戦鬼は無理なので

あさいゆめ

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 3日間寝込んだ。
 体が辛いわけではなかったが、何もする気になれなかった。
 さすがに寝すぎたようで4日目の朝は日の出前から目が覚めた。
 エミリンとマイアを起こすのもかわいそうだから自分で身支度をして散歩に出た。
 二人ともあの晩何があったかもテリオス君がいない訳も何も聞かないでくれている。
 外はまだ薄暗く昇る前の太陽が東の山脈の稜線をくっきりと写し出す。
 普段はあまり行かなかった村とは反対側の湖の畔を歩いてみよう。
 湖畔は貴族の別荘が多く、早起きな村人達も立ち入る事はない。
 それにたしかハンナが暮らしていた小屋がある所までは家の私有地らしい。
 この獣道のような小道は毎日ハンナが通って出来た道か。
 しばらく行くとログハウス風の小屋があった。
 いいね。
 ここ、いいよ。
 かわいい!
 湖のすぐ側っていうのもいい。
 たしか植木鉢の下に鍵があるから時々風を通しておいてくれって言われてたんだった。
 中に入ってみると結構広い。
 小さなキッチンもある。
 ここでお店をしたらかわいいだろうな。
 半分は雑貨を置いて、湖が見える方にはテーブルを置いてお茶とマイアに焼いてもらったお菓子を出そう。
 バルコニーにもテーブルが置けそう。
 小屋の周りには花も植えて。
 お客様はあんまり来なさそうだけど、別荘の令嬢が散歩がてらに立ち寄って休憩してくれるような、そんな場所になったらいいかも。
 なんだか楽しくなってきた。
 そうだ、恋が終わったって人生が終わる訳じゃない。
 外に出れば朝日が昇り湖が輝いている。
 まだ冷たいだろうけど、足を浸してみる。
 透き通った水が美しい。
 …けどやっぱり冷たいな。
「あっ!」
 振り返ろうとして流木につまづいた、両手をつき冷たい水の中で四つん這いになってしまった。
 我ながらどんくさい。
 誰もいない時間帯でよかった。
 と思った瞬間に背後で水音がした。
 同時に引き上げられ、脇に抱えられて湖畔に引きずり出される。
 こんな事をするのは、
「リオ?」 
 首都には行かなかったのか。
 まったく…そんな気はしていたけど。
「なんでっ!…なんでこんな事っ!」
 抱きついて半泣きで言葉に詰まる。
 んー…なんか誤解しているみたい。
「転んだだけだよ?」
「いい訳はやめて下さい!死ぬくらいなら僕に下さい!心なんかいらないから、身体だけでいいから下さい!」
 えー…身体どうする気なんだろう。
 3日間どこにいたのかな?
「リオ、臭い。」
「は?…なっ!」
 今度は突き放された。
「痛い…。」
「申し訳ございません。」
 ちょっと自分の臭いを嗅いでみている。
「ふふふっ…、本当に転んだだけなんだ。ごめんね、心配かけて。
 首都に帰らなかったの?」
「…申し訳ございません。」
 顔を見せるなと言ったからばつが悪そうだ。
「では…失礼します。」
 背中を見せて去ろうとするが、どこに行くつもりなんだろう?
 やけにゆっくりだし。

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