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 おばあ様は孫を嫁に出すまではおちおち寝込んでいられないとみるみる元気になり、本格的な淑女として教育を受けさせるなら首都に行かなければと引っ越しを決意したのだった。
 伯爵家に養女となり、おばあ様の男爵家で暮らすようになったのは10歳だった。
 あまり栄養状態がよくなかった為6歳くらいに見えたらしくまたさめざめと泣かれたっけ。
 15歳になった今も普通の子よりちょっと小さめだ。けどガリガリではなくなった。おっぱいもちゃんと大きくなった。よかった。
 貴族の子は16歳になる年から3年間学園に通う。
 中でも首都は教育水準が高く、高位の貴族が通う。なので結婚相手を探す為にここに入学したがる令嬢が多いらしい。
 その為入学試験は厳しい。
 私はなんとトップの成績で合格したのだ。
 おばあ様の喜びようといったら10年は寿命が伸びたそうだ。
 入学式にはクランセン伯爵も来て下さった。
 伯爵は再婚した。
 別々に暮らしているからだろう、再婚相手のマリローズ様と連れ子の二人のお義姉様ともいい関係だ。シンデレラにはならなかった。
 伯爵が私の為に家庭教師を探していた時に知り合った元侯爵夫人で、侯爵が亡くなり事情があって家庭教師の職を探していたのだと。
 この世界は未亡人には厳しい。
 跡継ぎの男児がいれば別だけど、そうで無い場合は嫁ぎ先から出されるのは珍しい事では無い。
 そうなった場合、多少の慰謝料は貰えるけど二人の娘にいい嫁ぎ先を見つけるのは難しい。
 良家の家庭教師や侍女になるか、後妻になるか。そうで無い場合は名目上は後見人という人の愛人になるしかない。
 マリローズ様は学問も淑女としての教育も完璧に私に教えてくれた。
 なんて幸せなんだろう。
 心配していた落ちはなさそうだ。
 このまま学園で優秀な成績を修めいい働き口を見つけておばあ様や伯爵に恩返しをしよう。
 入学式では新入生代表として挨拶をしなければならない。
 その為他の生徒とは違う列に座る。
 隣に座っておられるのは3年生の生徒会長で帝国の皇太子カイル・エドウィン・ラクシード様。
 輝くブロンドに碧眼。皇子様の見本みたいな人。皇族ってのは別格だな。なんかこう…オーラ!オーラをまとってらっしゃる。
 おっと、あんまり見てると不敬だって怒られちゃうな。
 ?なんか変。汗かいてらっしゃる?緊張してるのかな?まさかね。
 じゃあ、体調悪いのかな?
 小声で、
「あの、大丈夫ですか?」
 ハンカチを手渡す。
 受けとるとにっこり微笑み、口に人差し指を当て、
「ありがとう、挨拶が終わるまで内緒にしてね。」
 その後無事に挨拶を終え、入れ違いで私が挨拶に壇上に上がる時にそっと退場された。
 やっぱり体調がお悪かったみたいだ。
 ああ、壇上からでもよく見える…おばあ様が号泣されている。気になって何を言ったのかもよく覚えていないわ。
 その時は会場から突き刺さるような眼差しで睨んでいる令嬢に気づいてなかった。
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