戦鬼は無理なので

あさいゆめ

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 フィリップ卿が経緯を報告に来た。
 もう部下ではないのだから不要だと断ったけど関係者なのでと押し切られた。
 また寝込んでいるんですけど。
「こんな格好で申し訳ないです。」
「いえ…こちらこそ申し訳ございません。
 まさか本当に倒れられたとは思いませんでしたので。」
 仮病だと思われてたのか。
「まず、リタ嬢ですが。木陰で休息していた所、暗殺の密談を聞いたそうです。残念ながら足元を見ただけで顔は確認出来なかったそうですが、一人は警備兵のブーツを履いており、もう一人はドレスの裾が少々短いことから侍女だと思ったそうです。
 警備兵に知らせても賊の仲間かもしれない事を考慮し自ら馬を走らせたのだと。」
「勇気ある行動だったな。後数秒遅れていたら手遅れだったかもしれない。」
「内通者である侍女ですが、リタ嬢の話では…これは内密な話ですので。」
 控えていたテリオス君と侍女達を下がらせた。
「後宮御用達の靴店パンドールの物だったと言うのです。」
「あの場で後宮の侍女を連れているというのは…。」
「はい。」
 皇帝陛下の側室であるビアンカ様。
 第2皇子リチャード殿下の母君だ。
「これもリタ嬢の聞いた話ですが、マティアス殿下の婚約をもってお世継ぎがお出来になる前に暗殺を企てたようです。」
 動機はあるな。
「奇襲した賊の生き残りはどうした?」
「なかなか口を割りません。が、所持していた武器や毒物などから推察しまして以前は光神聖教に使われていた闇ギルドの者達のようです。」
 戦後、大規模な人事異動が必要となり新たに増員した際に送り込まれたようだ。
「…新たな金づるなのか、もしくは旧体制の神殿の後ろに元からいたか…。後宮の金の流れを探る必要があるな。」
 ビアンカ様のご実家は確か光神聖教の敬虔な信者だった。
「ご実家と闇ギルドに繋がりは無いかも調べてくれ…っと、申し訳無い。また出過ぎてしまいましたね。」
「いいえ、実はお願いに上がりました。どうか近衛に復帰いただけませんか?」
「それは無理というものだ。たったあれだけ戦っただけでこの様だ。」
 マティアス殿下にも迷惑をかける事になるだろう。
「申し訳ございません。日々、自分の不甲斐なさを痛感するのです。ずっとアレクシオン様の背中を見ておりました。いつかあなた様に追い付けるようにと精進しているつもりでしたが私ではだめなのです。」
 大きな身体で項垂れるフィリップ卿はちょっとかわいい。
 以前の私と同じような筋骨隆々で部下の中でも一番頼りになる存在だった。
 肩に手を掛け、
「大丈夫。君は君の精一杯をやればいい。何がだめなのだ?胸を張りなさい。」
「アレクシオン様…。上官と部下でなければこうしてお会いすることも叶いません。
 私にはあなた様の助言が必要なのです。」
「君と私は年もそう離れてはいない。今後は友達でいいのではない?」
 肩に置いた手を両手で包みそっと唇に寄せる。
「私を友と呼んでくださるのですか。もったいないお言葉です。」
 友達だよ?お前は友達の手を握って潤んだ目で見つめるのか?
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