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フィリップ卿に握られた手をすっと引き抜き、
「ところで、また差し出がましい事だけど他の警備兵や騎士にも身元の怪しい者は?」
「数人おりましたがそのうち何名かは調査が始まると姿を消しました。ただでさえ人手不足で困っておりましたのに、また更に厳しく審査の上募集しなくてはならないので頭を悩ませております。」
戦争の痛手がここにもまだ残っているのか。
「公爵家の私兵を数名派遣しよう。他の皇族派の貴族にも要請を。ビアンカ様の潔白が証明されるまでは人選は慎重に。」
「ですが、それでは公爵邸の警備が手薄に。」
「構わない、私にはテリオス卿がいてくれるから。」
「ジグリア戦で副官を勤めた者ですね。
本当なら私がお側についていたかった。
さすればこのような傷などあなた様に残すことなど無かったはず。」
はだけたシャツから古傷が見えていたか。
って、どこ見てんの?
「フィリップ卿やトーマス卿がいてくれたから私は安心してマティアス殿下のお側を離れる事ができたのだよ。君が仕えるのは私では無い、殿下だ。忘れるな。」
「…はい。」
「胸を張れと言っただろう?」
「はい!」
さっさと帰れと促されてしぶしぶ殿下の元へ帰って行った。
それにしてもアレクシオンは男にもよく好かれるな。
そういえば元の世界での私も同性に好かれてた。
高身長で手足が長く、切れ長で目付きが悪いと言われた顔も女子にはかっこよく見えたらしい。
私は嫌だった。
寄ってくるふわふわで可愛い女の子達。
彼女達の事は好きだったけれど私もなれるものなら彼女達のような小さくて守ってあげたくなるような可愛い女の子になりたかった。
私の父は小さな建築会社の社長だったが柔道家としても知られていた。
そんな父の影響で幼い頃から柔道をさせられた。
身体も大きく運動神経も良かったため上達は早かった。
回りの期待も大きく、それに応える為頑張ったが内心は嫌でたまらなかった。
体重を増やす?意味わかんない。
身体に変なタコ出来るんだよ?
だいたい受け身って痛くないわけじゃないんだよ?投げられても、押さえ込まれても痛いもんは痛いよ。
ある日とうとう我慢できずに母に言った。
「ママ、柔道辞めたい。」
すると母はあっさりと、
「シオンちゃんが辞めたいなら辞めていいよ。ママはシオンちゃんが頑張ってたのを知ってる。頑張って、頑張って、どうしても嫌だったんなら辞めちゃえばいいんだよ。」
父は怒るかと思ったがこちらもあっさりと許してくれた。何をあんなに悩んでいたのだろう。
柔道を辞めたら自分を全否定されるかのように思っていたのに。
私は嫌な事は辞めれたけれど、アレクシオンには辞めるという選択肢は無かったんだな。
「ところで、また差し出がましい事だけど他の警備兵や騎士にも身元の怪しい者は?」
「数人おりましたがそのうち何名かは調査が始まると姿を消しました。ただでさえ人手不足で困っておりましたのに、また更に厳しく審査の上募集しなくてはならないので頭を悩ませております。」
戦争の痛手がここにもまだ残っているのか。
「公爵家の私兵を数名派遣しよう。他の皇族派の貴族にも要請を。ビアンカ様の潔白が証明されるまでは人選は慎重に。」
「ですが、それでは公爵邸の警備が手薄に。」
「構わない、私にはテリオス卿がいてくれるから。」
「ジグリア戦で副官を勤めた者ですね。
本当なら私がお側についていたかった。
さすればこのような傷などあなた様に残すことなど無かったはず。」
はだけたシャツから古傷が見えていたか。
って、どこ見てんの?
「フィリップ卿やトーマス卿がいてくれたから私は安心してマティアス殿下のお側を離れる事ができたのだよ。君が仕えるのは私では無い、殿下だ。忘れるな。」
「…はい。」
「胸を張れと言っただろう?」
「はい!」
さっさと帰れと促されてしぶしぶ殿下の元へ帰って行った。
それにしてもアレクシオンは男にもよく好かれるな。
そういえば元の世界での私も同性に好かれてた。
高身長で手足が長く、切れ長で目付きが悪いと言われた顔も女子にはかっこよく見えたらしい。
私は嫌だった。
寄ってくるふわふわで可愛い女の子達。
彼女達の事は好きだったけれど私もなれるものなら彼女達のような小さくて守ってあげたくなるような可愛い女の子になりたかった。
私の父は小さな建築会社の社長だったが柔道家としても知られていた。
そんな父の影響で幼い頃から柔道をさせられた。
身体も大きく運動神経も良かったため上達は早かった。
回りの期待も大きく、それに応える為頑張ったが内心は嫌でたまらなかった。
体重を増やす?意味わかんない。
身体に変なタコ出来るんだよ?
だいたい受け身って痛くないわけじゃないんだよ?投げられても、押さえ込まれても痛いもんは痛いよ。
ある日とうとう我慢できずに母に言った。
「ママ、柔道辞めたい。」
すると母はあっさりと、
「シオンちゃんが辞めたいなら辞めていいよ。ママはシオンちゃんが頑張ってたのを知ってる。頑張って、頑張って、どうしても嫌だったんなら辞めちゃえばいいんだよ。」
父は怒るかと思ったがこちらもあっさりと許してくれた。何をあんなに悩んでいたのだろう。
柔道を辞めたら自分を全否定されるかのように思っていたのに。
私は嫌な事は辞めれたけれど、アレクシオンには辞めるという選択肢は無かったんだな。
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