が必要なのだ?」
私の知る限りダニエルより強い人はいない。
「私達の子供を作るためよ。」
「…ティア、その話はここで話してよい内容か?」
また卑猥な事を言って困らせるとでも思っているのね。
「真面目な話よ。
あくまでも私の仮説だけれど、このままでは私達に子供はできません。
陛下になかなかお子が出来なかったのは陛下の魔力量が多かった為ではないかと思うの。
それがお年をめされて魔力が減ったからイデオン殿下が出来たのではないかと。
歴代聖女の中でも身ごもる事が出来たのは比較的魔力の低い者だけなのです。
魔力量に差がありすぎると子供は出来にくいのではないかと思うの。
私の魔力を減らす事は出来ませんから、あなたの魔力を引き上げるしかありません。
で、なければ側妃を娶るか…。」
「ティア!私はあなた以外は愛さない。」
「愛は無くても子は出来ますわ。
あなたは世継ぎをつくらなくてはなりませんから。」
「ならば私は魔王になる。」
「ふふっ、愛しているわ。私の魔王様。」
イデオン神官長が近づいてきた。
ダニエルも笑顔で迎える。
二人の間に確執は無いと世間にアピールしなくてはならない。
「ダニエル殿下、立太子おめでとうございます。」
「イデオン神官長、ありがとう。」
「クリスティア妃、相変わらずお美しい。」
手の甲に口づけする。
「ありがとう、イデオン神官長もとてもステキよ。」
「本当?今度いつ神殿に来る?」
そんな友達の家に行くみたいに。
「ついこの間浄化の儀式をしたばかりだから、3ヶ月後よ。」
「えー、もっと遊びにきてよ。皆待ってるから。あ、ダニエルはついて来なくていいから。」
「貴様…。」
ダニエル、ダニエル、空気が凍ってるわ。
魔力が増えるとコントロールも難しくなるのよね。
イデオンを愛した事は後悔していない。
彼を思うと今も胸が温かくなる。
今生はダニエルと生きていこう。
冷徹で傲慢で完璧が好きで潔癖。
長身できれいな顔をしているけれど表情筋に障害でもあるのか笑った顔が怖い。
そんなあなただけど私はとても愛しいのよ。
あなたがどれほど私を愛しているかは知らないけど、きっと知ったらドン引きするくらい愛しているのよね。
大丈夫よ、私ならばあなたの変質的な愛も受け入れられるわ。
パーティーが終わったらきっとまた機嫌が悪いわ。イデオンが絡むといつもそう。
クスクスと笑いが込み上げる。
「…ティア、何がおかいしのだ?」
「ふふっ、あなたが可愛くて。」
完
あとがき
最後までお付き合いいただき、ありがとうございました。
初めて自作の物語を人の目に触れさせてみました。
とても勇気のいる事でした。
今は読んで下さった皆様にただただ感謝です。
コメントを下さった方々、たいへん励みになりました。
クリスティアの為に怒ったり幸せを願ってくれてありがとうございました。
応援ありがとうございます!
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