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 長期休暇に入ると我が家でもパーティーが開かれた。招待されたのは年頃の令嬢のいらっしゃるお宅ばかり。
 招待客もなぜ招待されたのかは察して、お嬢様を連れて参加してくれる。
 兄様には幸せになってもらわなくちゃ。
 あんなヴァイオレットより、うんといい娘をみつけないと。
 だけど、あたしみたいな妹がいると嫌かもしれない。それは母様も同じ。
 父様も兄様も参加するように勧めてくれたけど、パーティーを計画してくれた父様の妹は反対した。やっぱりそうだよね。
 その日は部屋でおとなしくしている事にしたんだけど、兄様が図書室に新しい本があるって教えてくれた。きっとパーティーに参加しないあたしの為に用意してくれたんだ。
 灯りもいつもよりいっぱいついている。
 って思ったら誰かいる?
 向こうも気がついたみたいで、振り返る。
 エディ?
「あっ、あの、申し訳ございません!いらっしゃるとは知りませんでした。」
 慌てて立ち去ろうとしたけど、
「待ちなさい、ここは君の家だろう?お邪魔しているのは僕のほうだよ?」
「あ、あ、えっと、兄様が新しい本があるからって。だから、それを持って部屋に帰りますから。」
 どうして?
 どうしよう?
 どこだろう?
 あああああっ!
「…これかな?」
 エディの手に見覚えの無い新しい本が。
「そ、そ、それです、たぶん。」
「困ったな、僕も読み初めたばかりなんだ。」
「じ、じ、じゃあ、大丈夫です!私はまた今度…。」
「新しい本は2冊あるよ?交代で読めばいいじゃないか?」
「は、はい。」
 エディがいる。エディがいる。エディがあああああっ!
 同じ部屋で同じ空気を吸ってる。
 こんなに近くに座っているなんて。
 あっ、そうか。パーティーに来たんだ。
「パーティーには行かなくていいんですか?」
「ああ、挨拶は済んだからね。」
 きっと客寄せだ。有名人がいるとたくさん参加してくれるから。
 静かにページをめくる音だけが聞こえる。
 …ぐぅぅぅ。
 お腹の音?あたしじゃないよね?
 エディの顔が真っ赤だ。かわいい!
「小腹がすきましたね。何か持ってきますね。」
「…ありがとう。」
 厨房へ行くとパーティーの料理の余り物があった。皇太子が召し上がると伝えたらきれいに盛り付けてくれた。
「どうぞ。」
「ありがとう。まだ名前を言って無かったね。
 僕はエドウィンだ。」
「はい、存じております。私は、サラです。」
「僕も実は知っている。サミュエルの妹だよね、いつも話は聞いているよ。」
「恥ずかしい話じゃないですか?」
「いや、誉めているよ。かわいいって。毎日のように君のかわいい話を聞かされているよ。」
「…やっぱり恥ずかしいじゃないですか。」
「僕もかわいいと思うよ。」
 何?何なの?たらしなの?前はそんな簡単にかわいいなんて言わなかったじゃない?
「毎日のように聞かされていたからかな?初めて話した気がしないな。」
 あたしもよ!
 あっ、あたしは初めてじゃないか。
 
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